I.実施計画に基づく事後評価
1. 地域・分野
1-2 朝鮮半島の安定に向けた努力
北東アジア課長 伊藤直樹
平成18年5月
施策の目標
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日朝間の諸懸案を包括的に解決し、我が国と北東アジア地域の平和と安定に資する形での日朝国交正常化 |
施策の位置付け
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平成17年度重点外交政策に言及あり。
平成18年度重点外交政策に言及あり。
第162回施政方針演説に言及あり。
第164回施政方針演説に言及あり。
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施策の概要
(10行以内)
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本件施策は、日朝平壌宣言に基づき、核、ミサイル、拉致等の諸懸案を包括的に解決し、北東アジアの平和と安定に資する形で日朝国交正常化を図ることをその目的とする。
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拉致問題に関しては、「対話と圧力」の方針の下、生存する拉致被害者の早期帰国、安否不明の拉致被害者の真相究明、拉致容疑者の引渡しを、日朝包括並行協議等の機会を通じ、北朝鮮側に引き続き強く求めていく。
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核問題に関しては、六者会合プロセスを通じ、米国、韓国等の関係国と緊密に協力しつつ、すべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄が実現されるよう、北朝鮮の前向きな対応を強く促していく。
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ミサイル問題についても、発射モラトリアムの継続のみならず、弾道ミサイルの開発・実験・配備・輸出等を控えるよう、引き続き六者会合や日朝包括並行協議等の機会を通じて北朝鮮側に働きかける。
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【施策の必要性】
北朝鮮をめぐる諸懸案を外交的手段を通じて平和的に解決することは、我が国の直接的な利益となるのみならず、国際社会全体の利益にも大きく寄与する。また、諸懸案を解決の上、日朝間の不正常な関係を正常なものとし、敵対関係を友好関係に変えていくことは、我が国を含む北東アジア地域の平和と安定にとり大きな貢献となる。
このような視点から、引き続き、六者会合を通じた核問題の解決や、日朝包括並行協議を通じた拉致問題等の諸懸案の解決に向けた取組を進めていく必要がある。
【施策の有効性】(目標達成のための考え方)
拉致、核、ミサイルといった北朝鮮をめぐる諸懸案に対し、1)「対話と圧力」の基本的考え方の下、日朝間の対話を通じ、北朝鮮へ直接の働きかけを行うアプローチ、2)六者会合等地域間の枠組みや、国連等の場を通じた国際社会への働きかけ、関係国との緊密な連携・協力といったアプローチがあり、これらを相互補完的に用いつつ、諸懸案の包括的解決を目指す。
【施策の効率性】(3行以内)
北朝鮮の核問題の平和的解決を図る上で、六者会合は、現時点において最善かつ最も現実的な枠組みであり、第4回六者会合の「共同声明」において、北朝鮮はすべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄を約束する等の結果に結び付いている。また、日朝間の対話については、2度の日朝政府間協議を経て、拉致、核、ミサイルといった諸懸案への我が方の広範な懸念や要求を直接伝える日朝包括並行協議の立ち上げに結び付いている。
【投入資源】
予算 |
平成17年度 |
平成18年度 |
1,258,766 |
1,311,705 |
単位:千円
(注)本省分予算
人的投入資源 |
平成17年度 |
平成18年度 |
28 |
30 |
単位:人
(注)本省分職員数(定員ベース)。施策1-3「未来志向の日韓関係の推進」と共通。
【外部要因】
(1)核、ミサイル問題に関しては、米、中、韓、露といった六者会合関係国の外交政策が問題解決へ向けた進展に影響を及ぼし得る。
(2)拉致問題については、国連等の場でも取り上げられており、国際社会の関心、連携の強化が問題解決へ向けた進展に影響を及ぼし得る。
(3)北朝鮮の内政、経済における動向が我が国の要求に対する北朝鮮側の対応に影響を及ぼし得る。
施策の評価
【平成17年度に実施した施策に係る評価の考え方】
通常の評価を行う。
【評価の切り口】
(1)核・ミサイル問題をめぐる協議の進捗状況
(2)拉致問題をめぐる協議の進捗状況
【目標の達成状況(評価)】
(1)核・ミサイル問題をめぐる協議の進捗状況
核問題については、平成17年7月から9月にかけて行われた第4回六者会合において、六者会合で初めてとなる「共同声明」の採択に成功。「共同声明」の中で北朝鮮はすべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄を約束。北朝鮮の核問題の平和的解決の重要な基礎となるものである。
(2)拉致問題をめぐる協議の進捗状況
(イ)拉致問題については、平成17年11月に行われた日朝政府間協議において、1)生存者の早期帰国、2)真相究明、3)容疑者の引渡しを改めて強く求めた。12月の同協議では、1)拉致問題等の懸案事項に関する協議、2)核問題、ミサイル問題等の安全保障に関する協議、3)国交正常化交渉の3つからなる日朝包括並行協議の立ち上げに合意、双方が関心を有する懸案の解決のため、誠意を持って努力し、具体的な措置を講じることを確認した。
(ロ)平成18年2月に行われた日朝包括並行協議では、具体的進展を得ることはできなかったものの、拉致問題、核・ミサイル問題をはじめとする我が方の広範な懸念や要求を直接伝えたことには一定の意義があった。
(ハ)また、我が国やEUが共同提案国となり、国連総会において採択された「北朝鮮の人権状況」決議は、拉致問題解決へ向けた国際的な圧力となっていると考えられる。
【評価の結果(目標の達成状況)】(類型化した表現で自己評価する)
「目標の達成に向けて進展があった。」
(理由)核問題については、第4回六者会合において「共同声明」の採択に成功し、北朝鮮はすべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄を約束するなど、北朝鮮の核問題の平和的解決の重要な基礎を築くことができた。拉致問題については、2度の日朝政府間協議及び日朝包括並行協議において、1)生存者の早期帰国、2)真相究明、3)容疑者の引渡しを改めて強く求めたが、具体的進展を得ることはできなかった。ただし、我が方の広範な懸念や要求を直接伝えたことには一定の意義があった。また、国連総会における「北朝鮮の人権状況」決議の採択は、拉致問題解決へ向けた国際的な圧力となっている。
【今後の課題】(評価の結果、判明した新しく取り組むべき課題等)(2行以内)
