
我が国の安全と繁栄を維持し,国民の生命と財産を守ることは,政府の最も重要な責務です。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中,(1)我が国は適切な防衛力の整備に努め,(2)日米安全保障体制を堅持するとともに,(3)我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力や国際平和協力を推進するという基本政策を堅持していきます。

グローバル化や情報通信の高度化,人の異動の拡大等に伴い,一層深刻化している人身取引,薬物犯罪,サイバー犯罪,資金洗浄(マネ-・ロンダリグ)等の国境を越える組織犯罪(国際組織犯罪)への対応は国民の安全・安心に直結しています。国際社会が一致して対処する必要があるため,日本も国際的な取組に積極的に参画しています。テロは国家及び国民の安全の確保の問題のみならず,投資・観光・貿易等に対する影響を通じ,我々の経済生活にも重大な影響を与える問題です。日本はいかなる理由をもってしてもテロを正当化することはできず,断じて容認することは出来ないとの基本的立場をとっており,他国に対する支援や国際的な法的枠組みの強化など,国際社会と協力して積極的にテロ対策を強化していく考えです。

紛争の再発を防ぐため,和平プロセスの促進から治安の確保,復興・開発に至る継ぎ目のない取組は,世界が直面する重大な課題です。日本は,このような平和構築を主要な外交課題の一つとし,国連平和維持活動(PKO)等への貢献,政府開発援助(ODA)を活用した現場における取組,知的貢献及び人材育成を3本柱に,具体的な取組を推進しています。

四方を海に囲まれた海洋国家である日本にとって,国連海洋法条約をはじめとする海洋の国際法秩序の発展は,日本の国益を守っていく上で重要です。また,石油や鉱物等のエネルギー資源の輸入のほぼすべてを海上輸送に依存している貿易立国でもある日本にとって,海上の安全の確保は,国家の存立・繁栄に直結する問題であるだけでなく,地域の経済発展にとっても極めて重要です。近年,アジア及びアフリカ地域で頻発する海賊問題は我が国の海上輸送への脅威となっており,こうした海賊行為への対策に協力しています。

日本は,自国の安全を確保・維持し,また,日本国憲法にうたわれる平和主義の理念に基づき平和で安全な世界を目指すため,国際社会の責任ある一員として,軍縮・不拡散に取り組んでいます。対象となるのは,大量破壊兵器(一般に核兵器・生物兵器・化学兵器をさします)・ミサイルとそれ以外の通常兵器です。
原子力分野については,日本は自らの原子力利用を厳格に平和目的に限り,国際社会における原子力の平和利用を適切に推進するための外交を実施しています。また,東京電力福島第1原子力発電所事故の経験と教訓を踏まえ,国際的な原子力安全の向上に最大限貢献していきます。

日本は、国連を中心とした国際協調の推進を外交政策の主要な柱の一つとして掲げ,安保理改革を始めとする国連改革の早期実現を目指しています。

人権・民主主義は普遍的な価値であり,その基盤が各国において十分整備されることは,国際社会の平和と安定に資するものです。日本は,国連を始めとする多数国間の場における人権・民主主義にかかわる取組と,人権対話や開発援助等を通じた二国間の場における取組を相互に連携させつつ,包括的に人権・民主主義外交の強化を図っていく考えです。

国際社会における「法の支配」の確立は,国家間の関係を安定させ,紛争の平和的解決を図り,各国内の「良い統治」を推進する上で重要です。日本は国際社会における「法の支配」の確立を外交政策の柱の一つとして位置付け,様々な取組を積極的に行っています。「法の支配」の確立は,自国領土の保全,海洋権益及び経済的利益の確保,自国民の保護などの観点からも重要であると考えています。