安倍総理大臣

平成26年6月24日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
6月24日(火曜日)、安倍晋三内閣総理大臣は、訪日中のアキノ・フィリピン大統領との間で首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり。会談では、まず少人数会合を行い、続けてワーキングランチを行った。

1.少人数会合(主に地域情勢につき議論)

(1)冒頭、安倍総理から、戦略的パートナーとして、今後もフィリピンとの関係を一層強化したい旨述べた。アキノ大統領からも、両国の関係を一層深化させたいとの意向が示され、両首脳は、両国の戦略的パートナーシップを強化していくことで一致した。

(2)両首脳は、南シナ海を中心に地域情勢について意見交換を行った。アキノ大統領から、南シナ海情勢について、中国との間の仲裁裁判等に関する説明があるとともに、フィリピンが国際法を通じて問題を平和裡に解決しようとしていることへの日本の支持に対し、謝意の表明があった。安倍総理からは、先般のシャングリラ・ダイアローグでの講演で述べた法の支配三原則(注:(ア)いかなる主張も国際法に基づくべき、(イ)力による威嚇は許されず、(ウ)紛争は平和的に解決されるべき)について説明し、これらを受けて、両首脳は、紛争の平和的解決と、法の支配に基づく対応の重要性について一致した。

(3)両首脳は、地域におけるアメリカの役割についても意見交換を行い、安倍総理から、先般フィリピンと米国の間で合意した防衛協力強化協定について、災害対処能力の向上を含めて地域における米国のプレゼンスを強化し、地域の平和と安定に資するものであるとして、歓迎する旨を述べた。

2.ワーキングランチ(主に二国間関係につき議論)

(1)政治・安全保障関係
安倍総理から、「積極的平和主義」の取組として、「防衛装備移転三原則」を策定し、防衛装備の海外移転の基準を明確化したことや、集団的自衛権等と憲法の関係を検討中であることにつき説明した。その上で、日本の平和国家の根幹は不変であり、フィリピンにも丁寧に説明していく旨を述べた。アキノ大統領からは、現在の日本の取組に対する支持が示された。また、両首脳は、海洋安全の分野で、巡視艇の供与を含めて引き続き協力を進めることで一致した。

(2)経済関係
ア 安倍総理から、日本経済の現状や成長戦略について説明すると同時に、成長戦略では外国人を含む人材の活用を重視しており、家事支援の分野での外国人受入れを国家戦略特区で試行的に実施予定であることや、技能実習制度も、制度の適正化とともに、対象職種拡大を含め見直していくことを述べた。また、成長加速の最大の潜在力は女性の参画であるとして、本年9月に日本で女性の国際会議を開催予定であり、アジアで最も女性が活躍するとされるフィリピンからの参加を歓迎する旨述べた。また安倍総理からは、日フィリピン経済連携協定での看護師・介護福祉士候補者の受入れも引き続き重視しており、受入れ拡大に向けて互いに協力したい旨述べた。これらに対し、アキノ大統領からは、看護師・介護福祉士を含め、外国からの人材受入れ拡大に向けた日本の取組の進展に対して感謝の意が表明された。
イ 安倍総理から、共に成長するウィン・ウィンの経済関係を一層深めたく、成長の基盤となる運輸・交通インフラ等で、引き続きフィリピンを支援していくことを説明したのに対し、アキノ大統領からは、日本の支援に対する感謝の意が示され、両首脳は、今後もこの分野で協力していくことで一致した。

(3)人的交流
安倍総理から、今般、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」の下で、フィリピンへの更なる査証緩和措置を発表した旨を説明した。アキノ大統領からは、日本の措置に対する謝意が表明された。

(4)ミンダナオ和平
アキノ大統領から、先般の和平合意を受けたミンダナオ和平プロセスの現状について説明があり、日本の支援(注:日本は2006年以降で150億円以上の支援を実施)に対する謝意の表明があった。安倍総理からは、和平合意に改めて祝意を述べるとともに、今後も、ミンダナオでの平和の定着や持続的発展に向けて支援を惜しまないとして、特に、コミュニティ開発や人材育成、経済開発に重点を置いて支援していきたい旨述べた。

安倍総理大臣へ戻る