世界の医療事情

コンゴ共和国

2022年10月

1.国名・都市名(国際電話番号)

 コンゴ共和国 (国際電話国番号242)

2.公館の住所・電話番号

○ 在コンゴ共和国日本国大使館 (毎週土日休館)
※ コンゴ共和国は在コンゴ民主共和国日本国大使館が兼轄しています。
住所:L’Ambassade du Japon en République Démocratique du Congo, 372, Avenue Colonel Mondjiba, Concession Immotex, Ngaliema, Kinshasa, République Démocratique du Congo
電話:+243-(0)81-555-4731~4
ホームページ:https://www.rdc.emb-japan.go.jp/jointad/cg/ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3.医務官駐在公館ではありません

 在コンゴ民主共和国日本国大使館 医務官が担当

4.衛生・医療事情一般

(1)生活環境

 コンゴ共和国は大西洋ギニア湾に面した150キロの海岸線を有する国で、5か国と国境を接しています。日本の約0.9倍の面積を有する国土の大半は熱帯雨林気候であり、マユンベ山地では乾期が長いのに対して、コンゴ盆地では年間降水量が2,500 mm以上の地域もあります。首都ブラザビルの平均気温は雨期の1月で26℃、乾期の7月で22.5℃、年間平均降水量は約1,500 mmです。人口は565万人で、首都ブラザビルはコンゴ川下流右岸に位置し、川を挟んで隣国コンゴ民主共和国の首都キンシャサと相対しています。言語は公用語のフランス語以外に2つの言語が認められています。英語はほとんど通じません。

 内乱・紛争の影響で国土は荒廃し、経済は疲弊していましたが、石油などの豊富な天然資源開発により、首都ブラザビルと港湾都市ポワントノワールを中心に少しずつ道路、電気、上下水道、通信、学校、病院など各種インフラ整備が進みつつあります。とはいえ、まだ国民には生活向上に関して充分な実感が得られていないのが現状です。地方都市では電気の供給が不安定のため、滞在に際しては自家発電装置を持った宿泊施設を選択する必要があります。

(2)医療事情

 当国の医療システムは未整備で、医療保険制度、救急搬送制度は存在しません。外国人が多く生活しているポワントノワールの一部私立病院は、日本の二次救急病院に匹敵する診療水準を有しますが、それ以外の私立病院や公立病院は、たとえ首都ブラザビルであっても医療レベルは高くなく、入院を余儀なくされるほどの病気や怪我を負った場合、早期に海外への緊急移送を考慮しなくてはなりません。従って当地に渡航する際は、病気にならないための予防策に加え、不測の事態に備えた海外旅行保険へ加入しておくことが極めて重要となります。

