日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成26年10月6日

 9月29日から10月3日まで,オスロ(ノルウェー)にてミサイル技術管理レジーム(MTCR)総会が開催されました。総会後に発表されたプレスリリースの概要は,以下のとおりです。

  1. MTCRは,2014年9月29日から10月3日までオスロにおいて第28回年次総会を開催した。総会の開始に当たり,ハンス・ブラットスカール外務副大臣は,歓迎のスピーチを行った。2015年に予定されている次回の総会までMTCRの議長となるロアルド・ネス大使が会議の司会を務めた。
  2. 総会の主たる目的は,過去12か月にわたるMTCRの活動について再検討と評価を行い,大量破壊兵器の運搬が可能な無人運搬システムの拡散を阻止するというMTCR参加国の取組を強化することである。
  3. MTCR参加国は,国連安保理決議第1540号において認識されているとおり,大量破壊兵器(核,化学及び生物兵器)とその運搬手段の拡散が,国際の平和と安全に対する脅威であり続けることを改めて想起した。参加国は,大量破壊兵器の運搬手段に寄与し得る移転を規制することによって,拡散リスクを抑制するというコミットメントを改めて表明した。MTCR参加国は,前回ローマ総会以降に生じたミサイル拡散に関する進展に関し,詳細な情報交換を行った。
  4. MTCR参加国は,MTCRガイドラインと規制リストが,ミサイル関連品目及び技術の輸出管理に関するベストプラクティスの国際基準となっていることを歓迎し,この基準を遵守するMTCR非参加国が増大していること,また,同基準がいくつかの国連安保理決議に盛り込まれていることについて留意した。
  5. MTCR参加国は,全ての国に対し,国内法に従い,また,国際法に合致して,大量破壊兵器のミサイル計画に寄与し得る品目及び技術の移転を阻止するべく最大限の警戒を行うよう呼びかけた。MTCR参加国は,MTCRの目的を支持する関心国への情報提供と支援についてのコミットメントを確認した。
  6. 地域と国際の安全のため,MTCR参加国は,全ての国に対し,ガイドラインの遵守により,また,適切な国内法令及び法執行メカニズムの確立により,不拡散というレジームの目的を支持するよう呼びかけた。
  7. MTCR参加国は,技術進歩,発展及び宇宙計画が大量破壊兵器の運搬手段に寄与しない限り,MTCRガイドラインがこれらの計画に対する障害となるべきではない旨強調した。
  8. MTCR参加国は,可能な限り多くの国がMTCRガイドラインを遵守することが,大量破壊兵器の運搬システムの拡散リスクを抑制し,国際の安全を促進することに寄与する旨を強調した。MTCR参加国は,レジームの参加国ではない多くの国が,ミサイル技術に関する国内の輸出管理における基準としてガイドラインの遵守を約束したことを歓迎した。
  9. また,MTCR参加国は,関連する地域組織や機関に対し,大量破壊兵器を運搬可能なミサイルの拡散の防止における輸出管理の役割に注意を払うよう促した。
  10. MTCR参加国は,前議長であるカルロ・トレッツァ大使が実施したアウトリーチ活動に謝意を表明した。新議長は,レジームについての透明性を高め,その目的を促進し,訪問国との対話のモメンタムを維持するためにフォローアップを行うとともに,更なるアウトリーチ活動と交流を実施するよう促された。また,MTCR参加国は,国連安保理決議第1540号の下で求められているミサイル関連の輸出管理の履行においてMTCR非参加国や関心国を支援し,これらの活動について議長に連絡するための個別,集団及び地域的な努力の継続を奨励する。
  11. MTCR参加国は,MTCRの権限の範囲内で,北朝鮮やイランを含む様々な国の問題に関する幅広い議論を行い,世界的なミサイルの拡散活動に関連した懸念(特に,他の地域におけるミサイル拡散活動を支援し得る,中東,北東アジア及び南アジアにおける現行のミサイル計画に関する懸念)を表明した。
  12. MTCR参加国は,国連安保理決議第1695号,第1718号,第1874号,第2087号,第2094号及び第1737号,第1747号,第1803号,第1835号,第1929号を含む,不拡散に関する国連安保理の関連決議を履行するとのコミットメントを確認した。また,大量破壊兵器の運搬手段及びこれらの使用に関するその他の重要な状況についても検討が行われた。MTCR参加国は,ミサイル計画の進展に関する意見交換を継続することに合意した。
  13. MTCR参加国は,MTCRの現行の技術的な作業が極めて重要であることを改めて確認した。MTCR参加国は,機微な品目及び技術に関する急速な技術の進展は,これらの進展に対処するための深い認識と効果的な行動を必要とし続けることを強調した。MTCR参加国は,設備,ソフトウェア及び技術に関する附属書が,ミサイル技術の不法移転を防止するMTCRの取組の礎であることを認識し,技術専門家会合(TEM)の業績に対して深い謝意を表明した。
  14. MTCR参加国は,審査・執行官会合(LEEM)及び情報交換会合(IEM)の取組に深い謝意を表明した。MTCR参加国は,拡散傾向,大量破壊兵器の運搬手段に関する計画に資する調達活動や戦略を含む多くの問題(すなわち,無形技術移転によるリスクと課題,ミサイル計画の主要な技術傾向,規制品目リスト以外の品目に対するキャッチ・オール規制,仲介,通過及び積替に関する問題)に関し,議論を継続した。また,MTCR参加国は,輸出管理を回避するためにこれらを悪用するための取組についても議論を継続した。これらの議論では,ベストプラクティスを含む情報共有による不断の認識及びMTCR参加国の輸出管理システムの最新化と執行のための取組が非常に重要であり,大量破壊兵器の運搬手段の拡散阻止に向けたMTCR参加国の取組に大きな効果を及ぼすことが示された。
  15. MTCR参加国は,パリにおける技術アウトリーチ会合を成功裏に催したことについてフランスに感謝し,この種の会合を継続し,拡大していくことの重要さを強調した。
  16. MTCR参加国は,無形技術移転が,大量破壊兵器のミサイル関連技術の拡散に対して深刻な危険をもたらすという見解を共有した。MTCR参加国は,このテーマを将来の総会の議題とし続けることに同意した。
  17. MTCR参加国は,いかなる範囲の適用であれ,非参加国がMTCRの附属書及びガイドラインを自国で適用するとの自発的な決定を行うことを奨励するとともに,かかる措置をMTCRのポイント・オブ・コンタクトに通知することを歓迎する。MTCR参加国は,非参加国に対し,MTCRガイドラインの完全な遵守を宣言し,MTCR附属書の全ての品目をMTCRガイドライン(附属書及びガイドラインの事後的な変更を含む。)に従って規制するという政治的なコミットメントを自発的にMTCRのポイント・オブ・コンタクトに公式に書面で通報することを促した。
  18. MTCR参加国は,MTCRへの新規参加国の検討に関する全般的なアプローチを含め,将来の参加国に関する問題について意見交換を行った。また,個々の新規参加申請は,入念に議論された。新規参加の問題は,今後も議題として取り上げられる。
  19. MTCR参加国は,その議長職の継続性と効率性を含め,MTCRの内部運営に関する多くの問題について再検討を行った。MTCR参加国は,2015年/2016年のルクセンブルクとオランダによる共同議長の申し出を温かく迎え,承認した。

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