(1)六者会合の早期再開、及び「共同声明」の早期かつ誠実な履行による北朝鮮の核廃棄実現
(2)拉致問題に対する北朝鮮側の前向きな対応を引き出すための、「対話と圧力」の考え方に基づいた対応振りの具体的検討
政策への反映
【一般的な方針】(2行以内)
関係国と緊密に連携・協力しつつ、六者会合と日朝包括並行協議を併せて進展させ、諸懸案の包括的解決を目指す。
【事務事業の扱い】
- 核、ミサイル等安全保障問題の解決に向けた取組→拡充強化
- 拉致問題を含む日朝間の懸案解決や日朝関係の改善に向けた取組→拡充強化
【平成19年度予算・機構・定員要求への反映方針】
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予算要求
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機構要求
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定員要求
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反映方針
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○
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―
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○
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【第三者の所見】(施策に通じた有識者による当該評価に関する所見とする。)
【評価総括組織の所見】(評価に関する技術的な所見とする。)
施策の目標である日朝国交正常化について「核・ミサイル等安全保障問題の解決」及び「拉致問題等懸案解決・関係改善」という2つの「評価の切り口」を設定し、各々に関する成果を具体的に示しており、妥当な評価といえる。
【事務事業の評価】
事務事業名:核、ミサイル等安全保障問題の解決に向けた取組
事務事業の概要
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北朝鮮の核問題及びミサイル問題は、我が国の平和と安定に対する直接の脅威であるのみならず、国際的な不拡散体制に対する深刻な挑戦であり、六者会合プロセス及び日朝間の協議による平和的解決を図る。
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有効性
(具体的成果)
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(1)核問題については、平成17年7月から9月にかけて行われた第4回六者会合において、六者会合で初めてとなる「共同声明」の採択に成功。「共同声明」の中で北朝鮮はすべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄を約束。北朝鮮の核問題の平和的解決の重要な基礎となるものである。
(2)ミサイル問題については、平成18年の日朝包括並行協議の際の安全保障協議において、我が方より、我が国の安全を脅かす弾道ミサイルの開発中止及び検証可能な撤去・廃棄、ミサイル及び関連技術等の輸出の停止等を求めたのに対し、北朝鮮側は原則的立場の表明に留まった。日朝双方は、引き続き、日朝平壌宣言に基づいて協議を行っていくことで一致。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
(1)地域の平和と安定に重大な利害を有する六者(日・米・韓・中・露・朝)が一堂に会する六者会合は、北朝鮮の核問題の平和的解決を目指す上で、現時点で最も現実的かつ最善の枠組である。我が国としては、「共同声明」に明記された北朝鮮の核廃棄を早期に実現すべく、関係国と緊密に連携・協力し、今後一層の外交努力を傾注することが重要である。
(2)また、日朝包括並行協議において立ち上げに成功した日朝間の安全保障協議についても、日朝平壌宣言の遵守を確認した上で、核、ミサイルといった安全保障上の懸案を解決するとの観点から、今後とも、具体的な進展を得るべく拡充していく必要がある。
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事務事業名:拉致問題を含む日朝間の懸案解決や日朝関係の改善に向けた取組
事務事業の概要
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北朝鮮による拉致問題は、我が国国民の生命と安全に関わる重大な問題である。北朝鮮側に対し、「対話と圧力」の方針の下に、1)生存する拉致被害者の早期帰国、2)安否不明者の真相究明、3)拉致容疑者の引渡しを強く求めていくことが必要である。
また、拉致問題を含む諸懸案を解決し、日朝間の不正常な関係を正常なものとし、友好関係に変えていくことは、我が国を含む北東アジア地域の平和と安定にとり大きな貢献となる。
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有効性
(具体的成果)
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(1)拉致問題については、2度の日朝政府間協議及び日朝包括並行協議において、1)生存者の早期帰国、2)真相究明、3)容疑者の引渡しを改めて強く求めたが、具体的進展を得ることはできなかった。ただし、我が方の広範な懸念や要求を直接伝えたことには一定の意義があった。また、国連総会における「北朝鮮の人権状況」決議の採択は、拉致問題解決へ向けた国際的な圧力となっている。
(2)日朝関係の改善については、日朝包括並行協議の際に3年3か月ぶりに国交正常化交渉が行われたが、日朝平壌宣言に明記されている「一括解決・経済協力方式」の具体的に意味するところにつき、北朝鮮側の正しい理解は得られなかった。
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事業の総合的評価
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○内容の見直し ○拡充強化 ○今のまま継続 ○縮小 ○中止・廃止
(理由と今後の方針)
(1)一定の意義はあったものの、北朝鮮側からは拉致問題解決に向けた前向きな対応はいまだなされていない。今後も、国連等の場における国際社会への働きかけに加え、「対話と圧力」の方針の下、北朝鮮との協議において誠意ある対応を強く求めていく必要がある。
(2)国交正常化交渉についても、拉致問題を含む諸懸案を包括的に解決し、「一括解決・経済協力方式」についての北朝鮮側の正しい理解を得た上で、日朝関係を正常化すべく、更なる外交努力が必要である。
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【評価をするにあたり使用した資料】
資料をご覧になる場合は、外務省ホームページ(
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