通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取組
対人地雷禁止条約(オタワ条約)第22回締約国会議
写真提供:対人地雷禁止条約履行支援ユニット
写真提供:対人地雷禁止条約履行支援ユニット
2025年12月1日から5日まで、対人地雷禁止条約(オタワ条約)の第22回締約国会議がスイス・ジュネーブで開催され、日本の市川とみ子・軍縮会議日本政府代表部大使が議長を務めました。
1 オープニング
オープニングでは、茂木敏充外務大臣からのビデオメッセージの発出に続き、アントニオ・グテーレス国連事務総長(H. E. Mr. António Manuel de Oliveira Guterres, Secretary-General of the United Nations)(ビデオメッセージ)、中満泉(なかみつ・いずみ)国連事務次長(軍縮担当上級代表)、アストリッド・ベルギー王国王女殿下(Her Royal Highness Princess Astrid, Kingdom of Belgium)(条約特使)、ミルアド・ビン・ラアド・ビン・ザイド・ヨルダン王子殿下(His Royal Highness Prince Mired bin Raad bin Zaid of Jordan)(条約普遍化特使)及び地雷被害者の代表者などによる挨拶が行われました。
2 会議概要
我が国は、第22回締約国会議議長職の集大成として、対人地雷禁止条約の履行促進に向けて、精力的に各国と調整しながら会議を運営し、会議最終日に最終報告書(英語)(PDF)
がコンセンサスで採択されました。
今回の会議では、地雷除去期限の延長申請を提出したアンゴラやカンボジアを始めとする14か国の内、要請書の提出が遅れたセネガルとタジキスタンを除く12か国の延長申請が承認されました。セネガルとタジキスタンについては、第23回締約国会議のプロセスにおいて延長申請を再提出することが承認されました。
また、本年オマーンにおいて国内の地雷の除去が完了したこと、及びマーシャル諸島及びトンガが条約に加入したことに対し、参加各国から歓迎の意が示されました。
バルト三国・フィンランド・ポーランドによる条約脱退、ウクライナによる条約の「運用停止」の通告、カンボジア・タイ国境における地雷問題などについても議論が行われました。
3 我が国の取組
我が国は、議長優先テーマとして、「能力強化支援」、「新興技術の活用」、「WPS(女性・平和・安全保障)との連携」及び「条約普遍化」の4つを掲げ、取組を進めてきました。今回の会議で発表した各項目の具体的な成果は以下のとおりです。
(1)能力強化支援
我が国は、「国家の主体性」の強化と「能力強化」への支援が効果的な地雷対策活動を推進する上で有効であるという認識の下、カンボジアと連携した三角協力の推進や関係機関との連携強化を目指す「地雷対策支援に関する包括的パッケージ」に基づき、被害国の能力強化に向けた取組を実施してきました。今回の会議では、具体的な成果として作業文書「国家の主体性の強化及び能力強化支援(英語)(PDF)
」を提出し、締約国に成果を共有しました。最終日の「能力強化支援」に関するパネルディスカッションでは、国際協力機構(JICA)の小向絵理国際協力専門員がパネリストを務め、成果を報告しました。
(2)新興技術の活用
我が国は、新興技術を活用した地雷対策の知見・経験を他の締約国に共有するとともに、各国の新興技術と連携することにより、より効率的な地雷対策を促進することを目指して取り組んできました。今回の会議では、具体的な成果として作業文書「新興技術を活用した対人地雷対策の促進(英語)(PDF)
」を提出するとともに、政策広報動画を議場で放映しました。
(3)WPSとの連携
我が国は、本年4月の第28回国際地雷対策プログラム責任者会合でのサイドイベントや同年6月の対人地雷禁止条約会期間会合でのパネルディスカッションにおいて、地雷対策におけるWPSとの連携の重要性やベストプラクティスの共有について議論を行いました。
(4)条約普遍化
ドイツ(2023)及びカンボジア(2024)議長から引き継ぎ、我が国も太平洋地域への非締約国に積極的にアウトリーチを継続してきた結果として、本年、マーシャル諸島とトンガの条約加入が実現しました。
4 今後の会議
2026年の第23回締約国会議の議長はザンビア・ジュネーブ代表部大使が務めます。また、今回の会議では、2027年の第24回締約国会議議長にベルギー・ジュネーブ代表部大使が選出されました。
我が国は、地雷のない世界を実現するため、対人地雷禁止条約締約国及び全てのステークホルダーと連携しつつ、今後も積極的に貢献を行っていく考えです。
(注)対人地雷禁止条約(オタワ条約)は1999年3月1日に発効。締約国会議は年1回開催され、条約の履行等について、締約国(現在166か国・地域)、署名国、国連機関、国際機関、市民団体が参加して議論が行われる。



