シンガポール共和国
第11回日本・シンガポール・シンポジウム

4月25日~26日,東京において公益財団法人日本国際問題研究所(JIIA))及びシンガポール国立大学政策研究所(IPS)の共催により第11回日本・シンガポール・シンポジウムが開催されたところ,概要は以下のとおり。なお,本年は日本・シンガポール外交関係樹立50周年であり,本シンポジウムは,50年前に外交関係が樹立された4月26日に合わせて開催された。
1 本シンポジウムには,国会議員をはじめとして,政府,産業界,学界,メディア界の各界からオピニオン・リーダーが出席。野上義二JIIA理事長及びトミー・コー・IPS特別顧問が共同議長を務めた。
2 25日の非公開セッションでは,以下2つの議題につき議論された。
(1)「アジア太平洋地域の安全保障:海洋国家としての役割」
第1セッションでは,アジア太平洋地域の安全保障について議論がなされた。報告者は小谷哲男JIIA主任研究員,ロバート・ベックマン・シンガポール国立大学国際法センター所長が務め,また討論者として大菅岳史外務省南部アジア部審議官も参加した。参加者の間では,大国間関係を中心とした国際政治状況について議論が行われ,法の支配,航行の自由など,地域の平和と安定の促進に向けた課題・取組みなどについて議論がなされた。
(2)「アジアを巡る経済環境と今後の経済統合の行方」
第2セッションでは,アジアを巡る経済環境と今後の経済統合の行方について議論がなされた。報告者はタン・キー・ギャップ・シンガポール国立大学リー・クァンユー公共政策大学院アジア競争力研究所所長,浦田秀次郎早稲田大学教授が務め,また,討論者として,小池百合子衆議院議員も参加した。参加者からは,両国共通の課題である少子高齢化の課題,また,ASEAN経済共同体(AEC),環太平洋パートナーシップ(TPP)協定,東アジア地域包括的経済連携(RCEP),アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)など複数の貿易促進のための枠組みや,経済統合構想について交渉が行われているが,これらが競合でなく相互補完するものであるとの視点が示され,この地域のすべての国が,自由な貿易及び投資から利益を享受すべきであるとの意見が示された。

3 25日夜,木原誠二外務副大臣主催の第11回日本・シンガポール・シンポジウム・レセプションを開催した。同レセプションでは,ビビアン・バラクリシュナン外務大臣から,熊本地震へのお見舞いを述べるとともに,両国が外交関係樹立50周年を迎える本年を契機に,今後より一層の関係強化を行っていきたい旨述べた。
4 4月26日には公開セッションが行われた。

(1)冒頭,日本側から木原誠二外務副大臣が,シンガポール側からはビビアン・バラクリシュナン外務大臣がそれぞれ基調講演を行い,日・シンガポール外交関係樹立50周年の節目に両国の協力関係の今後の展望等について述べるとともに,本年から本シンポジウムを毎年開催することとなったことが発表された。
- 木原外務副大臣の基調講演(日本語(PDF)
/英語(PDF)
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- バラクリシュナン外相の基調講演(シンガポール外務省ホームページ)
(2)その後,「日・シンガポール関係の未来と展望」をテーマとして議論が行われた。 冒頭,林芳正参議院議員から日本の経済政策を中心とする講演を行い,続いて,神保謙慶應義塾大学准教授,中島厚志経済産業研究所(REITI)理事長,ラム・ペン・アー・シンガポール国立大学東アジア研究所シニアフェロー,ザイヌル・アビディン・ラシード・シンガポール外務省中東特使兼クウェート非常駐大使が安全保障,人的交流,経済分野など様々な観点から報告を行った。
5 総括
2日間にわたる議論を経て,参加者の間で,両国が半世紀かけて培ってきた強固な関係を確認するとともに,様々な分野で両国関係を引き続き発展させていく必要があるとの認識が共有された。