報道発表
日・フィリピン外相会談及びワーキング・ランチ
令和7年5月28日


5月28日、午後1時から約100分間、岩屋毅外務大臣は、訪日中のエンリケ・マナロ・フィリピン共和国外務大臣(Hon. Enrique A. Manalo, Secretary for Foreign Affairs of the Republic of the Philippines)との間で、日・フィリピン外相会談及びワーキング・ランチを行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
- 岩屋大臣から、本年4月の日・フィリピン首脳会談を通じ、海でつながる「隣人」であるフィリピンとの関係を一層強化できた旨述べた上で、首脳会談から間を置かずに外相会談を行うことができる両国関係の緊密さを評価しました。その上で、岩屋大臣から、同盟に近いパートナーである日本とフィリピンの間で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携していきたい旨述べました。
- マナロ外相から、1月の岩屋大臣のフィリピン訪問以来の再会をうれしく思う、その後、国際情勢は激動しているが、4月の石破総理大臣のフィリピン訪問を通じて、両国間の協力がますます進んでいることを高く評価する旨述べた上で、来年の日・フィリピン国交正常化70周年を見据え、今回の会談を通じ、価値や利益を共有するパートナーとして更なる協力につなげていきたい旨述べました。
2 二国間関係
- 安全保障分野に関し、両外相は先月の首脳会談を踏まえ、安全保障・防衛協力の基盤の更なる強化に向けて突っ込んだ議論を行いました。両外相は、先月の首脳会談後、日・フィリピン物品役務相互提供協定(ACSA)の交渉を開始するとともに、将来的な情報保護協定の締結の可能性についての議論も開始したことを評価しました。また、部隊間協力円滑化協定(RAA)発効に向けたプロセスの着実な進展を歓迎しました。さらに、岩屋大臣から、フィリピンの能力構築のための政府安全保障能力強化支援(OSA)による協力を更に進めたい旨述べ、これに対し、マナロ外相から日本の協力への謝意が示されました。その上で、両外相は、戦略認識を共有し、海洋分野を含む安全保障分野での協力を更に進めるために、本年中に両国間で海洋協議及び次官級戦略対話を実施することで一致しました。
- 経済分野に関し、岩屋大臣から、今後、対等なパートナーとして、官民連携でフィリピンのインフラ整備を一層進めたい旨述べました。マナロ外相からは、これまでのインフラ分野での日本からの多大な支援への謝意と今後の協力への期待が表明されました。その上で、両外相は本年中に、日本での次回日・フィリピン経済協力合同委員会実施に向けて調整を進めることで一致しました。また、両外相は、フィリピンにおいて、ニッケル等の鉱物資源事業を進める上で、安定した投資環境が必要であるとの認識で一致しました。
- 岩屋大臣から、フィリピンにおける残留日系人の国籍取得に向け引き続き取り組んでおり、協力していきたい旨述べ、マナロ外相から、問題の重要性について認識しており、今後も協力していきたいとの応答がありました。
- 岩屋大臣から、フィリピンにおける最近の治安情勢を踏まえ、在留邦人の安全は投資促進にも不可欠であり、フィリピンの治安改善を強く期待する旨述べたところ、マナロ外相からは、本件については最も高いレベルで対応しているところ、ビジネスであれ、観光であれ、日本人の安全のため全力で取り組んでいく旨の説明がありました。
- この他、両外相は来週の大阪・関西万博のフィリピンナショナルデーに向けた協力を確認しました。
3 地域・国際情勢
- 両外相は、東シナ海・南シナ海情勢、ミャンマー、中東情勢、ロシアによるウクライナ侵略、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応、米国の関税措置及びその世界経済や多角的自由貿易体制への影響、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)を通じた協力等の幅広い分野について議論を行いました。マナロ外相からは、拉致問題について改めて理解と支持が示されました。
- その上で、両外相は、こうした課題に取り組む上で、米国を始めとする同盟国・同志国で連携していくことの重要性を改めて確認するとともに、今後も米国の関与を得つつ、日比・日米比協力を深化し、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、引き続き連携していくことで一致しました。