核軍縮・不拡散
国際原子力機関(IAEA)の緊急時対応援助ネットワーク(RANET)の研修センター(CBC)におけるワークショップ
(原子力又は放射線の緊急時におけるモニタリング)
令和7年11月11日
講義の様子
福島県内での現地演習の様子
(写真提供:福島県)
平成24年12月に作成した「福島県と国際原子力機関(IAEA)との間の協力に関する覚書」に示されているIAEAと外務省の実施取決めに基づき、国際原子力機関(IAEA)の緊急時対応援助ネットワーク(RANET)の研修センター(CBC)が福島県内に指定され、同センターでは、これまでに30回の原子力または放射線緊急時対応に関するワークショップ等の活動が実施されています。日本はCBCにおける活動を支援することで、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験と教訓も踏まえつつ、国際的な原子力安全に貢献してきています。
10月20日から24日にかけて、CBCにおける31回目の活動となる「原子力又は放射線の緊急時のモニタリングに関するワークショップ」が開催され、IAEA加盟国のうち、インドネシア、ウクライナ、豪州、シンガポール、マレーシアの5か国から14名の専門家が参加しました。概要は以下のとおりです。
- 今回のワークショップは、参加者に対して、放射線モニタリングを実施する訓練を行い、原子力又は放射線の事故や緊急事態に対応するための公衆保護措置について知見を共有することが主な目的となっています。研修では、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故後に避難指示が出された地域での現地演習に加え、深刻な緊急事態における放射能放出の環境特性、放射線緊急事態における公衆保護や、緊急時放射線モニタリング、ガンマ線量測定等についての講義も行われました。
- 今回のワークショップを通じ、我が国とIAEAの協力が一層強化され、また、IAEA加盟国の原子力又は放射線の緊急事態時における準備及び対応(EPR)能力の更なる強化に貢献していくことが期待されます。
- また、今次ワークショップには、2022年のロシアによるウクライナ侵略開始後初めて、ウクライナの専門家が参加しました。我が国は、これまでも、ロシアの侵略により原子力安全上の脅威にさらされているウクライナに対し、IAEAを通じた支援を実施してきていますが、今次ワークショップが、ウクライナの緊急時対応能力の強化に貢献することが期待されています。
(参考1)緊急時対応援助ネットワーク(RANET)
原子力又は放射線の緊急事態発生時に、要請に応じて国際的な支援を行う枠組み。2000年9月のIAEA総会決議を受けて、原子力事故援助条約の運用上の手段としてIAEA事務局により設立された。2023年2月現在、RANET参加国は41か国。



