核軍縮・不拡散

平成30年3月5日
(写真1)第25回アジア輸出管理セミナー

 平成30年2月27日から3月1日まで東京で,第25回アジア輸出管理セミナーが一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)の主催,外務省及び経済産業省の共催により開催され,33か国・地域と,国際機関,研究機関等から約220人が参加しました。

1 背景

 アジア各国・地域は経済成長に伴い,大量破壊兵器等に転用可能な物資・技術の生産拠点や中継貿易地として発展を続けており,懸念国等による違法な調達活動に意図せず関わる危険性が高まっています。本セミナーはこうした状況を背景に,アジア各国・地域の輸出管理担当者の認識向上と能力構築を図り,日本の安全保障にも直結するアジアの不拡散体制を強化することを目的に平成5年から開催されています。

2 概要

(1)開会挨拶

(写真2)開会挨拶
(写真3)岡本三成外務大臣政務官の挨拶

 冒頭,岡本三成外務大臣政務官が挨拶(英文和文仮訳)し,北朝鮮の核・ミサイル開発がアジアのみならず国際社会に重大な脅威をもたらす中,輸出管理は国連安保理決議履行のために不可欠な対策で,アジア地域での緊密な協力が必要であり,日本はアジアのパートナーを支援していくと述べました。

(2)テロ防止に向けた輸出管理の役割

 武器貿易条約(ATT)第4回締約国会議議長を務める髙見澤將林軍縮会議日本政府代表部大使が基調講演(英文(PDF)別ウィンドウで開く発表資料(PDF)別ウィンドウで開く)を行い,通常兵器の国際貿易を規制する同条約がテロ防止のために果たす役割の重要性を強調するとともに,本年8月に日本で開催される第4回締約国会議に向けて各国の積極的な関与を呼びかけました。

(3)アジアの輸出管理強化に向けた取組

 北朝鮮による核・ミサイル開発,民生技術の軍事利用,調達活動の多様化などを踏まえた実効性のある輸出管理のあり方についてパネルディスカッションが行われ,アジアの輸出管理体制に「抜け穴」をつくらないための取組の重要性が指摘されました。また,中国,インド,マレーシア,パキスタン,フィリピンが自国の輸出管理の最新の動向について報告したほか,日本,米国,ドイツ等が無形技術移転対策や産業界・学術界との連携について発表を行いました。

(4)国際的な枠組みにおける活動

 輸出管理レジーム(オーストラリア・グループ(AG),ミサイル技術管理レジーム(MTCR),原子力供給国グループ(NSG),ワッセナー・アレンジメント(WA))の代表がそれぞれのレジームの概要を紹介しました。また,国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会や1540委員会の専門家等が,対北朝鮮制裁に関する安保理決議,非国家主体への大量破壊兵器の移転防止を目的とする安保理決議第1540号,イランの核問題に関する安保理決議第2231号の履行状況などについて報告しました。

3 参加国・地域・機関

  • (1)アジア(18か国・地域)
    カンボジア,中国,香港,インド,インドネシア,韓国,ラオス,マレーシア,モンゴル,ミャンマー,パキスタン,フィリピン,シンガポール,スリランカ,台湾,タイ,ベトナム,日本
  • (2)アジア域外(15か国・地域)
    オーストラリア,カナダ,チェコ,EU,フランス,ドイツ,アイルランド,イタリア,カザフスタン,オランダ,スペイン,トルコ,アラブ首長国連邦,英国,米国
  • (3)輸出管理レジーム
    オーストラリア・グループ(AG),ミサイル技術管理レジーム(MTCR),原子力供給国グループ(NSG),ワッセナー・アレンジメント(WA)
  • (4)国際機関,研究機関
    国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会専門家パネル,国連安全保障理事会1540委員会専門家グループ,国連政務局,フラウンホーファー研究機構(ドイツ),グローバル・トレード・セキュリティ・コンサルティング(シンガポール),ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(米国),ニューヨーク州立大学アルバニー校政策研究所(米国),ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)(スウェーデン),Syndicat des Industries Exportatrices de Produits Stratégiques(SIEPS)(フランス)


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