世界の医療事情
コンゴ民主共和国
1 国名・都市名(国際電話番号)
コンゴ民主共和国(国際電話番号243)
2 公館の住所・電話番号
- 在コンゴ民主共和国日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:L’Ambassade du Japon en République Démocratique du Congo, 372, Avenue Colonel Mondjiba, Concession Immotex, Ngaliema, Kinshasa, République Démocratique du Congo
- 電話:081-555-4731~4
- ホームページ:在コンゴ民主共和国日本国大使館
(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
4 衛生・医療事情一般
コンゴ民主共和国はアフリカ中部に位置し、アルジェリアに続いてアフリカで第2位の広大な面積(日本の約6倍)を有しています。26の州から構成され、広大な熱帯雨林を有します。多くの地域が熱帯気候(サバナ気候、熱帯雨林気候、熱帯モンスーン気候)に分類され、一部地域のみ温帯気候(温暖冬季少雨気候)です。公用語はフランス語ですが、4つの現地語(リンガラ語、キコンゴ語、スワヒリ語、チルバ語)が広く使用されています。英語は殆ど通じません。
邦人が最も多く滞在する首都キンシャサはコンゴ川下流左岸に位置し、対岸にはコンゴ共和国の首都ブラザビルを臨めます。人口1,500万人以上の国内最大の都市であり、日々開発が進む一方、生活や都市機能の維持に必要な上下水道やゴミ処理場、道路などの基本的なインフラが不足し、また維持・整備が不十分なため、様々な交通・衛生上の問題を抱えています。また、交通量が非常に多い上、交通マナーが極めて悪く、異常な交通渋滞や交通事故の発生が多いことも特徴です。
(1)医療水準や医療制度
当地の死因の上位は下気道感染症、マラリア、結核などの感染症が占めており、妊産婦の死亡や乳児死亡率も高く医療水準は低いです。また、貧困率の高い国の上位10位以内にもランクされることが多く、平均寿命は約60歳(2023年世界銀行)と低い水準です。
医療機関の事情は都市部とそれ以外での格差が大きく、病院は公立か私立か、または、自国資本か外資かによって格差があり、公立や自国資本の病院は低水準である傾向にあります。また、公的な医療保健制度は非常に未熟であり、公的な救急サービスは存在しません。救急車が必要な場合は各医療機関による私設の救急車を利用することができますが有料です。余裕があれば、各病院が独自に設けている医療サービスに加入するのが一般的です。住民人口に対する医師数が少ないため、どの病院も待ち時間が長いのが特徴です。専門医は少ないため、専門性の高い診療は期待できません。そのため、当国で重病に罹患した、あるいは、重病に陥る可能性がある状態であれば、第三国での診療・治療を視野に入れる必要があり、緊急移送に備える必要があります。さらに、医療費は高額で基本的に前払い制です。したがって、当国へ旅行・赴任の際は、重病での緊急移送であっても保証される適切な海外旅行保険や赴任者保険への加入が必要です。
(2)水質・衛生環境
都市部であっても水道水の品質は地域や時間帯によって変わり、微生物が検出されることがあるため、飲用には適しません。また、地方都市や僻地では水源がない場合や井戸水や自然の水しか利用できない場合もあり、生活用水や飲用水は別途準備する必要があります。また、当地の食品衛生への意識は低く、さらに社会インフラが脆弱であるため停電や断水がしばしば発生し、食品の保存状況は良いとは言えません。
5 かかり易い病気・怪我
(1)マラリア
ハマダラカが吸血時にマラリア原虫を血管内に伝搬することで感染します。当国で発生するのは、すべて熱帯熱マラリア(悪性マラリア)です。刺されてから1から2週間後に、高熱で発症するのが一般的です。発症すると経過が早く、治療をしなければ、数日以内に重篤な状態になり死亡することもあります。軽症であれば内服薬で治療され、重症の場合は点滴治療を要します。当国のマラリア原虫はマラリア治療薬のクロロキンやスルファドキシン・ピリメタミンに耐性があります。蚊の発生状況等による多少の季節性や地域差はありますが、1年を通してほぼ国内全土で流行しています。