5.かかり易い病気・怪我

(1)マラリア

 コンゴ共和国を含むサブサハラアフリカ地域滞在中、最も注意を要する疾患です。マラリアは、雌のハマダラカに刺されることでマラリア原虫が媒介され感染します。コンゴ川の豊富な水流によって、当地では乾期でも蚊が非常に多いため、首都を含む全土で年間を通じてマラリアのリスクが高く、2020年には人口の20%強にあたる約120万人が感染しています。
当国で感染するのは熱帯熱マラリア(悪性マラリア)で、治療薬に関してはクロロキン耐性です。日本人が発症して未治療のまま経過すると自然治癒は望めず、わずか数日で動けなくなるほど重症化します。この時点で治療開始された場合、長期の入院を余儀なくされる上、病状次第では先進国への緊急移送となります。最悪のケースでは、脳マラリアや多臓器不全に進行して死亡します。
ワクチンは存在しますが、有効性が中等度であることに加え、流通が限られているため接種を希望しても利用できる状況にはありません。当地に渡航される際は、滞在期間やマラリア治療が可能な医療機関へのアクセスをトラベルクリニック医師と必ず相談・確認の上、抗マラリア薬の予防内服(90%の予防効果があります)やスタンバイ治療(症状出現から24時間以上、適切な医療機関に受診できない地方滞在の場合等に必要となります)を準備し、到着後は蚊に刺されない工夫(後述)を常に心がけてください。当地に滞在して一週間経過以降に発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感、不眠などの症状が1日以上続く場合は、発生頻度と未治療時の結果の重大性から、まずマラリアを疑って病院を受診してください。当地の医師には、「マラリアを心配しているので検査を希望する」とはっきり伝え、当日中に結果が得られるよう強く要請してください。マラリアの初期症状は腸チフス、デング熱、新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザと区別がつきにくいことに加え、発症初期は検査が陰性となることも珍しくなく、発熱はいったん下がる場合もあるため、診断まで時間を要することもしばしば経験します。当地で原因のはっきりしない発熱、体調不良は、「確定診断がつくまでマラリアを疑って対応」することが大切です。さらに、ほかの病気と診断されたとしても「マラリアに共感染」していることがありますので、治療や経過観察しても体調が改善しないとき、衰弱が激しいときは必ず周囲に助けを求めて下さい。
マラリアの潜伏期間は1-4週間程度で、当地を離れた後も約1か月は発症リスクがあります。日本を含む非流行地域で、マラリアは見落とされがちです。出国後1か月以内に前述の症状があるときは、医療機関受診の上で必ず渡航歴を伝え、マラリアの可能性があることを診療担当医師に相談してください。9.その他の詳細情報入手先の(6)、(7)に日本のトラベルクリニック、蚊媒介感染症専門医療機関の一覧を掲載しましたので参照ください。

(2)旅行者下痢症

 コレラ、大腸菌、非チフス性サルモネラ、カンピロバクターなどの細菌、赤痢アメーバやジアルジアなどの寄生虫、ノロ、ロタなど各種ウイルスといった様々な病原性微生物が主に飲食物を介して経口感染し、下痢、腹痛、嘔吐などの症状をきたします。コレラには、国内未承認ですがワクチンがあります。感染リスクの高い場所で一定期間滞在、活動を予定している方(医療者など)は、トラベルクリニック専門外来医師と相談の上、接種を検討して下さい。
大抵の場合、適切な水分・塩分補給を行いつつ、食事を避けて腸を休めることにより数日程度で症状は軽快しますが、発熱や血便を伴う下痢、5%以上の体重減少をきたす下痢、乳幼児の下痢の場合は早急な治療が必要になりますので適切な医療機関を受診してください。原因を特定せずに安易に下痢止めを服用することはおすすめできません。また、脱水を避けるために水分を少量ずつ頻繁に摂取することを心がけてください。

(3)ウイルス性肝炎

 当地では肝炎ウイルス(A、B、C、E)感染のリスクがあります。A型、E型肝炎ウイルスは汚染された飲食物から、B型、C型肝炎ウイルスは性交渉や医療機関での診療時に血液、体液から感染します。感染すると黄疸を伴う急性肝炎症状を呈し、劇症化すると死亡することもあります。B型肝炎、C型肝炎は慢性化して肝細胞がんの原因ともなります。不衛生な場所での飲食は控えるとともに、不特定の方との性交渉は避け、信頼できる医療機関を受診するのが賢明です。A型、B型肝炎ウイルスはワクチン接種で予防可能であり、トラベルクリニックに相談の上、渡航の際は必ず予防接種を受けるようにしてください。

(4)腸チフス

 当国において全国各地で感染者が報告されている、チフス菌を原因とする細菌感染症です。汚染された飲食物から経口感染し、腸管から人体内に侵入後、発熱、頭痛、倦怠感、腹痛、食欲不振で発症します。特徴的な皮疹が出現することもあります。病名から腸炎を連想しますが、下痢と便秘の発症は同程度とも言われている点には注意が必要です。診断、治療が遅れると腸管出血・穿孔を起こし、命に関わります。また、感染しても無症状で経過し、胆嚢内に菌が住み続ける結果、便から菌の排泄が続く慢性保菌者となることがあります。治療は抗菌薬投与を行います。ワクチン接種が感染予防に有効ですが、日本国内で承認されたワクチンはないため、輸入ワクチン接種を行っているトラベルクリニックでご相談ください。

