核軍縮・不拡散

平成30年2月27日
(写真1)開会挨拶
(写真2)岡本三成外務大臣政務官の挨拶

ご列席の皆様,

 日本国外務省を代表して,第25回アジア輸出管理セミナーの参加者の皆様に歓迎の意を表するとともに,プレゼンター及びモデレーターの皆様によるご協力に感謝いたします。本セミナーは,今年で25周年を迎えました。本セミナーは,この四半世紀の間,アジア地域の輸出管理を強化する上で重要な役割を果たしてきました。

 本日,まず取り上げなければならない課題は,北朝鮮問題です。我々が目の当たりにしているとおり,北朝鮮は,累次にわたる国連安保理決議に違反し,言語道断な挑発行動を加速させています。北朝鮮は,2016年以降,3回の核実験に加え,約40発もの弾道ミサイル発射を強行しました。北朝鮮の核・ミサイル開発は,今やアジアのみならず,国際社会全体に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威です。輸出管理は,国連安保理決議を完全に履行するための不可欠かつ重要な対策の一つです。

 アジア経済が急速に発展するに伴い,大量破壊兵器の製造に転用可能な機微品目及び技術を製造・開発するアジア諸国の能力もまた向上しています。さらに,アジア地域の主要港は,世界の貿易に欠かせない国際ハブ港湾として機能しています。北朝鮮を含む拡散者は,このような条件を悪用し,ますます巧妙化する調達活動を展開しています。

 このような調達活動に対抗するためには,それぞれの国が効果的に国内措置を実施するとともに,各国の制度を調和することにより抜け穴をふさぐ必要があります。我々は,アジア地域のパートナー同士として,緊密に協力しなければなりません。チームワークの精神が極めて重要です。アジア諸国のコミットメントにより,同地域の輸出管理は着実な進展を遂げています。他方,まだまだ改善の余地があることも事実です。輸出管理の実施・執行に当たっては,多くの努力と資源が必要となります。また,それぞれの国が,異なる課題に直面しています。日本は,アジアのパートナーを支援していきます。

 輸出管理が貿易・投資を阻害するというのは,間違った見方です。効果的な輸出管理対策は,貿易・投資パートナーの信頼を醸成し,さらなる経済発展につながるものです。また,輸出管理対策は,技術提供者に対する保証となり,開発途上国が高度な技術にアクセスする助けとなります。信頼に足る輸出管理制度を構築することは,さらなる経済成長に向けた賢明な投資なのです。

 世界各地で発生しているテロ事案も,大きな懸念材料です。アジア経済が引き続き発展する中,非国家主体がアジア地域において違法な調達活動を行うリスクも高まっています。この観点から,国連安保理決議第1540号の完全な履行が重要です。同決議において,輸出管理制度の構築は,各国が果たすべき義務の一つとされています。日本は,昨年3月,同決議の履行支援のため,約100万米ドルを国連に拠出しました。アジアのパートナーである皆さんには,1540委員会とともに,輸出管理能力の強化に資するプロジェクトの形成を検討していただきたいと思います。

 効果的な地域ネットワークを構築するためには,輸出管理専門家や関連するアクターが実際に顔を合わせて接点を持つことが不可欠です。本セミナーが,不拡散という共通の目的に向けた連携と協力をさらに強化する機会となるよう期待しております。

 ご静聴ありがとうございました。


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