最近、国内の一部の地域で小児を対象にした予防接種が開始されていますが、その予防効果は他の感染症に対するワクチンと比較すると低いようです。そのため、蚊に刺されないことが最も大切で、ハマダラカが活動する早朝や日没後には忌避剤の使用は必須です。いくつかの予防内服薬が存在するため、渡航前に滞在日数や場所に応じて渡航者外来等で内服すべきかどうかについて相談してください。また、当国から帰国後に発熱した場合は、必ず医療機関を受診し、熱帯熱マラリアのまん延国からの帰国であることを伝えてください。
(2)旅行者下痢症
様々な微生物(細菌、寄生虫、ウイルス)が飲食物等を介して経口感染し、下痢や腹痛、嘔吐などの症状をきたします。大抵の場合、適切な水分・塩分補給を行い、食事量を控えて腸を休めることにより数日程度で症状は軽快します。発熱や血便を伴う下痢、長引く乳幼児の下痢の場合は適切な医療機関を受診してください。原因の微生物の1つであるコレラには、日本国内未承認ですがワクチンがあります。特に感染リスクの高い地域での長期滞在や活動を予定している方は、渡航者外来等で医師と相談の上、接種を検討してください。
(3)麻しん(はしか)
麻しんウイルスによる感染症です。感染者が排出した飛沫や飛沫核から感染します(空気感染)。10から12日程度の潜伏期間の後、発熱とかぜ症状が2から3日持続した後に、さらに高熱とともに発しんが出るのが特徴です。また、数年後に脳の障害が出現することもあります。特効薬はなく、治療は症状を和らげる治療が行われます。ワクチンを2回接種することで、発症の予防が可能です。当地では定期接種による接種ができていなかった小児に対して不定期にワクチンキャンペーンが行われていますが、未だ終息には至らず、最近でも多くの患者の発生が報告されています。渡航前には予防接種歴を確認し、必要に応じて追加接種をしてください。
(4)ポリオ(急性灰白髄炎)
全国で毎年ワクチン由来株によるポリオ患者が確認されています。感染者の排泄物や汚染された水などを介し、ポリオウイルスが経口感染することで発症します。軽症ではかぜ症状、重症では麻痺症状が出現することがあり麻痺は永続的に残ることがあります。感染予防にはワクチンの接種が有効です。渡航前には予防接種歴を確認し、渡航者外来で相談の上、必要に応じて追加接種を行うようにしてください。
(5)ウイルス性肝炎
当地では肝炎ウイルス(A、B、C)感染のリスクがあります。A型肝炎ウイルスは汚染された飲食物から、B型、C型肝炎ウイルスは性交渉や注射針等を介して感染者の血液や体液から感染します。肝臓の細胞に炎症が起き、倦怠感、黄疸などが生じることがあります。不衛生な場所での飲食は控えるとともに、不特定の方との性交渉は避け、信頼できる医療機関を受診してください。A型、B型肝炎ウイルスはワクチンの接種で予防可能です。医療機関に相談の上、渡航の際は必ず予防接種を受けるようにしてください。
(6)腸チフス
全国で常時流行しており、2023年は約200万人の患者が発生しました。チフス菌に汚染された飲食物から経口感染します。主な症状は発熱で高熱が持続することで頭痛や倦怠感が出現します。胸腹部に淡紅色の発しんが出現することもあります。下痢などの腹部の症状は目立たないことが多いです。診断、治療が遅れると意識障害や腸管出血・穿孔を起こし、命に関わります。また、感染しても無症状で経過し、胆嚢内に菌が住み続ける結果、便から菌の排泄が続く慢性保菌者となることがあります。治療は抗菌薬投与を行います。ワクチンの接種が感染予防に有効ですが、日本国内では現在、未承認のワクチンのみ入手可能です。接種については渡航外来(旅行外来、トラベルクリニック)でご相談ください。
(7)髄膜炎菌性髄膜炎
感染者の咳のしぶきに含まれる飛沫から感染する、髄膜炎菌による髄膜炎です。頭痛や意識障害の原因になります。発症した場合、無治療なら半数が死亡し、適切に治療を行っても重度の後遺症が10%以上の症例で残ります。当国の一部はアフリカ中央部の髄膜炎ベルトと呼ばれる流行地帯に含まれ、通年で患者の発生が報告されています。予防にはワクチン接種が有効です。
(8)動物咬傷関連疾患(狂犬病、ヘビ咬傷、破傷風など)
狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれたり、引っかかれたりして感染し、発病した場合ほぼ100%死亡します。全てのほ乳類から感染する可能性があります。感染の疑われるほ乳類に咬まれた場合は、傷口を水と石けんでよく洗い、直ちに医療機関を受診してください。予防にはワクチンが有効で、咬まれる前に接種(曝露前予防)しておくと、咬まれた後にも適切に処置を行うことで狂犬病の発症を予防できます。曝露前予防していない場合でも適切な処置により発症を適切に行うと発症率を減らせます。ただし、当地ではワクチン等の医療資材の流通が不安定であり適切な処置が行えない場合があるため、動物に咬まれるような行動を控えるのが最も大切です。渡航前には予防接種歴を確認の上、必要に応じて追加接種してください。
コンゴ川周辺には多くの毒ヘビが生息しているとされ、キンシャサなどの大都市でも出現することがあります。毒ヘビに咬まれた場合、品質の高い抗毒素血清の投与が必要となりますが、その流通は乏しく、また、抗毒素の投与により重大な副作用が発生することがあります。毒蛇に遭遇しないよう慎重な行動を心がけてください。
また、動物咬傷により破傷風やその他感染症のリスクがあります。破傷風はワクチン接種で予防可能です。渡航前過去の接種記録を確認し、必要に応じて追加接種してください。当地で動物に咬まれた場合は病院を受診してください。
(9)皮膚のトラブル(日焼け、皮膚感染症、蝿蛆症、スナノミ症)
日差しが一年を通して強いため日焼け対策が必要です。とびひやおでき、水虫などを予防するためにシャワーや入浴などにより皮膚を清潔に保つようにしてください。蝿蛆症とは、湿った地面や屋外に干した生乾きの洗濯物や皮膚に直接ハエが産卵し、やがてふ化した幼虫(ウジ)が皮膚に侵入して発症します。湿った地面に直接触れるのを避け、洗濯物は屋内干しにする、あるいは、屋外に干した洗濯物にはアイロンをかけて虫卵を殺することで予防します。スナノミ症は、乾いた砂地に生息する体長1mm程度のスナノミが皮膚内に寄生し、産卵することで炎症を引き起こして発症します。砂地に素足や素手で直接触れないようにしてください。
(10)エボラウイルス病
エボラウイルスによる極めて致死率の高い感染症です。感染動物や感染者の体液に直接接触することで感染します。悪寒を伴う発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振、嘔吐・下痢などの消化器症状で発症し、進行すると多臓器不全や出血症状を呈して死亡します。ワクチンや治療薬は開発されていますが、流通が限られており、簡単に入手できません。当国ではこれまで15回アウトブレイクが確認されています。当国に入国の際はむやみな野生動物との接触を避け、滞在中にもアウトブレイクの有無の情報には注意してください。
(11)エムポックス
エムポックスウイルスによる感染症で中央アフリカから西アフリカの風土病です。ウイルスはクレードIとクレードIIの2系統に分けられます。当地ではクレードIが主に熱帯雨林に覆われる地域を中心に発生してきました。感染した動物あるいはヒトからの接触感染が主たる感染経路ですが、飛沫感染や性感染も確認されています。ここ2から3年は年々増加傾向でしたが、2023年9月に国内東部においてクレードIの亜種であるクレードIbが新たに確認され、感染がさらに拡大しました。隣国にも感染が波及したため、2024年8月、WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言し、注目されています。通常は感染から1から2週間の潜伏期間を経て、典型的な発しんや発熱、倦怠感、リンパ節の腫れなどの症状が出現し、1か月ほど症状が持続した後に自然に改善します。小児や妊産婦、免疫不全がある場合は、重症化しやすいとされ、死亡することもあります。治療は対症療法が行われます。予防効果のあるワクチンが存在するものの、現時点では日本国内では一般に接種するのは難しいです。感染が疑われる動物やヒトには近づかないことが最も大切です。今後、国内流行地域において発症リスクの高い集団に対して各国から供与されたワクチンが投与される見込みです。
(12)黄熱、デング熱、チクングニア熱
すべてネッタイシマカが媒介するウイルスによる感染症です。当地では黄熱の散発的な流行が認められます。デング熱、チクングニア熱に関する情報はあまり得られないものの、過去に流行したことがあります。黄熱は重症化した場合、致死率が高いです。ワクチン接種により予防可能(月齢9か月以上で接種可)です。
デング熱やチクングニア熱には特効薬がなく、発症したら発熱と全身の痛みなどの症状を和らげる治療を行います。デング熱にはワクチンが開発され一部の国では使用されていますが、接種の対象は限定されています。蚊に刺されないことが最も有効な予防法です。