(5)麻しん(はしか)

 麻しんウイルスによる感染症で、毎年全国土で流行を認めます。ワクチンキャンペーンで流行拡大防止を図っているところですが、非常に感染力が強いため今後も流行が予想され、日本人にも感染リスクがあります。予防接種が有効ですので、母子手帳や予防接種記録を参照し、日本出国前に医療機関でワクチン接種歴や血中抗体価を確認した上で対策をご相談ください。

(6)デング熱、チクングニア熱、黄熱

 当地では黄熱の散発的な流行が認められます。黄熱と同様、ネッタイシマカによって媒介されるデング熱、チクングニア熱も数年ごとに流行しています。黄熱は致死率が高いものの、入国のため必須のワクチン接種により予防可能ですが、月齢9か月以上でないと接種できません。また、デング熱、チクングニア熱に関しては現時点で有効なワクチンがありません。渡航される場合には、蚊に刺されない工夫を常に心がけてください。

(7)交通事故

 当地の道路事情は悪く、信号や横断歩道がほとんどない上、整備不良車両が多いため各所で渋滞が発生しています。これに伴い無謀な運転や道路横断が常態化していて、常に交通事故に遭遇する危険があります。

(8)動物咬傷関連疾患(狂犬病、ヘビ咬傷、破傷風など)

当地では野犬やコウモリが多く生息し、特に郊外では動物咬傷が問題となります。狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれたり、引っかかれたりして感染し、発病した場合ほぼ100%死亡します。イヌが主な感染源ですが、ネコ、コウモリ、サルを含む全てのほ乳類から感染する可能性があります。当地では、たとえペットであっても無闇に近づかないようにしてください。またもし哺乳動物に咬まれた場合は、傷口を水と石けんでよく洗い、直ちに医療機関を受診してワクチン接種(暴露後予防)を相談してください。狂犬病はワクチンが有効で、咬まれる前に接種(暴露前予防)しておくことで、暴露後予防時のワクチン接種回数を減らすことができます。また、暴露前予防していない場合、傷の程度によって免疫グロブリンの追加投与を行う必要がありますが、当地では流通が極めて限られている上、投与時に肝炎ウイルス感染や急性アレルギー発症のリスクがあります。大都市郊外や地方都市で生活する方、動物と接触する可能性のある方は、渡航前にトラベルクリニックや渡航外来などの医療機関で相談の上、必ず暴露前予防接種、あるいは追加接種を受けるようにしてください。

コンゴ川流域の熱帯雨林には多くの毒ヘビが生息していて、キンシャサを含む下流の大都市まで流れ着くことも少なくありません。毒ヘビに咬まれた場合、抗毒素血清の投与が必要となりますが、当地における流通は極めて限られています。安易に川沿いの茂みには近づかず、そうした場所を歩かざるを得ない場合は厚手の衣服、靴を着用して皮膚の露出を避ける、夜間は懐中電灯を使用するなどの対策を徹底してください。咬まれた場合は直ちに医療機関を受診してください。

動物咬傷に伴い、破傷風や動物由来感染症のリスクもあります。破傷風はワクチン接種で予防可能なため、渡航前に母子手帳などで接種記録を確認し、医療機関で相談の上、必要に応じて追加接種を受けてください。また、傷口の処置時、診察医師と相談の上で抗菌薬投与を受けてください。

(9)皮膚のトラブル(日焼け、皮膚感染症、蝿蛆症、スナノミ症など)

