核軍縮・不拡散

令和2年11月26日

1 設立経緯

 1984年、イラン・イラク戦争の際に化学兵器が用いられていたことが発覚したことを契機に、化学兵器開発に用い得る化学剤の輸出管理制度を整備する必要性が強く認識されるようになった。しかし、各国の輸出管理の適用範囲や運用方法に相違があり、化学兵器開発を企てる国が規制の緩い国を抜け穴として用いる恐れがあったため、オーストラリアより、化学剤の供給能力を持つ各国が輸出管理政策の協調を図り、協力を強化することが提案され、1985年6月に第1回会合が開催された。その後生物兵器関連汎用品・技術も規制の対象とされることとなった。

 この枠組は、オーストラリアが議長国を務めていることから「オーストラリア・グループ(Australia Group:AG)」と呼ばれる。化学及び生物兵器開発・製造に使用し得る関連汎用品及び技術の輸出管理を通じて、化学・生物兵器の拡散を防止することを目的とし、年1回(1994年までは年2回)主にパリで総会を開催している。

2 性格

 AGは法的拘束力を持つ国際約束に基づく枠組ではない。AG参加国は生物・化学兵器の不拡散という目的を達成し、自国の輸出管理をより有効なものとするため、AGの下で行われる情報交換、政策協調を国内の輸出管理に反映させている。具体的には、参加国は、生物・化学兵器関連汎用品・技術に関してAGの場で合意されたリストに掲載された品目について、特定の対象国・地域に的を絞ることなく世界中の国と地域を対象として、国内法令(我が国においては、外国為替及び外国貿易法、輸出貿易管理令、外国為替令等。)に基づき輸出管理を実施している。

3 参加国・機関

 42か国(アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、インド、イタリア、日本、韓国、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国、米国)及びEU

4 規制品目

  • (1)化学兵器の前駆物質
  • (2)化学兵器製造のための汎用施設及び設備並びに関連技術及びソフトウェア
  • (3)生物関連の汎用設備並びに関連技術及びソフトウェア
  • (4)ヒト病原体及び動物病原体並びにヒト及び動物に対する毒素
  • (5)植物病原体

5 我が国の取組

 化学兵器禁止条約(CWC)及び生物兵器禁止条約(BWC)発効後も生物・化学兵器開発・拡散に関する懸念は依然として存在している。AGはこれらの条約を補完し、生物・化学兵器の廃絶を確保するための手段として、今後とも重要性は維持されていくと考えられる。我が国は、大量破壊兵器不拡散の観点から、AGを通じた各国の生物・化学兵器関連汎用品・技術に関する輸出管理の政策調整や情報交換も不拡散に向けた努力の一つの柱として重視しており、引き続き、生物・化学兵器の不拡散の分野でも積極的な役割を果たしていく。

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