(13)結核
主に感染者から咳から排出され、空気中に漂う結核菌を吸い込むことによって感染します。発熱、咳、倦怠感などの症状で発症しますが初期症状は風邪に類似するため、疑わないと診断が難しい疾患です。また、治療には長期間の抗結核薬の内服が必要となります。無症状で潜伏感染したまま経過し、加齢や治療等で免疫状態が低下した際に発症することもあります。当国は結核高蔓延国です。日本へ帰国後に咳が続く場合は、医療機関を受診し、結核蔓延国からの帰国であることを伝えてください。
(14)その他
マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱、アフリカ紅斑熱、レプトスピラ症、ペスト、炭疽、HIV/AIDS、ハンセン病、ブルーリ潰瘍、疥癬、マラリア以外の各種寄生虫疾患(住血吸虫症、アフリカ睡眠病、オンコセルカ症、フィラリア症、リーシュマニア症等)、季節性インフルエンザ、風しん、水痘、ムンプス(おたふくかぜ)などがあります。
(15)交通事故
当地は交通関連インフラの整備不良が目立ち、交通量も非常に多く、また逆走などの交通ルールを無視した無謀運転が多いため各所で渋滞が発生し、常に交通事故に遭遇するおそれがありますので注意が必要です。
6 健康上心がけること
(1)防虫対策(特に、蚊に刺されない工夫)
マラリアや黄熱、デング熱など蚊を中心として昆虫が媒介する感染症が多いです。外出先によっては露出の少ない服装にする、時間帯によっては外出を控えることが大切です。また、野外への外出時には、蚊やその他昆虫に幅広く対応するDEETやイカリジンを適切な濃度で含む虫よけ(忌避剤)を使用してください。網戸や蚊帳、空調、そして、防虫剤の使用も有効な対策です。
(2)食事・水
販売されている未加熱食材や生水の摂取は基本的にお勧めできません。飲食店は、衛生管理のよい店を選び、非加熱の食品は避けるのが無難です。飲料水、調理用水としては開封されていない市販のミネラルウォーター、あるいは性能の高い浄水器の水を煮沸後に使用してください。
(3)気候・環境対策(紫外線、熱中症、大気汚染など)
年中、日差しは強く、気温が高い地域が殆どです。加えて、熱帯気候の雨季には高温多湿となることが多く、熱中症のリスクが高まります。日焼け対策や水分と塩分の補給、適切な空調の使用などの対策が必要です。また、都市部では交通量が多く、至る所で焼き畑やゴミの焼却が行われることがあり、大気汚染による喉の痛み、咳などが出ることがあります。適宜、マスクを着用する、外出を避けるなどの予防策を取るようにしてください。
(4)動物・自然活動対策
前述の通り、様々な動物由来感染症のリスクがあります。むやみな野生動物との接触は慎んでください。道路脇でペット用に販売される犬、ネコ、サル、鳥などの動物や市場で販売しているブッシュミートの出所は定かではありませんので、購入は控えてください。
自然活動やレジャーの際には、動物や微生物が潜んでいる可能性のある川や池、水たまり、茂みなどに近づく場合、十分に注意を払い、露出を控えた服装を心がけてください。
(5)交通安全対策
前述の通り、交通事故のリスクが高いため、車内では必ずシートベルトを着用してください。また、乗り合いバスや一般のタクシー、バイク・タクシーへの乗車は重大な犯罪に巻き込まれる可能性が非常に高いため控えてください。
(6)メンタルヘルス
治安の観点から外出が制限されることが多い国であり、日本とは異なる文化に戸惑い、ストレスを感じやすい傾向にあります。特に、長期滞在の場合は、日々の十分な休養を心がけ、定期的な運動、自分にあったレクリエーションを準備するなど「こころ」の健康を意識してください。当地の精神科医療は非常に未熟のため、期待できません。
(7)海外旅行傷害保険等の加入
前述したように成熟した医療保険制度はなく、医療レベルは概して高くありません。また、医療費は概して高額であり、当地で対応できない病状に陥れば医療レベルのよりよい第三国への移送が必要になることがあります。治療や移送費などを十分に補償できる内容の海外旅行傷害保険に加入しておくことが大切です。
(8)健康状態の確認、持病の管理
