ODA(政府開発援助)
ゴミのない清潔なドミニカ共和国を目指して
原稿執筆 在ドミニカ共和国日本国大使館
ドミニカ共和国のゴミ問題

(持ち込まれたゴミがそのまま放置され,
異臭や自然発火等の公衆衛生や環境汚染の問題が発生。)
エメラルドブルーの海,白い砂浜,さんさんと照りつける太陽。
カリブ海と言えばこんな風景を思い描く方が多いと思います。ドミニカ共和国はまさにカリブ海のイメージ通りの美しい海岸に囲まれた,自然が豊かで陽気な人たちの住む,とっても素敵な国です。
しかし,町中や地方では,ゴミが散乱していたり,適切に管理されていないゴミ処分場が多いのが目立ちます。
ドミニカ共和国は,順調な経済発展を続けているものの,それに伴い廃棄物の排出量も劇的に増加しています。
整備が行き届いていない地域では,屋外投棄(オープンダンピング)によって公衆衛生上の問題を引き起こしているほか,ゴミ捨て場からしみ出る汚水による河川の汚染問題もあります。これら環境問題による,ドミニカ共和国の主要産業である観光業への悪影響も懸念されています。
このような状況を改善するため,日本は,同国の中央政府と地方自治体の共同による廃棄物管理体制が整うよう,2014年から2017年にかけて「全国廃棄物管理制度・能力強化プロジェクト」を実施しました。
プロジェクトの成果を生かして

(コンポスト(堆肥)に関する研修でゴミの選別を行う研修生)
このプロジェクトにより,地方自治体における廃棄物を管理するためのガイドラインやマニュアルが作成されました。他にも,一つの廃棄物最終処分場の共同利用と管理を目的に,複数の自治体による「自治体連合」が,地方政府として初めて形成されたり,中央政府,地方自治体,自治体連合の全国に向けた正しい廃棄物管理の体制も整いました。
プロジェクト終了後は,プロジェクトの成果を生かした国家プログラム「ドミニカーナ・リンピア(清潔なドミニカ)計画」がドミニカ政府より発表され,現在,環境教育や廃棄物管理に関する様々な活動が進められています。

(土壌へ汚水がしみ出るのを防ぐとともに,排水管を設置。
持ち込まれたゴミを捨て,土で覆う。)
日本は,ドミニカ共和国における廃棄物分野に対して,1990年代以降から研修員派遣やボランティア派遣,2000年代から開発調査や技術協力プロジェクトなどの協力を実施しています。
具体的には,研修員派遣では,ドミニカ共和国の職員が日本で日本の廃棄物処理を学ぶ研修を受講しました。また,ドミニカ共和国各地に日本人ボランティアを派遣し,環境教育を実施しています。開発調査では,首都サント・ドミンゴの廃棄物処理管理に係るマスタープラン(基本計画)を作成し,技術協力プロジェクトでは,首都および地方自治体職員の能力強化を支援したり,複数自治体が管理する最終処分場を設置しました。この他にも,中古ゴミ収集車の供与などを通じた協力も続けてきており,日本の協力はドミニカ共和国内で高い評価と信頼を得ています。
このような協力の歴史もあり,「ドミニカーナ・リンピア計画」発足式典では,メディーナ大統領や環境天然資源大臣等の多くの登壇者から,これまでの日本の協力に対する感謝が述べられました。