国連外交
第7回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合(概要と評価)
平成26年9月26日
9月26日,ニューヨークの国連本部において第7回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合が開催されたところ,概要及び評価は以下のとおり。
1.概要
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(1)今次会合には,共催国であるフレンズ・メンバー国(日本,豪州,オランダ,ドイツ,カナダ,フィンランド,インドネシア,ハンガリー)を含め,約80カ国が参加(このうち23カ国の外相が出席)。岸田外務大臣が議長を務め,開会挨拶(英語(PDF)
/日本語(PDF)
)を行った。
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(2)続いて,潘基文国連事務総長が,国連事務総長として,自らCTBTの批准を唱えてきたことを紹介し,条約の発効に批准が必要となる国(発効要件国)による批准が緊急に求められているとし,あらゆる取組により同条約の発効を実現すべき旨呼びかけた。
その後,発効要件国である米国のケリー国務長官,フレンズ・メンバー国のシュタンマイヤー独外相,ティマーマンス蘭外相,ナタレガワ・インドネシア外相,ゼルボ包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)事務局長が各々演説を行い,CTBT検証体制の発展を支持するとともに,CTBTの早期発効の重要性を訴えた。また,フレンズ・メンバー国の他,直近の批准国であるコンゴ共和国や昨年の批准国イラクもスピーチを行った。 -
(3)最後に,CTBT発効促進に向けた閣僚共同声明(英語(PDF)
/日本語(PDF)
)を採択して会合を終了した。
2.岸田大臣による演説のポイント
- CTBTは,核軍縮における法的なツールであると同時に,CTBTの条文には,核実験を禁止するという国際社会による強い決意と未来へのビジョンが示されている。
- 普遍化が進む一方で,現在に至るまで未発効の同条約を法的に有効とするためには,各国が核実験を禁止するとの政治的な意思を表明し,具体的な行動をとることにより,当該ビジョンを再確認することが重要である。
- 原爆投下70周年を迎える来年,賢人グループ会合の広島開催を含め,世界唯一の戦争被爆国の外務大臣として,核軍縮の推進を一層リードしていく。
3.評価
本件会合は,CTBTの早期発効の重要性を訴え,発効促進の機運を維持・強化するために隔年で開催してきている。今次会合では,23か国の外相を含む約80か国からハイレベルの出席を得たことで,国際社会に対し,本件問題への関心を一層高めることができた。特に,未批准の発効要件国である米国のケリー国務長官をはじめ主要関係国等の外相が多数参加した本年会合は,国際的な核軍縮の推進にとって大変意義深いものとなった。
(参考)フレンズ外相会合
- 本会合はCTBT発効促進会議(2年に1度。外相レベル)が開催されない年に,C TBT発効促進の機運を維持・強化するために開催され,会議の成果として閣僚共同声明を発出してきている。2002年,日豪蘭が共催国となり第1回CTBTフレンズ外相会合を開催。これまでに計6回開催。
- CTBTフレンズとは,主に包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の所在するウ ィーンを中心に,CTBT発効促進活動を調整・推進するため,日豪蘭が結成した国家グループ。現在は右3か国の他,カナダ,フィンランド,ドイツ及び発効促進調整国(第8回発効促進会議の共同議長国)であるインドネシア,ハンガリーの計8か国がメンバーとなっている。