チャレンジ41カ国語 ~外務省の外国語専門家インタビュー~

チャレンジ41カ国語~外務省の外国語専門家インタビュー~

フランス語の専門家 堀内さん

Bonjour!(ボンジュール)=こんにちは!

(写真)セネガルのシネ・サルームで船の船頭さんと。船頭さんが乗っているのは、ピローグと呼ばれるセネガルの伝統的な船のへさき。

セネガルのシネ・サルームで船の船頭さんと。
船頭さんが乗っているのは、ピローグと呼ばれるセネガルの伝統的な船のへさき。


 「直感と勢いと行動力が私の人生の指針です。」と笑う堀内さんが、本格的に将来を考え始めたのは文学部3年のとき。たまたま大学で行われた外務省職員の講演を聴いたことで、就職先として外務省が急浮上します。持ち前の直感が働いて、行動に結びついたんですね。
 そんな堀内さんの行動力は、学生時代に船に乗って中国に渡り、1カ月間1人で旅行したこともあるというエピソードにも現れています。

肌に合うフランス語

 直感を大切にする堀内さん、大学ではフランス語、中国語、ドイツ語を学んだのですが、中でも「フランス語が一番肌に合ったと思います。学んでいて楽しかった。」と、外務省では研修語としてフランス語を選択します。
 フランス語は、最近、日本でもよく使われるようになって、誰でも一度は聞いたことがある、と言っても過言ではないと思いますが、改めて、どんな言葉なのでしょうか。

(写真)エクサン・プロヴァンスの旧市街
エクサン・プロヴァンスの旧市街
堀内さんの住んでいた通り

(写真)エクサン・プロヴァンスの近くにあるサン・ヴィクトワール山
エクサン・プロヴァンスの近くにあるサン・ヴィクトワール山

フランス人のフランス語に対する誇りには脱帽

 「フランス語は、曖昧さのない言葉です。ルールを覚えてしまえば、とても勉強がしやすい。そして、フランスぐらい自国の言語を大切にしている国はありません。」
と堀内さんは言います。フランス人は、「完成した言語」、「モリエールの使った美しい言語」等々、様々な形容でフランス語を讃え、そして何よりもフランス語を誇りとしています。世界中にフランス語の語学学校を開いて、フランス語を広めようと取り組んでいるほか、「アカデミー・フランセーズ」という美しいフランス語を守るための権威ある組織を設けて、外来語をできる限り使わないように努力しています。

地方でのホームステイからスタート

 フランスでの研修生活は、フランス北西部のブルターニュ地方でのホームステイから始まりました。本格的な研修が始まる前に1カ月ほど、語学学校で夏期講座を受けることにしたのです。ところが!ホームステイ先の親切なフランス人家族は、ほとんど英語を話しません(学校では習ってもあまり英語が話せないという点では、日本とフランスは似ているかも。)。言いたいことはフランス語で!という環境に腹をくくった堀内さんではありますが・・・

腹をくくる!耳を開く!

 「最初は、『耳が開いていない』状態で、一気にしゃべられると、まったく聞き取れない。本格的に大学での勉強を始める前にホームステイして、本当に良かったと思います。この1カ月間でメキメキ力が付いたのを実感しましたから。あの頃は、話す前にまず頭の中で文章を組み立てて、心の準備をしてから声に出すという感じでしたね。」
今では首脳レベルの通訳もこなす堀内さんにもこんな時代があったのですね。

外国語習得の一番の秘訣

 そんなわけで、堀内さんお勧めの語学上達法はというと、
「その言葉以外で意思を伝える手段がない!という状況に身を置くこと。田舎でのホームステイはお勧めですよ」。
確かに手っ取り早そうですが・・・ホームステイできない人はどうしたらいいんでしょう?

 「文章を読むことは地道ですが確実に力がつきます。そしてこまめに辞書を引くことで、語彙が増えます。フランス語で何となくニュアンスは分かっても、正確な日本語訳が分からないままでは単語は身に付きません。」
堀内さんは、今でも電子辞書ではなく、紙の辞書を使っているのだそうです。これは、引いた単語の周辺の言葉も一緒に頭に入るのでお勧めだとか。

お金をかけずに上達

 「それから、最近ではインターネットが便利ですね。TF1やFRANCE2といったフランスのテレビ局のニュース番組をそっくりそのままインターネット上で見ることができます。アナウンサーの話し方をおうむ返しに真似てみるのも練習になります。お金をかけずに上達したい人は、試してみて下さい。」
なるほど。試してみます!