熱帯気候に属するため、特に雨期の間は日焼け対策が必要となります。また、とびひ(伝染性膿痂疹)やおでき(毛包炎)、水虫(白癬)などの皮膚感染症が多く見られます。こまめにシャワーを浴びるなどして、皮膚を清潔に保つようにしてください。この他、サブサハラアフリカ地域特有の風土病として、蝿蛆症(ようそしょう、ハエウジ症ともいう)、スナノミ症も発生します。蝿蛆症は、湿った地面、生乾きの洗濯物や皮膚に直接ハエが産卵し、やがてふ化した幼虫(ウジ)が皮膚に侵入して発症します。子どもに地面で泥遊びをさせるのは避け、屋外に干した洗濯物は、必ずアイロンがけをしてください。スナノミ症は、乾いた砂地に生息する体長1mm程度のスナノミが皮膚内に寄生し、産卵することで炎症を引き起こして発症します。砂地を裸足やサンダルで歩き回ることや、砂地に寝転がる、手をつけるなどの行為は避けてください。

(10)サル痘

1970年に隣国のコンゴ民主共和国(当時ザイール)で初めてのヒト症例が確認された、サル痘ウイルスによる感染症で、中央アフリカから西アフリカの風土病です。当地でも毎年症例が報告されています。アフリカに生息するげっ歯類をはじめ、サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触や、感染したヒトや動物の皮膚の病変・体液との接触(性的接触を含む)、飛沫への長時間暴露、患者が使用した寝具などとの接触により感染します。妊婦や小児、免疫不全者などは重症化しやすく、脳炎や肺炎を発症して死亡することがあります。サル痘には、2022年5月以降に流行国以外で多く報告されている西アフリカ系統群と、当地で流行しているコンゴ盆地(中央アフリカ)系統群が存在し、後者はより感染力が高く、重症化しやすいとされています。有効なワクチンが存在しますが、現時点での入手・使用は限られています。流行地への渡航を控えるとともに、リスクの高い行為を避け、動物に近づかないようにしてください。

(11)結核

感染者が咳などで排出し、空気中に漂う結核菌を吸い込むことによって感染します。発熱、咳、倦怠感などの症状で発症しますが初期症状は風邪に類似するため、疑わないと診断が難しい疾患です。また、治療には長期間の抗結核薬内服が必要となります。無症状で潜伏感染したまま経過(潜在性結核)し、高齢で免疫状態が低下した際に発症することもあります。コンゴ共和国は結核高まん延国にあたりますので、リスクの高い地域や施設滞在を避けるとともに、2週間以上続く咳や意図しない体重減少、血痰などの症状を認める場合には、マスク着用など咳エチケットに留意した上で医療機関を受診してください。

(12)その他

アフリカ紅斑熱、レプトスピラ症、HIV/AIDS、各種寄生虫疾患(住血吸虫症、アフリカ睡眠病、オンコセルカ症、フィラリア症等)、ハンセン病、疥癬、クロモブラストミコーシス、イチゴ腫(フランベジア)、季節性インフルエンザ、風しん、水痘、ムンプス(おたふく風邪)などがあります。

6.健康上心がける事

(1)防虫対策(特に、蚊に刺されない工夫)

 マラリアを媒介するハマダラカは夕方から明け方にかけて活動性が増し、黄熱、デング熱などを媒介するネッタイシマカは日中から夕方にかけて活発に吸血します。そのため、特に夜間は不要不急の外出を避ける、外出の際には、厚手で明るい色(白っぽい色)の長袖・靴下の着用、皮膚露出部分へのDEET(幼児の場合イカリジン)含有昆虫忌避剤の定期的な噴霧・塗布(服の素材が薄い場合は服への噴霧も考慮)、窓を開けないですむよう、気密性が高く、かつ空調設備を有する部屋で生活する、就寝時蚊帳や蚊取り線香、ベープの使用を考慮するなどの対策を徹底してください。

(2)食事・水

 当地において生水や未加熱食材の摂取はおすすめできません。レストランは衛生的で評価の定まった店を選び、こまめに手を洗い、十分に加熱したものを召し上がり、生ものやカットフルーツ摂取、氷の利用はなるべく避けてください。飲料水は開封されていない市販のミネラルウォーターか、煮沸するか浄水器を設置した水道水を使用してください。また、冷蔵庫に入れておいても飲食物の品質劣化は早いため、適切に消費するよう留意ください。

