アジア
日・ASEAN外相会議



8月6日(日曜日)午後5時55分(現地時間)から約1時間,フィリピン・マニラにおいて日ASEAN外相会議が行われたところ,河野大臣の発言を中心に概要以下のとおりです。
1 冒頭
リム・ジョクセン第ニ外務貿易大臣より,河野外務大臣の就任に祝意を伝達しつつ,ASEAN設立50周年の機会に河野大臣をお迎えできて嬉しく思う旨述べつつ,過去数十年間の日本との協力の文脈で,安倍晋太郎,河野洋平両元外務大臣が果たした役割を評価し,これまでの日本のASEANに対する協力に謝意を表しました。
続いて,河野大臣より,これが自分の国際会議デビューである,ASEANには2年間在住したことがあり,ラオスを除くすべてのASEAN加盟国を訪問したことがある,近いうちにラオスも訪問したい,ASEAN設立50周年に,心から祝意を申し上げたい,日本は,1977年の第1回日・ASEAN首脳会議以降,一貫して,ASEANの政治的・経済的発展を支援,日ASEAN協力の指針である2013年の「ビジョン・ステートメント」(PDF)の下,この4年間に2兆3,000億円以上のODAを実施した,国際スタンダードに即した質の高いインフラ整備に加え,教育から産業まで幅広い分野における人材育成等を通じ,ハード・ソフト両面からASEANの持続的成長に着実に貢献してきている旨述べた。
また,河野大臣から,日本としては,ASEANの中心性と一体性を強く支持するとともに,引き続きASEANの方針,ニーズに寄り添いつつ,ASEAN共同体の更なる統合深化を力強く支援していく,かかる観点から,今般,「ビジョン・ステートメント実施計画」をASEANの新しいビジョン及び計画に即した内容に改訂(仮訳(PDF) / 英文 (PDF)
)することは喜ばしい旨述べました。
さらに,河野大臣は,日ASEAN技術協力協定の交渉開始を本日正式に決定したい,この協定が締結されれば,これまでの二国間支援に加え,ASEANが共同体として進めようとする計画や事業に対してもJICAによる支援が可能となり,日ASEAN関係の更なる深化に寄与するものと確信している旨述べました。
2 日ASEAN協力関係のレビュー及び将来の方向性
リム・ジョクセン大臣がASEANを代表して,ASEANと日本の関係は素晴らしい前進を遂げてきた。ビジョン・ステートメントの達成状況を歓迎し,技術協力協定への期待感が示されました。
河野大臣より,日本は,様々なイニシアティブを通じてASEANへの協力を約束してきたが,日本はそれらを約束どおり,誠実かつ着実に実施してきている,日本は,ASEANが重視する分野において,ハード・ソフトの両面で引き続き質の高い協力を実施していく,ASEAN経済共同体ブループリント2025のような,ASEANが共同体として掲げるビジョンの実現に対する貢献は,我が国の対ASEAN支援の重要な部分である,日本は,ASEAN設立50周年の機会に,これまでの二国間支援に加えて,ASEANへの技術協力を通じて,ASEANが共同体として進める計画や事業をJICAが直接支援できるようにしていきたい,これにより,ASEANの共同体レベルでのビジョンの明確化から各国における案件の具体化まで,ASEANの統合を更に強力に支援することが可能となる旨述べました。
また,河野大臣からは,保護主義的な動きが世界に広がる中,自由で開かれた経済秩序と自由貿易体制を推進していくというメッセージをアジアから発信していくことは極めて重要である,先日,日EU経済連携協定が大枠合意に至った。この勢いを更に強めるべく,日本とASEANは,ASEANが主導するRCEP交渉において,包括的で,バランスのとれた,質の高い協定の早期妥結を目指すべき旨述べました。
ASEAN側からは,多くの参加者から河野大臣の就任に対する祝意の表明があったほか,連結性強化,質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ(PDF),日メコン連結性イニシアティブ,産業人材育成イニシアティブ(PDF)
等,多くの日本の協力について謝意が述べられました。
3 地域・国際情勢
(1)河野大臣から,南シナ海における大規模な拠点構築は継続しており,深く懸念,非軍事化の必要性を訴えていく必要がある,日本は,武力による威嚇又は武力の行使等によるものを含め,力を背景に現状変更を試みるあらゆる一方的な行動に対して強く反対する,国際法に基づき,現場における非軍事化及び自制が維持されることを前提に議論が進み,法的拘束力があり,実効的なCOCが早期に策定されることを期待する旨述べました。
(2)河野大臣から,7月28日,北朝鮮は2回目のICBM級弾道ミサイルの発射を強行,ASEAN各国は完全に射程圏内かつ現実の脅威,今は対話の局面ではなく,北朝鮮が非核化に向けた具体的行動を示すよう,北朝鮮への実効的な圧力を強化する必要がある,7月末,日本は独自の対北朝鮮措置を強化した旨述べました。
4 結び
最後に,「ビジョン・ステートメント実施計画」の改訂及び日ASEAN技術協力協定の交渉開始が正式に決定されたことが確認されました。