アフリカ開発会議(TICAD)
アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合(結果概要)



8月24日及び25日,モザンビークの首都マプトにて,アフリカ開発会議(TICAD)閣僚会合が開催されたところ,概要は以下のとおり。日本からは河野太郎外務大臣,堀井学外務大臣政務官及び武部新環境大臣政務官が出席。河野外務大臣は,共催者(国連,国連開発計画(UNDP),世界銀行,アフリカ連合委員会(AUC))の代表と共同議長を務めた。開催国のモザンビークからはバロイ外務協力大臣が出席するとともに,開会セッションにはニュシ大統領も臨席し,歓迎挨拶を述べた。
1 出席者・日程
(1)出席者
アフリカ51か国(外相16名,その他閣僚9名,閣僚級12名),開発パートナー諸国及びアジア諸国,国際機関及び地域機関並びに市民社会の代表等が参加した。
(2)日程
8月24日(木曜日)
8月25日(金曜日)
2 会議の概要
(1)開会セッションにおいて河野外務大臣は,昨年のTICAD VIは日本とアフリカのパートナーシップを新たなレベルに引き上げたとして,アフリカ連合(AU)の「アジェンダ2063」の実現に向けて共に取り組みたい旨述べた。また,TICAD VIの際に安倍総理が発表した「自由で開かれたインド太平洋戦略」に言及し,航行の自由等の国連海洋法条約に反映された国際法の諸原則に基づく海洋秩序及び質の高いインフラ投資を通じたアジアとアフリカの連結性強化の重要性を強調した。さらに,アフリカへの民間投資促進のための環境整備として,投資協定交渉を推進している旨紹介した。
(2)河野外務大臣は,全体会合1のステートメントにおいて,日本は,「ナイロビ宣言」の3つの柱(経済の多角化・産業化,保健,社会の安定化)に沿って,昨年以降約50億ドルの取組を実施し,TICADVを開催した2013年から2016年の間における取組の総額が267億ドルに達した旨説明した。また今後は民間投資を一層促進するための取組が重要である旨強調した。また,TICADが開かれた包摂的なフォーラムであることの証左として,日本と各国の三角協力によるアフリカ開発のグッドプラクティスを紹介した。
(3)全体会合2では,堀井学外務大臣政務官から,民間投資を促進するための取組として,ABEイニシアティブを通じた産業人材育成や,政府系機関による民間企業のプロジェクトへの融資等の進捗を紹介した。また,質の高いインフラ投資により連結性を強化する上で,経済的な実現可能性と債務持続性が確保されることの重要性を強調するとともに,国際的な港湾を含む主要インフラが,国際スタンダードに則し,公平で開かれた透明性の高い形で運用される必要がある旨述べた。
(4)全体会合3では,堀井学外務大臣政務官から,人間の安全保障の理念に基づき,持続可能で包摂的な開発を達成するための取組として,感染症対策の人材育成やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けた保健分野での協力の他,農業・食料安全保障,若者の職業訓練を含む社会の安定化のための貢献を紹介した。また,地域の平和と安定及び繁栄にとり,航行の自由及び阻害されない合法的な通商を確保することが重要である旨指摘し,国連海洋法条約に反映された国際法に則った,ルールに基づく海洋秩序の維持が必要である旨述べた。更に,武部新環境大臣政務官から,サイドイベント「アフリカのきれいな街プラットフォーム」の報告を行った。
(5)閣僚会議への報告として,「TICAD進捗報告2017」及び「日本の取組 2017年」を公表するとともに,議論の概要を共同議長サマリーとしてとりまとめた。
3 個別会談・サイドイベント
(1)河野外務大臣及び堀井学外務大臣政務官による各国出席者との会談
河野外務大臣は,ニュシ・モザンビーク大統領及び偶々マプト滞在中のズマ南アフリカ大統領を表敬した他,11名のアフリカの外相との間で個別に会談を行った。また,堀井外務大臣政務官は,8名のアフリカの閣僚級参加者との間で個別に会談を行った。
(2)サイドイベント「日・アフリカ民間セクターとの対話」
堀井学外務大臣政務官は,8月24日に開催された「日・アフリカ民間セクターとの対話」に出席して,挨拶を行い,アフリカの発展と経済成長促進のために民間企業の果たす役割は極めて大きく,TICADは官民連携のため重要なプラットフォームを提供している旨述べた。また,日本企業の高い技術力がアフリカの開発課題の解決に資すると確信していると述べた。
本件サイドイベントには,トネラ・モザンビーク商工大臣,デービス南ア貿易産業大臣を始めとしたアフリカ各国閣僚,日本企業49社,アフリカ企業約130社から400名以上が出席した。
また,日本企業5社とアフリカ3か国の間で計5件のMOUを披露する式典が執り行われた。
(3)サイドイベントUNDP主催「サブサハラ・アフリカにおける所得不平等のトレンド」報告書発表式典
堀井学外務大臣政務官は,8月24日に開催された「サブサハラ・アフリカにおける所得不平等のトレンド」報告書の発表式典に出席し、挨拶を行い,アフリカが安定して経済成長を続けていくためには,成長の恩恵が社会全体に行きわたることが重要であり、そのために,人的資源への投資,国内制度の整備,生産性向上,経済構造改革等が鍵となる旨述べた。本件サイドイベントはUNDPが主催し,アフリカ各国,世界銀行を含む国連機関等が出席した。
(4)サイドイベント「アフリカのきれいな街プラットフォーム」
武部新環境大臣政務官は,8月24日に開催されたTICAD閣僚会合サイドイベント「アフリカのきれいな街プラットフォーム」に出席して,挨拶を行い,きれいな街の実現は,健康な生活だけでなく,観光客及び,アフリカの持続可能な発展に必要な投資を引きつける旨述べた。また, このプラットフォームを活用して,日本は,廃棄物管理の改善のための人材開発や3Rの推進などの具体的な取組を実施し,アフリカ諸国との緊密に協力していくと述べた。