(3)気候・環境対策(紫外線、熱中症、大気汚染など)

 当地では、特に雨期の間強い日差しと高温多湿の気候が続くため、重度の日焼けや大量発汗による脱水症、熱中症のリスクが高くなります。日焼け止めの使用、こまめな水分と塩分の摂取、日陰で定期的な休憩を取るなどの自衛策を講じるよう心がけてください。また、エアコンの使用が続くと思わぬ体調不良や乾燥肌などの症状を呈することがありますのでご注意ください。乾期中は比較的涼しい陽気が続くため、風邪症状を呈する方が増えます。冷房調整や上に羽織るものを準備するなどの対策を講じてください。

 自動車の排気ガスなどによる大気汚染で呼吸器系の障害(喉の痛み、咳など)が出ることがあります。体調不良を感じた場合は、マスクの着用や外出を避けるなどの予防策を取るようにしてください。

(4)動物・自然活動対策

 当地ではサル痘、狂犬病、トキソプラズマ症、レプトスピラ症など多くの動物由来感染症のリスクがあります。観光時に野生動物との接触は厳に慎んで下さい。また、当地では道路脇でペット用の犬、ネコ、サル、鳥などを販売していますが、持ち帰りや飼育は避けてください。市場で販売しているブッシュミートの購入、調理、喫食は控えて下さい。
感染症のリスクを避けるため、自然活動やレジャーの際に野生動物との接触や真水に触れるなどの行為は避け、茂みや森林近くを通る場合は足下に注意を払うとともに、防虫対策を徹底してください。

(5)交通安全対策

 当国は交通インフラが整っておらず、運転マナーも極めて悪いため、通常では信じがたい走行をする車両や危険な横断を試みる歩行者がしばしばみられますので十分注意してください。

(6)メンタルヘルス

 当地では治安の観点から自由な外出は少なからず制限される上、余暇を過ごす施設も限られています。日本とは文化も時間の流れ方も異なり、当地の様々な環境に慣れるまでは特にストレスを強く感じがちです。定期的に休養を取りつつ、適度な運動や散歩、レストランの利用、現地友人との歓談やインターネットを利用した日本に住む家族とのコミュニケーション、読書など複数のストレス解消方法を見つけておき、心の健康を保つことが必要です。

(7)海外旅行傷害保険等の加入

 当国に医療保険制度はありません。医療行為に関する価格も地域や病院により様々で、外国人の場合状況に応じてかなり高額な現金を要求される事があります。また、当国内で治療ができないと判断されれば、欧州や南アフリカ、日本への緊急移送が必要になります。場合によっては数千万円もの高額な移送費用を要しますので、こうした金額を十分カバーする海外旅行傷害保険に加入し、不測の事態に備えることを強くおすすめします。

(8)トラベルクリニック(渡航外来)受診・日本での健康管理

 病気になった時、緊急移送するほどの病態でないとしても、当地での対応が困難な場合が多々あります。日本でトラベルクリニックを必ず受診し、入念な事前準備をしておくことを強くおすすめします。母子手帳や予防接種証明書を担当医師とともに確認しながら、7.予防接種の(1)で推奨する予防接種を受け、マラリアの予防内服や現地医療情報を入手してください。多くのワクチンは接種終了してから2週間程度経過してから予防効果が出現します。また、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチンは3回接種が必要で、終了までに6か月を要します。渡航が決まった時点で、十分な余裕を持って受診することを第一に御考慮ください。 ワクチンの中には、接種完了前にも一定の効果を発揮するものがあります。出発まで時間がない場合も、ワクチンを全く接種せずに渡航するのではなく、トラベルクリニック医師と相談し、可能な限りの接種を検討してください。
このほか、日本滞在中に健康診断か人間ドックと、歯科診療を受けておくことを強くおすすめします。慢性疾患の治療薬について、日本と同様の処方を受けられずに難渋するケースもあるため、持病がある方は渡航の適否に関して主治医と十分に相談した上で、滞在期間中投薬不足とならないよう定期内服薬を持参ください。特に持病のない方も、普段使っている市販薬(胃腸薬、目薬、虫刺され薬、湿布薬など)や絆創膏、予備のコンタクトレンズなどを携行することを検討してください。

