欧州連合(EU)

平成29年7月6日
トゥスク欧州理事会議長及びユンカー欧州委員会委員長
と握手する安倍総理大臣(写真提供:内閣広報室)
日EU定期首脳協議
(写真提供:内閣広報室)

 7月6日(木曜日)11時(現地時間。日本時間同日18時)から約60分間、安倍晋三内閣総理大臣は、ベルギーのブリュッセルにおいてドナルド・トゥスク欧州理事会議長(H. E. Mr. Donald Tusk、 President of the European Council)及びジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長(H. E. Mr. Jean-Claude JUNCKER、President of the European Commission)と第24回日EU定期首脳協議を行い、その後の共同記者会見に引き続き、12時50分から約70分間ワーキングランチを行ったところ、概要は以下のとおりです。また、本首脳協議の成果文書として以下5.の文書が発出されました。

1 日EU関係(日EU・EPA及びSPAの大枠合意等)

(1)両首脳は、3月、5月に続く今年3回目となる会談を実施し、日EU経済連携協定(EPA)及び戦略的パートナーシップ協定(SPA)について大枠合意に達したことを確認しました。

(2)安倍総理から、大枠合意の実現は首脳間の信頼関係に基づく双方の強い政治的意思の成果である旨述べるとともに、保護主義的な動きが広がる中、日EU・EPAの大枠合意を実現できたことは、日EUが自由貿易の旗手として、その旗を高く掲げ続けるとの強い政治的意思を示したものであり、世界に対して強いメッセージである旨、また、包括的で高いレベルの、バランスの取れた本協定は、国際貿易・投資の促進に一層貢献し、日本国民、EU市民の双方が大きく裨益するものであり、自由で公正なルールに基づく、21世紀の経済秩序のモデルとなるものであるとの認識の下、今後、本協定を基礎として新しい時代のより強固な日欧経済関係を築いていきたい旨述べました。
 これに対し、トゥスク議長およびユンカー委員長からも、今般の合意に基づき、より深く幅広い協力を進めていく基盤が形成された、FTAではなくEPAという、より大きなパートナーシップを反映する名称の協定に大枠合意することとなったことが示すように、双方の企業、市民にとり利益になるだけでなく、国民同士の関係をより緊密にするものとなったとの評価が示され、双方で交渉担当者の労をねぎらうとともに、その成果を称えました。
 日EU・SPAの大枠合意について、双方は、国際社会が様々な挑戦に直面する中、基本的価値を共有するEUとの戦略的関係をさらに強化するものであり、より一層連携を強化していくことを確認しました。

(3)英国のEU離脱プロセス及び今後のEU英関係については、安倍総理から、国際社会の平和と安定、世界経済、企業活動等に様々な影響があるので、引き続き透明性のみならず予見可能性に配慮するよう要請しました。先方より、日本のように近いパートナーとは随時情報交換をし、透明性を保っていきたい旨述べました。

(4)安倍総理から、福島県産等の日本食品等を対象とする輸入規制の更なる撤廃を要請しました。先方より、本件を日本側が重視していることは理解しており、今後とも状況を随時チェックし、更なる規制の撤廃を検討していきたい旨述べました。

2 国際的な諸課題

 両首脳は、安全保障、テロ対策、治安、世界経済、気候変動、移民・難民など国際社会が直面する諸課題についても幅広く議論し、G20ハンブルク首脳会合に向け、協力・連携を緊密に行っていく旨を確認しました。開発については、質の高いインフラ整備のための国際スタンダード作りなど、具体的な協力を進めるべく、専門家レベルの協議プロセスの立ち上げについても一致しました。また、エネルギー、科学技術分野での連携を深めることでも一致しました。

3 地域情勢

 アジア情勢や欧州情勢をはじめとする地域情勢についても忌憚ない意見交換をしました。特に北朝鮮情勢について、7月4日に行われた弾道ミサイル発射を非難するとともに、北朝鮮に全ての核・ミサイル計画のための放棄を求めるべく、関連品目や資金の移転をさらに制限するための措置の強化の用意があり、新たな国連安保理決議の早急な採択が重要である等の点につき一致しました。さらに拉致問題については、安倍総理から早期解決に向けた理解と協力を求め、理解を得ました。

4 最後

 最後に両首脳は、EPAとSPAの原則合意により、これまでの日EU関係が最も緊密な時期を迎えたことを祝しつつ、このような関係を活用して世界によりよい影響を及ぼしていくべく、一層の連携をしていくことで一致しました。

5 文書

  • 画像1
    日EU共同記者会見
    (写真提供:内閣広報室)

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