外務副大臣・外務大臣政務官

平成25年5月7日
1.訪問全体概要

 (1)期間:4月29日(月)~5月4日(土)

 (2)訪問国:フランス、リトアニア、デンマーク、フィンランド
2.全体の意義

 (1)「経済外交の推進」と「東アジア情勢への理解促進」を基本として、安倍総理及び岸田外務大臣の外国訪問と軌を一にする形での欧州訪問を行った。

 (2)経済外交については、フランスで日・EUビジネス・ラウンドテーブル年次会合に出席したほか、リトアニア、フィンランドにおいては、日本企業が関与する大型プロジェクトに関する意見交換を行った。さらに、各国において、日本経済再生と復興支援の観点から、日本の農水産品に対するEU輸入規制の更なる緩和・撤廃を要請した。

 (3)東アジア情勢については、デンマークを始めとする海洋国家としての理解と問題意識を共有できる国、国際的発信力の高い国との意見交換を通じ、欧州各国において東アジアの安全保障環境についての理解を一層深めることを狙いとした。
3.各国訪問概要

 (1)フランス(4月29日)

 (ア) 第15回日・EUビジネス・ラウンドテーブル(BRT)年次会合出席
  • BRT は以前から日EU・EPAの早期交渉開始を提言し、その実現に向け尽力してきている。今回は、EPA交渉開始後初めての会合であり、その場で松山副大臣から、日本と欧州を代表する約50社の代表を前に、協定の早期締結に向けた政府としての決意を表明することができた。
  • 日本とEUの経済連携強化は、日本の成長戦略の一端を担うものであり、今回の会合への松山副大臣の出席により、政府と経済界が一体となって経済連携の取組を進め、日欧経済関係の発展に取り組むことを改めて確認することができた。
 (イ) フランス政府要人との会談
  • BRT出席の機会を捉え、松山副大臣は、ファビウス・フランス外務大臣及びシュバイツァー日仏パートナーシップ外相特別代表と会談した。
  • 会談においては、5月7日の第3回日仏外相戦略対話に向けて、オランド大統領訪日成果についての基本的考え方に加え、東アジア及びアフリカ情勢について認識を共有した。
(注)日・EUビジネス・ラウンドテーブル: 1999年に発足した日欧ビジネス界の対話の枠組み。年1回、日本及びEUの主要企業のトップクラスが一堂に会し、日欧間の更なる経済関係強化へ向けてビジネス界の立場から討議を行い、日・EU両政府に対し、提言を提出している。

 (2)リトアニア(4月30日、5月1日)
  • 外務副大臣、経済大臣及びエネルギー大臣との会談において、杉原千畝のゆかりにより伝統的に良好な二国間関係を一層強化するとともに、本年後半のEU議長国として、日EU・EPA交渉の進展に向け、リトアニアの協力を要請した。
  • また、現在リトアニアでは、新エネルギー戦略について議論が進められている。4月25日には、政府から議会に案が提出されたところであり、今回の松山副大臣の訪問により、その内容について、リトアニアにおける原発建設計画の今後の進展に関する検討・取組状況を含め、政府部内での責任者から直接説明を受けることができた。
  • 松山副大臣からは、リトアニアにおいて日本の原発技術が評価、期待されていることに謝意を表明するとともに、世界の原子力安全の向上に貢献することは日本の責務であり、福島第一原発の事故原因の調査結果や原子力安全への取組等についてはリトアニアにも丁寧に説明したい旨述べた。
 (3)デンマーク(5月2日)
  • デンマークは、自由で開かれた海洋貿易に国家繁栄の基盤をおいている海洋国家であり、国際情勢に対する戦略的認識を深く共有できる国である。こうした認識に基づき、経済・内務大臣、貿易・投資大臣、国会外交政策委員長との会談において、先方からの関心に応じてアジアにおける海洋の問題につき説明するとともに、北極における協力につき意見交換を行った。
  • また、自由貿易を堅持するデンマークに対し、日EU・EPA交渉の進展に引き続きの協力を要請した。
  • 加えてデンマークは、総消費電力の4割が再生可能エネルギーにより産出される「再生可能エネルギー最先進国」である。この点を踏まえ、デンマークに対し、日本の最近の環境・エネルギー政策につき説明するとともに、グリーン・エネルギー分野等での協力について意見交換を行った。
 (4)フィンランド(5月3日)
  • 欧州・外国貿易大臣、経済大臣、外務筆頭次官、大統領府長官、首相府長官と会談し、東アジア、北極を含む地域情勢について幅広く議論した。また、現在進行中であるフィンランドの原発建設計画に対するフィンランド政府の立場及び現状・見通し等について説明を受けた。
  • 松山副大臣からは、フィンランドにおいて日本の原発技術が評価、期待されていることに謝意を表明しつつ、福島第一原発事故に関する知見と教訓を世界と共有し、原子力安全の向上に貢献していきたい旨説明した。
  • そのほか、日本の航空会社による成田・ヘルシンキ直行便の就航予定にも触れつつ、日本企業にとってフィンランドはロシア等へのゲートウェイとしての潜在的重要性を有しており、こうした観点を踏まえた貿易・投資の拡大の方途につき議論した。

外務副大臣・外務大臣政務官へ戻る