当国への滞在は様々な感染症へかかるリスクが存在するため、滞在前の健康状態を確認しておくことが大切です。健康上に大きな問題が存在する場合は、当国への滞在はお勧めできません。また、持病がある場合は、かかりつけ医と相談の上、渡航前に症状をコントロールし、十分に定期内服薬や常備薬、虫よけなどを準備することをお勧めします(当国は、麻薬や毒物に該当しない医薬品は個人利用目的の範囲内で国内に持ち込めます。)。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任者(長期滞在者)に必要な予防接種
入国時に必要なワクチン
- 黄熱:入国時、生後9か月を超えるすべての渡航者に対して黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示を要求されます。
推奨ワクチン(成人)
- A型肝炎、B型肝炎、腸チフス(現在、国内未承認)、髄膜炎菌、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)ブースター、ポリオブースター、狂犬病。
- この他、定期接種ワクチン(特に麻しん・風しん、水痘)やムンプス(おたふくかぜ)は母子手帳等を確認の上、不足している場合は接種後の渡航をお勧めします。
推奨ワクチン(小児)
- 日本の定期接種、日本小児科学会がホームページに掲載する全ての任意接種、腸チフス(現在、国内未承認、対象年齢はワクチンによって異なる)、髄膜炎菌(2か月以上)を接種することをお勧めします。
(2)現地の小児定期予防接種一覧
ワクチンの種類 | 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
---|---|---|---|---|
BCG | 出生時 | |||
ポリオ(不活化) | 3か月半 | 9か月 | ||
ポリオ(経口) | 出生時 | 1か月半 | 2か月半 | 3か月半 |
ジフテリア・破傷風・百日咳・B型肝炎・Hib(5種混合) | 1か月半 | 2か月半 | 3か月半 | |
麻しん・風しん(2種混合) | 9か月 | 15か月 | ||
肺炎球菌 | 1か月半 | 2か月半 | 3か月半 | |
ロタウイルス | 1か月半 | 2か月半 | 3か月半 | |
黄熱 | 9か月 |
(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
入学する学校によっては接種証明を提出する必要があります。あらかじめ確認してください。
8 病気になった場合(医療機関等)
医療機関では公用語や国家語以外は通じないことがほとんどです。受診時には翻訳アプリや下記(10 一口メモ)を参照してください。特定分野の専門医は数か所の医療機関を掛け持ちしていることが多いです。
(首都)キンシャサ
病院
- (1)CMK (Centre Médical de Kinshasa) Beach
- 所在地:168, Avenue Wagenia face au Beach Ngobila, Gombe, Kinshasa
- 電話:081-657-7532、081-991-6226(受付)
- ホームページ:CMK (Centre Médical de Kinshasa) Beach(フランス語)
- 概要:キンシャサで有数の診療実績を誇る私立総合病院です。外来患者診療部で総合内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、循環器内科、神経内科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、理学診療科、眼科、歯科などがあります。種々の検査設備(CTやMRI、血液検査、培養検査など)が配備されており、24時間救急診療対応が可能です。2km離れた場所に、77床の入院部門や会員制の救急部門であるCPU(下記に詳細)を有しています。診療は仏語ですが、一部の医師や看護師は英語には通じます。併設の薬局では様々な医薬品を購入可能です。
- 診療時間:月曜日から金曜日8時から16時、土曜日8時から12時
- 救急診療:24時間体制
(注)CPU(Centre Privé d'Urgence) - 所在地:Croisement Commerce et Bas-Congo, Gombe, Kinshasa
- 概要:欧州人医師1名(救急・集中治療専門医、英語診療可能)、数名の医療スタッフと標準的医療機器を備えており、24時間対応の会員制の救急サービスです。利用するには会員登録と毎月の会費の支払いが必要です。非会員は受診できません。信頼性が高いため当地に滞在する諸外国の大使館員や国際機関の関係者などの一部が会員となっています。
