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平成17年11月7日
昨年11月以来約1年ぶりの再開となる今般の協議では、拉致問題をはじめとする懸案事項や、過去の清算等の双方の関心事項につき、率直で突っ込んだ意見交換が行われた(当方:齋木昭隆外務省アジア大洋州局審議官他、先方:宋日昊(ソン・イルホ)外務省副局長他)。
(1)我が国にとり、今回の協議の最優先事項であったが、改めて、(イ)生存している拉致被害者の早期帰国、(ロ)真相の究明、(ハ)容疑者の引渡しを強く求めた。その際、昨年12月25日に先方に伝達した我が方見解にも言及しつつ、我が方が納得のいく説明や物証を示すよう北朝鮮側に改めて要求した。
(2)北朝鮮側から、拉致問題は解決済みとの立場を維持し、拉致被害者に関する新たな情報の提供はなかったが、日本側が引き続き拉致問題を懸案事項として提起することは理解している旨述べた。更に、日朝関係全般の進展を図るためには、懸案事項(拉致、核、ミサイル)や双方の関心事項(過去の清算等)を解決することが不可欠であることについて共通の理解が得られた。
(3)我が方からは、拉致問題に進展がなければ、政府として厳しい対応を決断することになる旨改めて伝えた。特定失踪者の問題についても、改めて情報提供を求めた。
(4)横田めぐみさんのものとされる「遺骨」に関しては、我が方より、その経緯を巡る不審な諸点につき改めて説明を求め、我が方鑑定結果についても説明を行った。北朝鮮側よりも、DNA鑑定に関する先方の見解が述べられた。
(5)松木薫さんのものとされる「遺骨」についても、改めて双方が見解を述べ合った。
(1)北朝鮮側より、日本の植民地時代の被害者の問題等の「過去の清算」の問題に、日本側が真摯に取り組むべきである旨改めて見解の表明があった。これに対し、我が方より、「過去の清算」の問題については、「日朝平壌宣言」に従って、今後、誠実に議論し、対応していく用意がある旨説明した。
(2)安全保障の問題については、我が方より、北朝鮮の核、ミサイルの脅威の除去について、日朝間で議論する必要がある旨主張した。
日朝関係全般を進展させる方法について意見交換した。その中で、
1)懸案事項に関する協議(拉致問題等)、
2)安全保障に関する協議(核、ミサイル問題等)、
3)国交正常化交渉(過去の清算を含む財産・請求権、経済協力等)
という3つの協議を並行して進めていくが、1)及び2)の解決なしに3)の終結はないとの考えを我が方より説明し、お互いに検討を重ねていくこととした。
双方とも、今回の政府間協議は有益であったとの認識で、近いうちに、再度協議を持つ方向で調整することとなった。