核軍縮・不拡散

令和7年6月20日
フランス講話の様子
英国ユースの集合写真
ポーランドユースの集合写真

 6月12日から6月19日にかけて、外務省は、「被爆80年 証言を世界へ」と題し、被爆者2名と継承活動に関与する若者3名を、フランス・英国・ポーランドに派遣しました(非核特使:八幡照子氏、飯田國彦氏 ユース非核特使:井上つぐみ氏、増本夏海氏、八幡恵氏)。
 本事業は、広島・長崎への原爆投下から80年の機会をとらえて、被爆の実相の理解促進のための取組を一層強化する観点から実施したものであり、昨年9月に岸田総理大臣(当時)が発表した、被爆の実相への理解促進のための取組の3本柱、「被爆者等の海外派遣」、「被爆地訪問」、「対外発信の強化」の一環として具体化されたものです。
 現地において、被爆者は「非核特使」として、若者は「ユース非核特使」として、被爆体験講話や現地の若い世代(ユース)との交流等を行った他、例えば、英国においては、ウェストミンスター寺院を訪れ、同寺院における戦後80年の平和活動の一環で折られた千羽鶴を受け取ったり、3か国それぞれで現地メディアによる取材を受けたりと、様々な活動を行いました。被爆体験講話及び現地ユースとの交流の概要は以下のとおりです。

1 被爆体験講話

ポーランド講話
英国講話

 フランス、英国、ポーランドにおいて行われた被爆体験講話では、いずれの国でも会場は百数十名の一般聴衆で満席となる中、非核特使は自身の被爆体験について、ユース非核特使は被爆体験伝承等の活動について講演を行いました。聴衆は講話に熱心に耳を傾け、被爆者自身や家族の被爆当時の状況、被爆後に苦労された点といった被爆体験等について、時間の許す限り質問を投げかけました。また、被爆体験を乗り越えて人前で話す勇気がどのように生じたのか、被爆を直接体験していないユースがどのようにして伝承しているのかといった質問もあり、非核特使及びユース非核特使による証言・伝承活動に対する関心も示されました。聴衆の中には「自分は長年、これほど泣いたことはない」との感想とともに質問を切り出す方もいるなど、被爆体験講話を通じて、核兵器使用の惨禍に対する理解が深められました。
 被爆体験講話が終了した後は、5名に直接御礼したいと長蛇の列ができ、特使たちも精力的に現地の市民と交流を深めていました。

2 現地ユースとの交流

英国ユースとの交流
フランスユースとの交流

 一行は、フランス、英国では現地の大学生と、ポーランドでは現地の高校生と交流を行いました。交流会では、ユース非核特使3名から、それぞれ被爆体験伝承等の平和活動に関する発表が行われたのち、非核特使も交えて意見交換が行われました。
 現地ユースからは、原爆投下時の広島の状況や被爆者個人の被爆体験等についての質問があがったほか、若い世代へのメッセージを非核特使に求める場面も見られました。また、同世代であるユース非核特使による被爆体験伝承等の平和活動についても関心が示され、「核兵器のない世界」の実現に向けて何ができるかといった観点から率直な意見交換が行われました。

 我が国は、被爆の実相を国際社会及び将来の世代に継承していくことを核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重視しており、また、唯一の戦争被爆国としての人類に対する責務であると考えております。
 この度の「被爆80年 証言を世界へ」事業は、現地の参加者から、「最も強く感じたメッセージは、核兵器は絶対に誰に対しても使用されるべきではないということ」等の感想が数多く寄せられたとおり、被爆の実相について、国境や世代を超えて理解を深める機会となりました。
 今後とも、唯一の戦争被爆国として、被爆者や継承活動に関与するユースの方々等と連携しながら、被爆の実相の理解を一層促進していきます。

(参考1)「被爆80年 証言を世界へ」事業 日程

6月12日
羽田発
パリ着
6月13日
下川眞樹駐仏日本国大使表敬
語圏メディアによる合同取材
ユースとの交流会(於:仏国立東洋言語文化学院)
被爆体験講話(於:パリ日本文化会館)
6月14日
パリ発
ロンドン着
6月15日
ユースとの交流会(於:ジャパンハウス・ロンドン)
現地邦人特派員による合同取材
6月16日
鈴木浩駐英日本国大使表敬
ウェストミンスター寺院訪問
被爆体験講話(於:ジャパンハウス・ロンドン)
6月17日
ロンドン発
ワルシャワ着
被爆体験講話(於:ワルシャワ大学)
6月18日
現地メディアによる取材
ユースとの交流会(於:ナザレ高校)
河野章駐ポーランド日本国大使表敬
ワルシャワ発
6月19日
羽田着

(参考2)非核特使

  1. 核兵器使用の惨禍の実相を広く国際社会に伝達し、また将来の世代に継承していくため、様々な国際的機会を通じて、自らの実体験等に基づく被爆証言を実施する被爆者の方が、「非核特使」の名称を使用できる制度。
  2. 地方自治体や各種団体からの申請に基づき、政府として「非核特使」の名称を付与する。
  3. 令和7年6月現在、累計111組325名に委嘱。

(参考3)ユース非核特使

  1. 被爆者の高齢化が進む中で、被爆の実相の次世代への継承と活動の後押しを行うことを目指し、軍縮・不拡散分野で活発に活動する若い世代に、「ユース非核特使」の名称を付与する制度。
  2. 地方自治体や各種団体からの申請に基づき、政府として「ユース非核特使」の名称を付与する。
  3. 令和7年6月現在、累計59組808名に委嘱。

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