- (2)Centre Médical Diamant 30 juin/Ngaliema
- 所在地:3642 boul 30 Juin, Gombe, Kinshasaまたは2366, Avenue Colonel Mondjiba, Ngaliema, Kinshasa
- 電話:0907-777-780(30 juin受付)、0907-777-781(Ngaliema受付)
- ホームページ:Centre Médical Diamant 30 juin/Ngaliema(フランス語)
- 概要:2012年に開院した、カナダに本部を持つ私立病院です。外来診療部で一般内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、循環器内科、神経内科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、理学診療科、眼科、精神科などがあり、同じビル内に入院施設が併設されています。診療は仏語ですが、一部の医師や看護師は英語診療が可能です。キンシャサ市内にいくつか分院があり、30juinおよびNgaliemaの病院の規模が大きく設備が整っています。
- 診療時間:月曜日から土曜日8時から16時
- 救急診療:24時間体制
- (3)Inovie RDC Centre International de Diagnostic de Kinshasa
- 所在地:538 Avenue Colonel Mondjiba concession ex Chanic 012 Kinshasa
- 電話:080-830-1755
- 概要:2023年に設立された医学生物学の検査施設です。実施可能な検体検査が非常に多く特殊な検査にも対応しているため、周辺の病院からの検査も受注しています。付属の診療所があり、一般内科等の診察が受けられます。一部のスタッフや医師は英語に対応可能です。不定休のため、事前の問い合わせが必要です。
- 営業時間:月曜日から金曜日7時30分から18時、土曜日7時30分から13時
歯科
- (1)Cabinet Dentaire Kerroc’h
- 所在地:150, Avenue Colonel Mondjiba, Ngaliema, Kinshasaa
- 電話:0999-915-050、0818-965-464(受付)
- ホームページ:Cabinet Dentaire Kerroc’h(フランス語)
フランス人歯科医師2名が運営する診療所です。 英語による診療が可能です。診療は予約が必要です。 - 診療時間:月曜日から金曜日9時から18時
- 救急診療:電話で症状を聞いた上で対応
薬局
- (1)New pharmacie du 30 juin
- 所在地:Avenue Batetela Proche du Grand hôtel de Kinsahsa, Gombe, Kinshasa
- 電話:0815-035-969、0999-933-690(受付)
抗マラリア薬、マラリア迅速診断キット、様々な病気の処方薬に加え、市販薬や衛生用品も多く取り扱っています。ただし、商品の在庫は流動的です。担当者によっては英語が通じます。 - (2)Pharmacie Apotheek
- 所在地:Dans le centre commercial Kin Plaza Mall88 de la justice, Gombe, Kinshasa
- 電話:0824-111-114(受付)
大型ホテル、ショッピングモールの1階に位置する24時間営業の薬局です。抗マラリア薬、様々な疾患の処方薬や医療用品の購入に利用可能です。
ルブンバシ
- (1)Centre Médical Diamant Lubumbashi
- 所在地:1034, Avenue Kilele Balandda, Lubumbashi
- 電話:0997-777-783(受付)
- 概要:キンシャサにある同名医療機関の分院で、2018年開院の私立病院です。外来診療部で一般内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、循環器内科、脳神経内科、消化器内科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、理学診療科、歯科、眼科、精神科、麻酔・蘇生科などがあり、計100床(集中治療室2、一般病床59、サテライト病床39)を有し、内科系、外科系とも重症患者診療や緊急移送に対応可能です。現地外国人が多く利用していて、英語診療が可能な医師、看護師が複数在籍しています。
