核軍縮・不拡散
原子力供給国グループ(NSG)ソウル総会
2016年6月23~24日,韓国・ソウルにおいて原子力供給国グループ(NSG)第26回総会が開催された。
冒頭,尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官が挨拶し,また,2016年~2017年の議長国として韓国が選出された(議長はソン同国在ウィーン代表部大使。NSG参加国は48か国。欧州委員会及びザンガー委員会が常任オブザーバー参加。)。
総会では,本年1月の北朝鮮の核実験を受けて北朝鮮を非難したほか,NPT非締約国のNSGへの新規参加,非参加国に対するアウトリーチ活動等について議論された。
総会後,パブリック・ステートメント(PDF) が発出された。その仮訳は以下のとおり。
パブリック・ステートメント
2016年6月23日及び24日に,第26回原子力供給国グループ(NSG)総会がソン・ユンワン韓国大使の議長の下,韓国・ソウルにおいて開催された。
尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官は,韓国政府を代表して参加国政府に対し歓迎の意を示し,NSGの活動に対する韓国の力強い支持を再確認するとともに,NPTの精神及び目的を質的に強化し,絶えず進化する核の脅威に対抗するための国際的な努力に対するNSGの多大な貢献について言及した。同長官は,北朝鮮の核問題の解決に向けた国連安保理決議第2270号(2016年)の厳格な履行の重要性も強調するとともに,NSGに対し,核計画に関連する供給網に対する北朝鮮のアクセスを遮断するためのNSGの努力を継続するよう求めた。
NSGの権限の枠内で,NSGは,継続的な国際的拡散活動に対する懸念を表明し,核兵器その他の核爆発装置に寄与し得る規制対象品目又は技術の移転を阻止し,及び予防するために緊密に協力を継続する決意を再確認した。参加国政府は,国際的な不拡散体制の礎であるNPTの完全で効果的な実施のための確固たる支持を繰り返した。
参加国政府は,北朝鮮により2016年1月6日に実施された核実験について遺憾の意を表明するとともに,核不拡散体制に対する北朝鮮の挑戦を強く非難する国連安保理決議第1718号(2006年),同第1874号(2009年),同2087号(2013年),同第2094号(2013年)及び同第2270号(2016年)へのコミットメントを再確認し,全てのNSG規制対象品目の北朝鮮向け輸出が上記決議により禁止されていることを強調した。
NSGは,2016年1月16日の包括的共同作業計画(Joint Comprehensive Plan of Action: JCPOA)が「履行の日」に至ったとの発表を歓迎した。本年1月21日及び4月26日に開催された特別総会を受けて,NSGは,調達ワーキング・グループの調整責任者により適切に,JCPOA及び国連安保理決議第2231号(2015年)により設置された調達チャンネルについて継続して報告を受けることに対する関心を表明した。
参加国政府は,全ての国連加盟国に対し,警戒を怠らず, NSGの業務及び目的に関係する全ての国連安保理決議の効果的な履行を確保することを求めた。
NSGは,「NPT非締約国のNSG参加に関する技術的,法的及び政治的観点」の論点について議論し,その議論を継続することを決定した。
総会の会合において,NSGは,
- NSG規制対象リスト及びガイドラインを明確化し,及び改訂するための多くの提案について意見交換し,合意することを通じて,規制リストの履行にとって重要な技術的な問題を集中的に取り扱った。
- 以下の点について議論し,再確認した。
- NSGの活動の透明性及び秘匿性のバランスをとることの重要性及び
- 世界的な安全保障環境の変化並びに核及び関連産業の急速な進展にペースをあわせてNSGガイドラインを改訂することの重要性
アウトリーチ
- 数多くの国が自国の輸出管理体制をNSGガイドライン及び規制リストに整合させてきたことを歓迎した。
- アウトリーチを強化するための次の措置について議論した。
- 関心のあるNSG非参加国のためにNSGの業務について説明し,会合の場を持つこと。
- NSGの業務及び目的について一般の関心を高めるために適切な国際会議におけるNSGのビジビリティーを強化すること。
- 国家輸出管理体制の発展,改訂,強化及び実施についての支援及び実用的な経験を求めるNSG非参加国を援助すること。
- 2008年のインドに対する民生用原子力協力に関する声明のあらゆる論点について情報を共有し,インドとNSGとの関係について議論した。
NSG総会は,NSGガイドラインを遵守することにより原子力の輸出に関する責任ある取組を表明するため,全ての原子力供給国を招待し開催された。
最後に,NSGは,スイスが2017年から2018年にかけてNSG議長に就任することを確認し,次回総会を主催する計画を歓迎した。