フィリピン共和国

令和8年5月28日
握手をする高市総理大臣とマルコス大統領 (写真提供:内閣広報室)
高市総理大臣とマルコス大統領との会談の様子 (写真提供:内閣広報室)

 5月28日午後5時50分から約60分間、高市早苗内閣総理大臣は、国賓として訪日中のフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア・フィリピン共和国大統領(H.E. Ferdinand Romualdez Marcos, Jr., President of the Republic of the Philippines)と日・フィリピン首脳会談を行い、続けて共同記者発表及び夕食会を行いました。また、両首脳は、今後の「包括的・戦略的パートナー」としての両国間の協力に向け、共同声明を発出しました。

1 冒頭

 高市総理大臣から、日・フィリピン国交正常化70周年という記念すべき年に、マルコス大統領の国賓訪問が行われたことを歓迎するとともに、我が国にとって最も緊密な同志国の一つであるフィリピンとの協力を一層強化したい旨述べました。これに対し、マルコス大統領から、日本側の温かい歓迎に謝意が示されるとともに、両国関係は新たな段階に入った、今回の首脳会談を機に協力関係を一層強化したい旨の発言がありました。

2 二国間関係

 高市総理大臣は、国際情勢が厳しさを増す中、海を挟んだ隣国であり、基本的価値や原則を有する両国が連携を強化することは、進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現にとって極めて重要である旨述べました。その上で、両首脳は、国際環境の変動に左右されることなく、今後も持続的かつ重層的に二国間関係を強化するという決意の表れとして、両国関係をフィリピンにとって初となる「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げすることで一致しました。

  1. 安全保障分野
     両首脳は、近年の安全保障・防衛協力の進展を踏まえ、更なる協力に向けた基盤強化のため、秘密軍事情報保護協定の交渉を正式に開始することで一致しました。また、マルコス大統領から、日本の防衛装備移転制度の改正に対して前向きな評価が示され、両首脳は「あぶくま」型護衛艦やTC-90練習機等の移転に向け、防衛当局間のやり取りを加速させることで一致しました。さらに、両首脳はOSA(政府安全保障能力強化支援)を通じた協力を引き続き進めていくことを確認するとともに、次回外務・防衛閣僚会合(「2+2」)の早期開催で一致しました。
  2. 海洋分野
     高市総理大臣は、インド太平洋地域の海上の安全と法の支配を維持する観点から、巡視船の供与や共同訓練を通じたフィリピン沿岸警備隊に対する能力向上支援を継続して行うことを表明し、マルコス大統領から歓迎の意が示されました。
  3. 経済・開発協力分野
    1. 経済連携
       両首脳は、アジア地域全体での経済・サプライチェーン強靱化を含め、日・フィリピン、日・ASEAN間の経済協力を更に深めるべく、今後日・フィリピン経済連携協定(EPA)や日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定のアップグレードに向け、両国で検討を進めていくことを確認しました。また、高市総理大臣から、フィリピンのCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加入要請を歓迎する旨述べるとともに、加入プロセスの早期開始に対する支持を表明しました。さらに、両首脳は、今般署名が行われた日・フィリピン新租税条約を通じて、投資・経済交流が一層促進されることへの期待を表明しました。
    2. エネルギー・経済安全保障・デジタル等
       さらに、高市総理大臣から、昨今のエネルギー情勢を受け、「パワー・アジア」の下、医療品等サプライチェーンの強靱化及びフィリピンにおける国家備蓄やASEANにおける共同備蓄の実現に向けた支援を強化することを表明しました。両首脳は、現下の情勢の中で、エネルギー安全保障、経済成長、脱炭素化を同時に実現することの重要性を確認した上で、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)の下で具体的な協力を更に推進していくことで一致しました。
       さらに、両首脳は、経済安全保障についても議論を行い、あらゆる経済的威圧措置に対する懸念を表明するとともに、重要鉱物を始めとするサプライチェーンの強靱化に向けた連携強化を確認しました。また、両首脳は、AIやデジタルといった先端技術の分野についても意見交換を行い、双方のAI能力の向上に資する協力や、FOIPデジタル回廊構想の実現に向けた協力を、官民で進めていくことを確認しました。
    3. 開発協力等
       両首脳は、ODA(政府開発援助)を通じた質の高いインフラ整備は、フィリピンの経済成長に資するとともに、地域の安定性・自律性の強化につながるとの考えの下、フィリピンにおける連結性の強化や防災分野、保健分野、両国の架け橋となる人材育成、ルソン経済回廊での協力を進めていくことを確認しました。 さらに、両首脳は、官民で連携しつつ、宇宙及び食料安全保障の分野でも協力を深めていくことを確認しました。
       さらに、高市総理大臣は、ミンダナオ和平プロセスに対する揺るぎない支援を表明しました。これに対し、マルコス大統領から、日本の継続的な支援に対する謝意が示されました。

3 地域・国際情勢

  1. 両首脳は、東シナ海及び南シナ海の情勢に深刻な懸念を表明するとともに、平穏に確立された現状を力又は威圧により変更しようとするあらゆる一方的な試みに対して強く反対することを再確認しました。高市総理大臣は、ASEANの一体性・中心性を改めて支持することを表明し、ミャンマー情勢への対応を始め、フィリピンが本年のASEAN議長国として進めている取組を評価する旨伝達しました。また、両首脳は、こうした地域の平和と安定に資する取組を更に進めるために、日米フィリピン協力を含む同盟国・同志国の連携を一層強化することで一致しました。
  2. 両首脳は中東情勢についても意見交換を行いました。イラン情勢について、両首脳は、ホルムズ海峡における自由で安全な航行の確保と安定的なエネルギー・サプライチェーンの重要性を確認し、事態の早期沈静化に向けて外交努力を継続することで一致しました。
  3. 両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル問題や悪意あるサイバー活動に対する深い懸念を共有し、北朝鮮の完全な非核化に向けたコミットメントを確認するとともに、拉致問題の即時解決の重要性を再確認しました。
  4. 高市総理大臣は、国連安保理非常任理事国選挙におけるフィリピンへの支持を表明しました。両首脳は、国際場裏での協力を深化させることを確認しました。

4 マルコス大統領の訪日の機会に署名された文書

 共同記者発表に先立ち、両首脳は日・フィリピン新租税条約の署名に立ち合いました。その他、今回の国賓としての訪日の機会を捉えて、両国政府間で以下の文書に合意・署名しました。

  • 無償資金協力「人材育成奨学計画」(JDS)交換公文
  • 2027年国際園芸博覧会への参加契約書
  • 農業協力に関する協力覚書(農林水産省とフィリピン農業省間)
  • AI協力に関する共同意向声明(総務省とフィリピン情報通信技術省間)
  • 宇宙協力に関する共同宣言文書(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とフィリピン宇宙庁間)
  • 備蓄協力に関する共同声明(経済産業省とフィリピンエネルギー省間)

(注)近日中に、水資源管理に関する協力覚書(国土交通省とフィリピン環境・天然資源省間)、個人情報保護に関する協力覚書(個人情報保護委員会とフィリピン国家プライバシー委員会間)も署名予定。

(参考)別添

 包括的・戦略的パートナーシップに関する日・フィリピン共同声明:「未来を共に織りなす:平和、繁栄、可能性」(英文(PDF)別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く


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