- 救急診療:24時間体制
- (2)Centre Médical de la Communauté
- 所在地:4, Avenue Nyanza, Lubumbashi
- 電話:0997-030-789(受付)
- ホームページ:Centre Médical de la Communauté(フランス語)
- 概要:十数名の医師が内科、外科、小児科、婦人科、歯科を中心とした診療を行っています。54床の入院施設があります。診療は仏語ですが、一部医師は英語診療が可能です。
- 診療時間:月曜日から金曜日8時から17時
- 救急診療:24時間体制
- (3)Fondation Vie et Sante, Centre de Chirurgie et Traumatologie et Neurochirurgie
- 所在地:20, Avenue Evêque Katembo, Lubumbashi
- 電話:0814-031-246(受付)
- 概要:外傷を中心とした外科および整形外科診療を行っています。手術室、血管造影室および入院施設があります。診療は仏語ですが、一部医師は英語診療が可能です。
- 診療時間:月曜日から金曜日7時30分から17時30分
- 救急診療:24時間体制
マタディ
- (1)Centre Médical de Matadi(Ex Midema hôpital)
- 所在地:Avenue Bukavu, commune de Matadi, Kongo Central
- 電話:0813-679-903(受付)、0819-810-793
- 概要:地域の総合病院であり、総合内科、一般外科、消化器外科、泌尿器科、循環器内科、整形外科、小児科、産婦人科、歯科、眼科に対応し、55床の入院施設があります。理学療法が可能。診療は仏語ですが、一部医師のみ英語診療が可能です。
- 診療時間:月曜日から金曜日8時から17時
- 救急診療:24時間体制
9 その他の詳細情報入手先
10 一口メモ
首都キンシャサでは公用語のフランス語以外に現地語であるリンガラ語が一般的に用いられています。フランス語については「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時のフランス語)を参照してください。
もしもの時の医療リンガラ語については以下をご覧ください(カタカナ表記は参考です)。
語彙
- 医者monganga(モンガンガ)
- 内服薬kisi(キシィ)
- 錠剤kisi ya mbuma(キシィ ヤ ンブマ)
- カプセルcapsule(カプシュル)
- 包sachet(サシェ)
- 内服液solution ya komela(ソリュスィォン ヤ コメラ)
- 注射tonga(トンガ)
- 現金mbongo(ボンゴ)
- クレジットカードcarte ya crédit(カルト ヤ クレディ)
- 医療保険assurance ya maladi(アシュランス ヤ マラディ)
- 患者mutu ya bokono(ムトゥ ヤ ボコノ)
- 病気bokono(ボコノ)
- 予防接種mangwele(マングウェレ)
症状
- 頭痛mutu pasi(ムトゥ パシィ)
- 胸痛tolo pasi(トロ パシィ)
- 腹痛libumu pasi(リブム パシィ)
- 下痢pulu-pulu(プルプル)
- 発熱fièvre(フィエーブル)
- 吐き気posa ya kosanza(ポサ ヤ コサンザ)
- 傷、怪我pota(ポタ)
- 交通事故accident ya nzela(アクシダン ヤ ンゼラ)
- 自動車事故accident ya mutuka(アクシダン ヤ モゥトゥカ)
病名
- マラリアmalaria(マラリア)
- 黄熱fièvre jaune(フィエーブル ジョーンヌ)
- 髄膜炎méningite(メナンジット)
- 狂犬病rage(ラージュ)
- デング熱dengue(デング)
- 破傷風tétanos(テタノース)
- コレラcholéra(コレラ)
- 腸チフスfièvre typhoïde(フィエーブル ティフォイド)
短文
- 具合が悪い。Naza malamute(ナザ マラムテ).
