Hola!(オラ)=こんにちは!
スペイン国王ホァン・カルロス1世から外交官学校の卒業証書を授与される四方さん。
四方さんは、スペイン語の専門家。職場結婚(つまり外務省員同士の結婚)したご主人との間に息子さんが一人います。息子さんと二人だけで海外赴任をしていたこともありますが、その間、ご主人は日本に『単身赴任』していました。四方さんは、開発途上国の発展の手助けができる仕事をしたいと考え、大学時代にスペイン語を専攻し、外務省に就職しました。専門語学も、中南米の発展途上国で多く話されているスペイン語を希望しました。でも、開発途上国といって、なぜ中南米を思い浮かべたのでしょうか。
「小学生のときにニカラグアで大地震があり、その時テレビで見た映像が頭に焼き付いていたのかもしれません。」
「響きが明るくて、テンポが良いです。物事を率直に言うのに向いている言語かもしれません。日本語と同じように母音が5つありますし、日本人にとって入りやすい言葉だと思います。けれど、すぐに流暢に話すことは難しいと思いますし、とても、奥深い言語だと思います。」
四方さんは、外務省入省後、スペインの首都マドリッドで2年間の研修に励みました。
-どんな学校で研修をしたのですか?
「普通に考えれば、スペイン語を基礎から固める意味で、きちんと語学学校から始めるのが良かったのでしょうが、困ったことに私は背伸びをしてしまう質で、1年目から外交官学校に入りました。この学校は、スペインの外交官や外交官になるために勉強をしている人が通う大学院レベルの学校です。ここでは、スペイン人の外交官志望者や中南米やアジアから来ている留学生に混じって国際コースを履修しました。当然、試験はものすごく難しくて、毎回胃が痛くなりました。」
試験は、マークシートではなく論述式です。出されたテーマについて限られた時間でとにかく沢山書かなければならないので、試験の時はいつも胃が痛くなったそうですが、国際法の試験の時はあまりにも胃が痛くて、試験を受けることができなかったそうです。不憫に思った先生が、筆記試験に代えて口頭試験を受けさせてくださったそうですが、それは四方さんにとってかえって難しいものに。書くのも難しいけれど、国際法を教授と外国語で論じなければならないなんて…ちょっと同情してしまいます。
1年目は勉強についていくことが精一杯だったそうですが、志が高く、努力を惜しまない四方さんの頑張りはまだまだ続きます。寮での生活も平坦ではありませんでした。
―学生寮ではどんな生活を送っていたのですか?
「食堂でみんなと一緒に食事をするのですが、周りはみんなスペイン人で、遠慮会釈ないネイティブのスピードで話しまくるのです。スペイン人はとてもおしゃべりですから。会話の最初は、それでもなんとかついていけるのですが、話題がくるくる変わって、そのうち何を話題にしているかもわからなくなって、私は黙るしかなくなってしまいます。」
「そんなことが重なるので、食堂に行くのも辛い時もありました。でも、食堂に行かないと食事もとれないし、友達もなくしてしまう、語学の上達もない。頑張ってめげずに毎日通いました。それでも、話がわからなくなると黙っているしかありません。そうすると友人から、「今日はどうして黙っていたの?私たちの話題があなたの気に入らなかったの?」と聞かれます。実際は「今日」だけではなく、「いつも」黙り込んでしまうのですが…。「気に入らなかったわけではなく、わからなかったの」だと答えると、「ごめんなさいね。」と謝ってくれて、次の日はゆっくり話し始めてくれるのですが、話に熱中すると、そんなこと忘れられてしまうんですよね~。」
今では通訳もばっちりこなす四方さんですが、こんな時もあったのですね。こうした経験が、きっと四方さんのスペイン語力の上達に大きく役立ったのだと思います。
翌年は、道で偶然に遭ったというバルセロナ出身のスペイン人とアパートをシェアして暮らしました。そのアパートは、サッカー場から500メートルの至近距離にあったそうで、試合のある日は大変な騒ぎだったそうです。サッカー観戦にも行ったことがあるそうなので、レアル・マドリッド対FCバルセロナのプレミアマッチをそれと知らず観戦していた可能性もありますね。この友人とは、今でも家族ぐるみのおつきあいをしているそうです。
「彼女(友人)は、『日本人はまじめでよく働く=バルセロナの人との共通点がある。』という先入観(?)があり、日本人に興味があったみたいです。私の方は、昔、父が見せてくれたバルセロナの写真にすっかり魅せられていたので、バルセロナの話をいろいろと聞くことができてうれしかった、というのが仲良くなったきっかけでした。スペインでの語学研修後に勤務したメキシコでも共通して言えることですが、ラテンの人々は家族をとても大切にします。週末は家族や親戚と一緒に過ごすのが、ラテンの人たちの習慣です。ですから、家に食事に呼ばれて行ってみると、他に何家族も親戚が集まっているなんてことが珍しくなくて、自然に家族とも仲良くなります。彼女の両親は今でも、私を娘のように心配してくれますし、私たちの息子を自分の孫のようにかわいがってくれます。」
「語学の上達には、目と耳と口と手を同時に使うことが大事だと言われていますね。私ももちろんそれを実践しましたが、通訳研修などを経た現在、更に効果的だと思う勉強方法があります。中級者以上の方にお勧めです。」と教えてくれたのは、ネイティブが話している文章をほぼ同時に、まるで影のようにそのまま繰り返して発音するという「シャドーイング」と、スペイン語の文章を意味のかたまりごとに読んで内容を理解し、それを頭から順に日本語にし、またその逆を行う、という「サイト・トランスレーション」の2つの勉強法。通訳として活躍する人が使っている勉強法として英語では広く行われ、詳しく書かれた教材も沢山出ていますが、これはスペイン語にも効果があるとのこと。
この勉強法で、文がまるごと身につき、リズムが良くなり、表現力も厚みを増して、短い期間にスペイン語がぐっと上達したと、四方さん自身が実感したそうです。是非皆さんも試してみて下さい。
「No dejes apagar el entusiasmo, virtud tan valiosa como necesaria; trabaja, aspira, tiende siempre hacia la altura.」
ニカラグアの詩人、ルベン・ダリオ(Rubén Darío, 1867-1916)の言葉。「熱意の灯火を消してしまうな、熱意はこんなにも貴重であるだけでなく、必要な美徳である。努力し、切望し、上に向かって伸びよ。」
Gracias(グラシアス)~ありがとう
¿Cómo está(s)?(コモエスタ(ス))~お元気ですか(sがつくと友人・家族向けになります。)
Un momento, por favor(ウン モメント ポル ファボール)~少々お待ち下さい
Otra vez, por favor(オトラ ベス ポル ファボール)~もう一度お願いします
Más o menos.(マス オ メノス)~まあまあ、だいたい(好き嫌いを尋ねられたときなどに。)
Hoy estoy libre(オイ エストイ リブレ)~今日は暇です
★スペイン語を主要言語とする国: エルサルバドル共和国、キューバ共和国、グアテマラ共和国、コスタリカ共和国、ドミニカ共和国、ニカラグア共和国、パナマ共和国、ベリーズ、ホンジュラス共和国、メキシコ合衆国、アルゼンチン共和国、ウルグアイ東方共和国、エクアドル共和国、コロンビア共和国、チリ共和国、パラグアイ共和国、ベネズエラ・ボリバル共和国、ペルー共和国、ボリビア共和国、スペイン、アンドラ公国、赤道ギニア共和国