中華人民共和国

平成28年7月15日
李克強中国首相と握手を交わす安倍総理大臣
(写真提供:内閣広報室)
日中首脳会談
(写真提供:内閣広報室)

 ASEM首脳会合出席のためにモンゴル・ウランバートルを訪問中の安倍総理は,7月15日14時半頃から約30分間,李克強・中国国務院総理との間で日中首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおり。
 なお,会談の中で,ダッカ襲撃テロ事件での犠牲者及び南スーダンでの中国PKO要員の犠牲者に対し,互いに弔意の表明があった。

1 冒頭,李克強総理から,今回,安倍総理と8か月ぶりに会見することになった,日中関係の改善の勢いを保てるか否か,記者の注目も非常に高い,日本には,4つの基本文書を遵守し,歴史を鑑に未来に向かうとの精神にのっとって,日中関係の改善のために努力してほしい,本日は双方が関心を有する問題について率直に意見交換をしたい旨述べた。

2 これに対し,安倍総理から,再会をうれしく思う,日中間には依然として難しい問題があるが,共通の課題に前向きに取り組みたい,特に,英国のEU離脱問題もある中,世界経済が危機に陥らないよう,G20サミットに向けて協力していきたい,また,テロがアジアに浸透しないように,中国を含む国際社会と一層連携を深めていきたい旨述べた。

3 続くやり取りの中で,安倍総理から,次のとおり述べた。

(1)世界経済の先行きが不透明な中,李克強総理が,構造改革を含め,中国経済の舵取りを行っていることを評価。経済面の連携強化のため,日中ハイレベル経済対話を早期に開催したい。マクロ経済・財務・金融,省エネ・環境等の分野で具体的に協力したい。

(2)テロ対策についても,具体的な協力を進めたい。

(3)北朝鮮に対し,挑発行動の自制,安保理決議等の遵守を共に強く求めたい。先般の弾道ミサイル発射に対し,安保理は更なる対応をとるべき。引き続き連携したい。

(4)互いに「戦略的互恵関係」の原点に立ち,青少年交流の拡充等の前向きな協力・交流に力を注いでいきたい。

4 会談の中で,李克強総理から,次の発言があった。

(1)テロはグローバルな問題であり,日中が協力してグローバルなテロの脅威に対応していくべきである。

(2)英国のEU離脱の影響で市場に変化が起こっているが,金融危機が再来することのないよう,日中でしっかりと協力していきたい。

(3)日中関係については,大きな方向性を把握した上で,互いに協力して戦略的互恵を実現させていきたい。9月のG20サミットに当たって,安倍総理が中国を訪問されることを心から歓迎したい。

5 安倍総理から,南シナ海に関し,我が国の立場を率直に伝えた。

我が国は,従来から,「法の支配」の下で,紛争を平和的に解決していくことの重要性を指摘してきている。
東シナ海についても,率直な意見交換を行った。

6 会談を通じて,両首脳は,次の点で見解の一致をみた。

(1)テロがアジアに浸透していかないよう協力していく。今回のニースの事件も,決して許されない。

(2)9月に中国で開催されるG20サミットに向け,世界経済を回復させ,力強く成長させていくために,日中で協力していく。

(3)懸案もあるが,日中両国は互いに欠くことのできないパートナーであり,「戦略的互恵関係」の原点に立ち,日中関係を前進させていく。


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