核軍縮・不拡散

令和元年9月13日

 2019年6月3日~7日,パリにおいて,オーストラリア・グループ(AG)(生物・化学兵器関連物資・技術の拡散防止のための国際輸出管理レジーム)の総会が開催されました。同総会後に発出された議長声明(PDF)別ウィンドウで開くの主要点は以下のとおりです。

1 総論

 AG参加国は,生物・化学兵器の拡散に対抗するための取組を強化するとのコミットメントを再確認し,特に次の措置をとることに合意した。

  • 生物・化学兵器の製造及び運搬に利用され得る新たな技術及び科学発展の悪用に関する意識向上を通じ,拡散者に先んじる取組の強化。
  • 化学兵器を使用した者の責任を問い,同様の使用を検討している者を抑止するため,化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長,技術事務局及び化学兵器使用者の調査・特定チーム(IIT)への支援の再確認。
  • ノビチョクの前駆物質のリスト化に向けた議論。
  • 無形技術移転,拡散金融,調達,積替え及び幅広い拡散ネットワークによりもたらされる課題に対する,産業界及び学界への関与強化を含む取組の共有。
  • AG非参加国と協働し,また,輸出管理の執行における経験,情報,捜査活動の結果及び活動を共有するとのコミットメントの更新。
  • AG非参加国へのアウトリーチ,及び全ての国が強固な輸出管理を実施し,国際的なベスト・プラクティスとしてAGの輸出管理を採用するよう奨励する継続的な取組の強化。

2 技術的な事項

 輸出審査及び執行の専門家は,生物・化学関連の機微な汎用資機材の拡散を防止する上での経験や方策について意見交換を実施した。専門家は,技術の急速な発展に追いつくための取組を共有し,より複雑化する拡散金融の課題について議論した。専門家は,AG規制リストに掲載されている生物・化学関連品目の管理を改善するための取組を継続し,また,研究所の安全を確保する取組を強化することに合意した。

 AG規制品目リスト及びガイドラインは,AGのウェブサイト別ウィンドウで開くで閲覧が可能である。

3 アウトリーチ

 AG参加国は,アウトリーチの対象の拡大とAG非参加国への関与強化の取組を歓迎した。また,正当な貿易を阻害することなく,生物・化学兵器による攻撃を可能とするために使用され得る物資,技術及び情報の拡散を防止するための協調を強化する重要性について合意した。
 2019年3月にマルタで開催された中東諸国とのAG対話を受け,AG参加国は,これまでのAG対話への参加国に対してさらなるフォローアップを実施するとともに,全ての国が強固で効果的な輸出管理を実施し,国際的なベスト・プラクティスとしてAGの輸出管理を採用するよう奨励することに合意した。

4 新規参加

 AGは,複数の国からの参加申請を歓迎し,これらの国と協議していくことに合意した。2019年に新規参加は承認されなかった。

5 AGガイドラインの遵守

 AGは,可能な限り多くの国によるAGの輸出管理基準及び目的の遵守の宣言を奨励するとのコミットメント,及びAGガイドライン及び規制リストを採用することの重要性を再確認した。

6 国別の状況及び化学兵器の使用に関する声明

 AG参加国は,一部の国による2018年の化学兵器禁止条約(CWC)締約国会議以降のOPCWの検証作業の信頼性を傷つける試みに対し警戒感を表明し,OPCW事務局長,技術事務局及びIITに対するAG参加国による明確かつ実際の支援を再確認した。AG参加国は,全ての国に対して,国際法の下での義務を尊重し,化学兵器の開発,製造及び使用を行わず,CWCの下での義務に基づいて自国の化学兵器プログラムについて漏れなく申告し,完全に廃棄するよう求めた。
 AG参加国は,2019年11月のCWC締約国会議が国際的な化学兵器の使用禁止という規範を守る上で重要であることを強調した。
 AG参加国は,ノビチョクの前駆物質のリスト化に向けた議論が来年のAGにおける優先課題であることに合意した。
 全てのAG参加国は,自国からの輸出が化学・生物兵器の開発・使用に貢献しないよう確保することや,また,全ての国が安全を享受できるようにするための国際的な不拡散アレンジメントを保護し,強化する助けとなる方策について,引き続き協働するとの不変のコミットメント及び決意を再確認した。
 全てのAG参加国は,化学兵器の使用はいかなる場合でも許されないという点で合意した。

7 次回総会

 AG参加国は,次回総会の前に中間会合を開催し,キャッチオール規制の効果的な実施及びノビチョクの前駆物質のリスト化等を議論することの有用性に合意した。AG参加国は,スロバキアによる2020年始めの中間会合主催の申し出に謝意を表明した。
 次回総会は,2020年6月15日から19日までパリにおいて開催される。



Get Adobe Reader(別ウィンドウで開く) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAdobe Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

核軍縮・不拡散へ戻る