7.予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

入国時に必要なワクチン

 黄熱:入国時、生後9ヶ月を超えるすべての渡航者に対して黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示を要求されます。イエローカードはワクチン接種の10日後から有効となりますので余裕を持った接種スケジュールを立ててください。同証明書は生涯有効です。

推奨ワクチン

 A型肝炎、B型肝炎、腸チフス(国内未承認、2歳以上)、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)ブースター、ポリオブースター、麻しん・風しん、水痘、ムンプス(おたふく風邪)、狂犬病

小児

 日本の定期接種、日本小児科学会がホームページに掲載する全ての任意接種、腸チフス(国内未承認、2歳以上)を接種することをおすすめします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
ワクチンの種類 初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時      
ポリオ(IPV) 16週      
ポリオ(経口) 出生時 8週 12週 16週
DPT 8週(注) 12週(注) 16週(注)  
MR(麻しん/風しん) 36週 60週    
B型肝炎 8週(注) 12週(注) 16週(注)  
Hib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型) 8週(注) 12週(注) 16週(注)  
肺炎球菌(13価) 8週 12週 16週  
ロタウイルス 8週 12週 16週  
黄熱 36週      

 注:5種混合ワクチン(B型肝炎-DPT-Hib)を使用しています。

(3)現地校に入学の際のワクチン接種証明

 入学、入園する学校によっては接種証明を提出する必要があります。先方へあらかじめ確認し、もれなく接種してください。

8.病気になった場合(医療機関等)

◎ブラザビル

(1)Clinique Pasteur
所在地:88, Rue Djambala, Moungali, Brazzaville
電話:(0)69-906-377 (受付)
概要:外来患者診療部で、内科、小児科、産婦人科、歯科を中心に診療が行われています。緊急時には24時間対応が可能で、入院用にベッド数36床を有しています。支払いは海外旅行保険や海外送金に対応しています。診療は仏語ですが、一部医師は英語診療が可能です。
診療時間:受付に確認ください。
救急診療:24時間体制
(2)Clinique Médical Securex
所在地:33, Avenue Amilcar Cabral, Brazzaville
電話:(0)55-485-995、(0)15-485-995(受付)
ホームページ:https://www.clinique-securex.com/別ウィンドウで開く
概要:全35床で、心臓外科、消化器外科専門医の他、モロッコ人医師/看護師が常勤勤務しています。支払いは海外旅行保険や海外送金に対応していて、クレジットカード払いが可能です。
診療時間:受付に確認ください。
救急診療:24時間体制

○ポワントノワール

(1)Centre Medical CMC Medico
所在地:Rue Limbou, Pointe-Noire
電話:(0)66-666-911 (救急)、 (0)66-793-911(受付)
ホームページ:https://www.cmcmedico.com別ウィンドウで開く
概要:内科、外科、小児科、産婦人科、救急・集中治療科、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科、麻酔科を中心とした診療を行っています。ヨーロッパでトレーニングを受けた複数の専門医が在籍し、重症診療に備えた集中治療室や各種画像検査機器設備を有する、ポワントノワールで最も信頼に足る私立病院の一つです。緊急移送担当医師が在籍し、重症疾患にも対応可能です。診療は仏語ですが、一部医師は英語診療が可能です。
診療時間:月-金曜日 7時00分-19時
救急診療:24時間体制
(2)Clinique Guenin
所在地:107, Avenue Agostino Néto, Pointe-Noire
電話:(0)69-393-030か(0)1-700-700 (救急)、(0)55-756-773 (受付)
ホームページ:http://www.clinique-guenin.com/index.html別ウィンドウで開く
概要:内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科を中心とした診療を行っています。24床の入院施設があります。 診療は仏語です。
診療時間:受付に確認ください。
救急診療:24時間体制