直感と勢いと・・・

 堀内さんは、南仏の小さな町、エクサン・プロヴァンスで研修の2年間を過ごしました。その生活ぶりも、直感と勢いと行動力をモットーとしている堀内さんらしいエピソードに溢れていました。「たまたま道で出会った高齢のマダムとおしゃべりしているうちに、『家を探しているなら私のアパートが1部屋空いているわよ』という話になり、そのままついていって見た部屋を一目見て気に入り、即決しました。マダムとは今でもやりとりしていますが、とても幸運な出会いでした。」
と、ラッキーな出会いもあれば、その行動力から様々な活動にも参加したようです。

さすが行動派!

 「近くの教習所に通って車の免許も取りました。いずれ途上国勤務の際には車は必須ですから。」そのほかにも、「地域の社会人が集まるコーラスグループに参加して地元の音楽祭に出たり、政治学院でもフランス人学生との勉強会に参加したり、インターンとして日本に行くというフランス人学生と語学の交換授業をしたり、あらゆる機会をとらえて活動の幅を広げようとしていました。」
こうして常にフランス人と関わっていたんですね。

研修後はアフリカ(セネガル)勤務!

 世界各地を旅行していた堀内さんですが、それまで一度も足を踏み入れたことのなかったのがアフリカです。アフリカには、実はフランス語を使う国が多いのです。堀内さんは自ら希望してアフリカ大陸の最西端に位置するセネガルで2年間を過ごしました。

(写真)セネガルのマーケットの風景。一山いくら?
セネガルのマーケットの風景。一山いくら?

トマトを買うのも値段交渉から!

―インフラや、衛生面など、セネガルでの生活に苦労はなかったのでしょうか?
 「もちろん、停電や断水は日常茶飯事。洗濯物は寄生虫がいるので外に干せませんし、常にマラリアの心配をしたり、水や食べ物に気をつけたりしなければならない不自由さはありました。でも、私のもうひとつのモットーは『郷に入れば郷に従え』。せっかくですから現地ならではの生活を楽しみました。食べ物だって地元の物が一番おいしい!セネガルの市場では、トマト1盛、魚1匹から値段交渉するんですよ。セネガルの現地の言葉のひとつのウォロフ語も少しかじりました。」

適応力がものを言う

 セネガルでの生活を楽しそうに語る堀内さん。でも、ちょっと冷静に考えると、停電や断水が日常茶飯事の生活が普通にできるなんて...。
 実は堀内さんは、エクサン・プロヴァンスでの研修中に仕事で訪れたパリで、後に結婚することになる運命のフランス人男性と出会います。アフリカに引き続きベルギーで勤務し、ご主人と一緒に帰国した現在は、「私が大黒柱です。」
 これからも、直感と行動力で、世界中のフランス語圏を舞台に仕事を続けて下さい!

(写真)バオバブの木の下で(セネガル)
バオバブの木の下で(セネガル)


堀内さんのフランス語

好きな言葉

 Mieux vaut tard que jamais.(ミュウ ヴォウ タール ク ジャメ):遅くてもやらないよりまし

 Vouloir, c'est pouvoir.(ヴロワール セ プヴォワール):為せば成る

便利なフレーズ

 Merci beaucoup.(メルシィ ボクー):どうもありがとう

 De rien.(ドゥリヤン) :どういたしまして

 Comment ça va ?(コモン サヴァ?):調子はどう?

 D'accord. (ダコー):OK、了解

 C'est sympa ! (セ サンパ!):いい感じ!

 Bon appétit ! (ボナペティ!):たっぷり召し上がれ(食事の前に同席者に向かって言いましょう。)

フランス語を話す主な国:カナダ、ハイチ共和国、アンドラ公国、スイス連邦、フランス共和国、ベルギー王国、モナコ公国、ルクセンブルク大公国、レバノン共和国、アルジェリア民主人民共和国、ガボン共和国、カメルーン共和国、ギニア共和国、コートジボワール共和国、コモロ連合、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ジブチ共和国、セーシェル共和国、セネガル共和国、チャド共和国、中央アフリカ共和国、チュニジア共和国、トーゴ共和国、ニジェール共和国、ブルキナファソ、ブルンジ共和国、ベナン共和国、マダガスカル共和国、マリ共和国、モーリシャス共和国、モーリタニア・イスラム共和国、モロッコ王国、ルワンダ共和国

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