アフリカ開発会議(TICAD)
第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の開催(2日目:全体会合2・3及び閉会式)
現地時間8月28日9時56分(日本時間同日17時56分)から、岸田文雄内閣総理大臣は、チュニジアで開催された第8回アフリカ開発会議(TICAD8)全体会合2及び全体会合3にビデオ・メッセージの形で参加し、続いて行われた閉会式にテレビ会議方式で出席しました。
第1日目と同様、総理特使としてチュニジアを訪問中の林芳正外務大臣が対面形式で出席しました。また、TICAD8の機会を通じ、岸田総理は、計10か国・地域機関の首席代表との会談を実施しました。また、林外務大臣は、計21か国の首席代表との会談を実施しました。
1 全体会合2(社会)
(1)岸田総理のビデオ・メッセージは会合冒頭で流され、その中で総理は、TICAD7以降の最大の変化の一つが新型コロナ感染拡大であり、日本のコールドチェーン整備等の包括的な支援を紹介した上で、アフリカ疾病予防管理センター(アフリカCDC)やガーナの野口記念医学研究所への支援がコロナ禍で効果を発揮したことを踏まえ、感染症対策の拠点となる現場への支援を強化すべく、3万5000人の医療人材を育成する旨述べました。さらに、ポスト・コロナの経済成長には、成長の担い手たる「人作り」が重要であり、若者や女性を含め、質の高い教育へのアクセス向上に取り組むべく、900万人にSTEM(科学・技術・工学・数学)教育を含む質の高い教育を提供し、400万人の女子の教育を改善する考えを強調しました。加えて、経済成長を持続可能なものにするためには、人々の生活環境改善のため、環境問題への対応も重要であるとし、「アフリカのきれいな街プラットフォーム」の枠組み等を通じ、今後もアフリカにおける様々な課題への対応を強化していく意向を表明しました。
(2)これに続いて行われた同全体会合では、社会分野に焦点が当てられ、ワクチン接種を含めた保健医療体制の抜本的な強化や人材育成の更なる推進が重要であり、アフリカ地域が大きな影響を受けている気候変動についても、国際社会が連携して対策を行う必要がある、といった意見が交わされました。また、これまでの日本の取組に謝意が表明されるとともに、さらなる支援に期待する旨の発言が多くありました。
2 全体会合3(平和と安定)
(1)岸田総理のビデオ・メッセージは、同会合の締めくくりで流され、アフリカの人々が安心して暮らせるよう、各国と共に、平和で安定したアフリカの実現に向け取り組む考えを表明しました。具体的には、司法・行政分野の制度構築・ガバナンス強化を通じた法の支配の推進や、憲法秩序への回復・民主主義の定着に向けたアフリカ自身による取組を日本として力強く後押ししていく考えを示し、その一環として、「アフリカの角」特使を任命することを表明しました。
(2)また、コミュニティレベルでの住民と行政の間の相互理解・協力関係促進のため、住民500万人のための行政サービスの改善に向けた取組を実施し、コミュニティの基盤強化にも貢献していく考えを示しました。さらに、アフリカ、そして国際社会の平和と安定を実現するためには国連の果たす役割も重要であり、安保理改革を含む国連全体の機能強化に向け、アフリカ諸国との連携強化に取り組む考えを表明しました。
(3)アフリカ各国首脳等からは、平和と安定はアフリカの発展の礎であり、複雑化する地域情勢へ対応するためのアフリカ自身の取組について紹介がありました。また日本が推進する「アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)」を含むアフリカの平和と安定に向けた日本の取組への期待が示されました。
3 閉会式
林外務大臣の議事進行の下、岸田総理、サル・セネガル大統領及びサイード・チュニジア大統領から締めくくりの挨拶を行うとともに、会議の成果文書として「TICAD8チュニス宣言」を採択しました。
[参考]
- TICAD8チュニス宣言(英文(PDF)/和文仮訳(PDF))
- 閉会式における岸田総理大臣による挨拶