9.その他の詳細情報入手先

(1)在コンゴ民主共和国日本国大使館 ホームページ: https://www.rdc.emb-japan.go.jp/別ウィンドウで開く

(2)厚生労働省検疫所 ホームページ: http://www.forth.go.jp/destinations/country/m_africa.html別ウィンドウで開く

(3)国立感染症研究所(感染症情報センター) ホームページ: http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html別ウィンドウで開く

(4)世界保健機関 (WHO)のコンゴ(共)に関するホームページ: http://www.who.int/countries/cog別ウィンドウで開く

(5)米国疾病管理センター(CDC)のコンゴ(共)に関するホームページ: http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/congo別ウィンドウで開く

(6)帰国後診療医療機関リスト(日本渡航医学会ホームページ): http://jstah.umin.jp/03posttravel/index.htm別ウィンドウで開く

(7)蚊媒介感染症専門医療機関一覧(日本感染症学会ホームページ): http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=25別ウィンドウで開く

 診療は公用語であるフランス語しか通じない場合がほとんどです。受診時は、10.一口メモを参照ください。当地の医師は数カ所の医療機関を掛け持ちしています。専門医にかかる場合は、各病院に問合せの上予約をお取りください。

10.一口メモ

 首都ブラザビルでは公用語のフランス語以外に現地語であるリンガラ語が一般的に用いられており、場合によってはリンガラ語での会話が必要になります。

フランス語、リンガラ語一覧

  日本語 フランス語 フランス語読み リンガラ語 リンガラ語読み
語彙 医者 médecin メドゥサン monganga モンガンガ
内服薬 médicament メディカマン kisi キスィ
錠剤 Comprimé
Cachet
コンプリメ
カシェ
kisi ya mbuma キスィ ヤ ンブマ
カプセル capsule カプスュル capsule カプシュル
sachet サシェ sachet サシェ
内服液 solution buvable ソリュスィォン ビュヴァーブル solution ya komela ソリュスィォン ヤ コメラ
注射 piqûre ピキュール tonga トンガ
現金で en espès アン ネスペス mbongo ンボンゴ
クレジットカードで par carte de crédit パール カルト ドゥ クレディ carte ya credit カルト ヤ クレディ
医療保険 assurance médicale アシュランス メディカル assurance ya maladi アシュランス ヤ マラディ
患者 Malade マラード mutu ya bokono ムトゥ ヤ ボコノ
病気 Maladie マラディ bokono ボコノ
病院 Hôpital オピタール hopital オピタール
診療所 Clinique クリニック clinique クリニック
薬局 Pharmacie ファルマシー pharmacie ファルマシー
寄生虫 Parasite パラジット parasite パラジット
l'œil ルイユ miso ミソ
l'oreille ロレイユ litoyi リトイ
le Nez ルネ zolo ゾロ
la main ラマン loboko ロボコ
指  le doigt ドワ misapi ミサピ
le bras ルブラ loboko ロボコ
la jambe ラジャンブ lokolo ロコロ
予防接種 Vaccination ヴァクシナシヨン mangwele マングウェレ
症状 頭痛 mal de tête マル ドゥ テート mutu pasi ムトゥ パシィ
胸痛 mal de poitrine マル ドゥ ポワトリンヌ tolo pasi トロ パシィ
腹痛 mal de ventre マル ドゥ ヴァントル libumu pasi リブム パシィ
下痢 la diarrhée ラ ディアレ pulu-pulu プル プル
発熱 la fièvre ラ フィエーブル fievre フィエーブル
吐き気 des nausées デ ノゼ posa ya kosanza ポサ ヤ コサンザ
怪我 blessure ブレッシュール pota ポタ
交通事故 accident de la route アクシダン ドゥ ラ ルート accident ya nzela アクシダン ヤ ンゼラ
自動車事故 accident de la voiture アクシダン ドゥ ラ ボァチュール accident ya motuka アクシダン ヤ モトゥカ
歯痛 mal de dent マル ドゥ ドン linu pasi リヌ パスィ
かゆみ démangeaison デマンジェソン mokusa モクサ
ひきつけ convulsion コンビュルシオン ko tuntuka コ トゥントゥカ
病名 マラリア paludisme パリュディスム malaria マラリア
黄熱 fièvre jaune フィエーブル ジョーンヌ fièvre jaune フィエーブル ジョーンヌ
髄膜炎 méningite メナンジット méningite メナンジット
狂犬病 Rage ラージュ bokono ya ba mbwa ボコノ ヤ バ ンブワ
デング熱 dengue ダング kizengi キゼンギ
破傷風 tétanos テタノース tetanos テタノース
コレラ choléra コレラ cholera コレラ
腸チフス fièvre typhoïde フィエーブル ティフォイド fièvre typhoïde フィエーブル ティフォイド

