報道発表
荒木一郎横浜国立大学名誉教授のWTO多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント(MPIA)仲裁人団への選任
令和7年6月3日
- 5月28日、世界貿易機関(WTO)の多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント(MPIA)参加メンバーは、我が国が推薦した荒木一郎横浜国立大学名誉教授を含む新たなMPIA仲裁人団を決定し、6月1日に発足させました。
- 我が国は、今般、荒木名誉教授が新たなMPIA仲裁人団に選任されたことを歓迎するとともに、WTO協定を始めとする国際貿易法の分野で国際的にも顕著な実績を積んでこられた荒木名誉教授の知見が、MPIAを通じてWTOの紛争解決制度の予見可能性を高め、ルールに基づく多角的貿易体制の維持・強化に繋がることを期待します。
(参考1)MPIAの概要
- 上級委員会が機能不全にある間、2020年にEU等が主導して立ち上げた暫定的な枠組みであり、同枠組みの参加メンバーは、参加メンバー間のWTOに係る紛争について上級委員会に申し立てず、WTO協定附属書2(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(紛争解決了解(DSU))第25条の規定に基づく仲裁を、上級委員会に代わる紛争解決手段として用いることに政治的にコミットするもの。日本は、2023年3月からMPIAに参加している。
- MPIA参加メンバー間の紛争については、個別具体的な事案の都度、紛争当事国間で仲裁手続に合意することにより同手続が適用され、機能停止中の上級委員会への申立てを行わないこととなる。
- あらかじめ参加メンバーにより選任された10名の仲裁人プールから、ランダムに選出される3名が一つの事案を担当する。
- 現時点の参加メンバー数は56(豪、ベナン、伯、加、中国、チリ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、EU(及びEU加盟27か国)、グアテマラ、香港、アイスランド、日本、マカオ、マレーシア、メキシコ、モンテネグロ、ニカラグア、NZ、ノルウェー、パキスタン、パラグアイ、ペルー、フィリピン、シンガポール、スイス、ウクライナ、ウルグアイ)。
(参考2)荒木一郎・横浜国立大学名誉教授略歴
1995年から1998年にWTO法務部法務官を務め、2003年から横浜国立大学で教鞭をとっている。WTOの紛争解決手続において複数のパネリスト経験を有する。東京大学法学部卒業、米国カリフォルニア大学バークレー校法科大学院修士課程修了。