日本の安全保障と国際社会の平和と安定
原子力供給国グループ(NSG)ブエノス・アイレス総会(概要)
平成26年8月15日
2014年6月26~27日,アルゼンチン・ブエノス・アイレスにおいて開催された原子力供給国グループ(NSG)第24回総会の概要(注)は以下のとおり。NSG参加国は48か国で欧州委員会及びザンガー委員会が常任オブザーバー参加。
1 新議長の選出
アルゼンチンが新議長国として選出された(新議長はグロッシー同国在ウィーン代表部大使)。ティマーマン外務大臣,デ・ヴィド計画・公共投資サービス大臣より挨拶が行われた。
2 今次総会パブリック・ステートメントの概要
- (1)規制リストの改訂及び技術専門家会合(TEG)の設置といった近年のNSGの作業進捗を評価し,今後の注目される分野について検討を行った。また,2015年NPT運用検討会議に向けての作業を開始した。
- (2)国際的な拡散活動の継続に対する深い懸念を改めて表明し,核兵器等に資する原子力関連資機材・技術の移転を防止するため,緊密な協力の継続への決意が再確認された。
- (3)北朝鮮の核計画がもたらす拡散への影響、2013年2月に実施された核実験に関する重大な懸念を表明した。また,朝鮮半島の非核化と2005年の六者会合共同声明と合致する形での北朝鮮の核問題の平和的解決に向けた外交努力及び関連する国連安保理決議の完全な履行に対する長年の支持を改めて表明した。
- (4)現在行われているEU3+3とイラン及びIAEAとイランの協議が,可能な限り早期に,共同作業計画や関連する国連安保理決議及びIAEA理事会決議において予定されているイランの核計画の平和的利用を確保し,満足のいく結果を生み出すことへの期待を表明した。
- (5)参加国は、全ての国に対し、NSGの目的に関連した全ての国連安保理決議の効果的な履行を確保し、最大限の警戒を行うよう要請した。
- (6)規制リストの成功裏な改訂を踏まえ,NSGやガイドラインが,拡散の課題に対し,効果的に対応し続けることを確保するための作業に関する意見交換を行った。
- (7)アウトリーチについて議論が行われ,アウトリーチ活動の強化について合意した。また,本年4月に実施された情報交換会合(IEM)によるアウトリーチ・セミナー及びワッセナー・アレンジメント(WA)と共同で開催した工作機械に係る非公式ワークショップの実施を歓迎した。
- (8)過去の事例を踏まえ,また2015年NPT運用検討会議を見据え,情報共有のための文書の更新・改訂について合意した。
- (9)2015年NPT運用検討会議において,アウトリーチ・イベントを計画,開催するための追加的なガイダンスを示し,また議長に対する要請を行った。
- (10)NSGガイドライン遵守を宣言している国を取り込み,これらの国がNSGガイドラインを効果的に履行することを支援するため,NSGの可能性のある取組案について議論を行った。また,これらの国との関係強化について議論を継続することを決定した。
- (11)2008年のインドに対する民生用原子力協力に関する声明の履行におけるすべての側面について情報を共有し,インドとNSGとの関係について議論を行った。
- (12)仲介及び通過/積替えに係る問題について議論を行い,NSGウェブサイトに,ドイツが多くの参加国の支援を受け作成したグッド・プラクティスの例を掲載し,またこれを国連安保理1540委員会に通知することについて合意した。
- (13)情報の秘匿性保持の重要性について議論を行い,これを再確認した。
- (14)NSG総会は、全ての原子力供給国に対し、NSGガイドラインの遵守を通じた原子力輸出に関する責任あるアプローチを呼びかけた。
(注)同総会にて発出されたパブリック・ステートメント(PDF)