単文集:フランス語

日本語 フランス語 読み
助けて! Au secours! オー スクール
具合が悪い。 Je me porte mal. ジュム ポルト マル
すぐに来てください。 Venez tout de suite, s'il vous plaît. ヴネ トゥ ドゥ スイット スィルヴプレ
怪我をしました。 Je me suis blessé(e). ジュ ム スイ ブレッセ
高熱があります。 J'ai une forte fièvre. ジェ ユヌ フォルト フィエーブル
病院に連れて行ってください。 Emmenez-moi à l'hôpital, s'il vous plaît. アンムネモア ア ロピタル スィルヴプレ
日本大使館に連絡してください。 Contactez l'ambassade du Japon, s'il vous plaît. コンタクテ ランバサード デュ ジャポン,スィルヴプレ
蚊に刺された。 Je me suis fait piquer par un moustique. ジェム スイ フェ ピケ パー ユヌ ムスティック
アレルギーがあります。 J'ai une allergie. ジェ ユヌ アレルジー
輸血はしないでください。 Pas de transfusion, s'il vous plaîit. パ ドゥ トランスフュージオン スィルヴプレ
英語を話せる人はいますか? Quelqu'un parle anglais? ケルカン パルル アングレ
病名は何ですか? Qu'est-ce qui ne va pas? ケス キ ヌ ヴァ パ

単文集:リンガラ語

日本語 リンガラ語 読み
助けて! bo salisa nga! ボ サリサ ンガ
具合が悪い。 naza malamu. ナザ マラム
すぐに来てください。 yaka sikoyo. ナカ シコヨ
怪我をしました。 Nazoki. ナゾキ
高熱があります。 naza na fievre makasi. ナザ ナ フィエーブル マカシ
病院に連れて行ってください。 memanga na hospital. メマンガ ナ オピタル
日本大使館に連絡してください。 solola na ambassade ya Japon. ソロラ ナ アンバサーデ ヤ ジャポン
蚊に刺された。 ngungi a swaki ngayi. ングンギ ア スアキ ンガイ
アレルギーがあります。 naza na allergie. ヌザ ナ アレルジー
輸血はしないでください。 kozongisa nga makilate. コゾンギサ ンガ ンマキラテ
英語を話せる人はいますか? ezana mutu ayebi koloba anglais? イザナ ムトゥ アイェビ コロバ アングレ
病名は何ですか? nini ezo tambola te? ニニ エゾ タンボラ テ

11.新型コロナウイルス関連情報

全世界で流行を認めている新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に関して、2022年10月時点で約25,000人が感染し、ワクチン接種は人口の1割強となっています。当国の流行状況や入国時の条件は刻々と変化しますので、外務省のホームページなどで最新の情報をその都度確認してください。ワクチンは、3回目ブースター接種まで終えてからの渡航を強くおすすめします。滞在時は不要不急の外出をひかえるとともに、「三密」(密閉、密集、密接)を回避し、こまめな手洗いや手指消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスを保つなどの感染対策を常に心がけてください。なお、当国においてマスクや手指消毒用のアルコール製品などは、スーパーマーケット及び薬局で購入可能です。

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