- 助けて!Bo salisa nga(ボ サリサ ンガ).
- 救急車を呼んで!Benga ambulance(ベンガ アンビュランス).
- すぐに来てください。Yaka sikoyo(ヤカ シコヨ).
- 怪我をしました。Nazoki(ナゾキ).
- やけどをしました。Naziki(ナジキ).
- 高熱があります。Naza na fièvre masaki(ナザナ ナ フィエーブル マサキ).
- 喉が痛いです。Nazo yoka gorge passi(ナゾ ヨカ ゴルジュ パッシ).
- 咳と痰が止まりません。Nazo kossola pe ba crachats ezo bima(ナゾ コソラ ペ バ クラシャ エゾ ビマ).
- 風邪をひきました。Naza na rhume(ナザ ナ リュム).
- 悪寒がします。Nazo yoka malili(ナゾ ヨカ マリリ).
- 頭痛がします。Nazo yoka mutu passi(ナゾ ヨカ ムトゥ パッシ).
- 胃が痛いです。Nazo yoka estomac passi(ナゾ ヨカ エストマク パッシ).
- 吐き気がします。Possa ko sanza(ポッサ コ サンザ).
- 下痢をしています。Naza na diarrhée(ナザ ナ ディアレ).
- 血便があります。Nazo sa la salité na makila(ナゾ サ ラ サリテ ナ マキラ).
- 胸が痛いです。Nazo yoka passi na tolo(ナゾ ヨカ パッシ ナ トロ).
- 眼が痛みます。Nazo yoka missu passi(ナゾ ヨカ ミスュ パッシ).
- 耳が痛みます。Nazo yoka matoyi passi(ナゾ ヨカ マトイ パッシ).
- 歯が痛いです。Nazo yoka minu passi(ナゾ ヨカ ミニュ パッシ).
- 歯のつめものが取れました。Plombage ya minu ekoyi(プロンベ ヤ ミニュ エコイ).
- 腰が痛いです。Nazo yoka mukongo passi(ナゾ ヨカ ムコンゴ パッシ).
- 腕の骨を折りました。Na bukani maboko(ナ ブカニ マボコ).
- 足が痛いです。Nazo yoka lokolo passi(ナゾ ヨカ ロコロ パッシ).
- 両足が痛いです。Nazo yoka passi(ナゾ ヨカ パッシ).
- こむら返りを起こしました。Nazui crampes(ナズイ クランプ).
- 全身が痒いです。Nazo yoka mukussa nzoto mobimba(ナゾ ヨカ ムクサ ゾットモビンバ).
- アレルギーがあります。Naza na allergie(ナザ ナ アレルジ).
- 病名は何ですか?Kombo ya bokono eza nini(コンボ ヤ ボコノ エザ ニニ)?
- すぐ、良くなりますか?Nako bika noki(ナコ ビカ ノキ).
- 手術が必要ですか?Opération eza na tina(オペラスィオン エザ ナ ティナ)?
- 何かいい薬はありませんか?Kissi ya bien ezate(キスィ ヤ ビアン エザテ)?
- 子供の様子が変です。Mwana na ngai aza malamute(ンワナ ナ ンガイ アザ マラムテ).
- 子供がひきつけを起こしました。Mwana na ngai azo kangama(ンワナ ナ ンガイ アゾ カンガマ).
- 蚊に刺された。Ngungi essui ngai(ングンギ エスイ ンガイ).
- 犬にかまれた。Mbwa assui ngai(ンブワ オスィ ンガイ).
- 病院へ連れて行ってください。Mema ngai na hôpital(メマ ンガイ ナ オピタル).