報道発表

WTO紛争解決「韓国による日本産水産物等の輸入規制」韓国による勧告の実施意思の表明

令和元年5月28日

英語版 (English)

  1. 1 本28日(現地時間同日),スイスにおいて,WTO紛争解決機関(DSB)会合が開催され,韓国による日本産水産物等の輸入規制に関する紛争案件について,WTO協定上,輸入規制措置を強化する際に求められる周知義務等を果たさなかった点について,韓国が是正に向けた意思の表明を行いました。
            
    2 これに対し,日本政府から伊原純一在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使が,韓国による勧告の実施意思の表明に留意した上で,概要以下の発言を行いました。
    (1)本件紛争案件は特に科学的・技術的側面が強く,パネルは,5名の専門家の意見を仰ぐなどして綿密な事実認定を実施。上級委員会は,パネルの事実認定を十分に踏まえてパネルの法的分析及び結論の双方を精査すべきであった。
    (2)上級委員会がWTO加盟国から委ねられている役割は,紛争解決の確保。今回,上級委員会は,韓国による規制措置についてWTO協定整合性を示さないとの判断をとった点において,役割を逸脱した一面がある。これは加盟国が直面する深刻な問題であり,是正が必要。
    (3)日本産食品の安全性についてのパネルの事実認定に争いはなく,我が国は,輸入規制を継続している国・地域に対し,引き続き早期の措置の撤廃を求めていく。

    3 我が国の発言を受けて,米国から,今回上級委員会がその役割を逸脱したとの日本の見解を共有しており,また,WTO加盟国がこの重要な制度的問題についてよく考えることを求める旨発言がありました。

    [参考1]今回のDSB会合の位置づけ
    (1)4月11日に公表された本件に関するWTO上級委員会報告書において,上級委員会は,(ア)韓国の輸入規制措置がWTO協定違反であるとしたパネル報告書(第一審)の判断について,その分析が不十分(本来考慮すべき全ての事項を十分に考慮していない)であるとして取消した一方,(イ)韓国は輸入規制措置を強化する際に求められる周知義務等を果たしていなかったとしてWTO協定違反であるとしたパネルの判断を支持。
    (2)今回のDSB会合においては,韓国が上記(イ)について,違反の是正に向けた意思の表明を行い,これを受けて我が国から,本件紛争案件における問題意識及び日本産食品の安全性について発言を行ったもの。

    [参考2]勧告の実施に関する意思表明
    (1)上級委員会報告書(もしくはパネル報告書)においてWTO協定違反とされ,是正を勧告された措置について,当該加盟国は勧告の実施に関する意思をDSB会合にて表明することが義務づけられている。
    (2)韓国は2013年9月に輸入規制措置を強化した際,WTO協定で求められている周知義務等を果たしていなかったとして,パネル(第一審)はWTO協定違反を認定。上級委員会においても,同認定は取り消されず,4月26日のDSB会合での報告書採択をもって,上記に関する韓国の協定違反が確定した。
    (3)なお,WTO協定上,勧告の実施に関する意思の表明は,報告書採択日から30日以内に開催されるDSB会合で行うことが義務付けられているが,本件においては,(報告書が採択された)4月26日のDSB会合から30日以内にDSB会合の開催が予定されていなかったことから,両当事国及び事務局が過去の慣習も踏まえて調整した結果,韓国が5月14日に書面にて勧告の実施に関する意思をDSBに通報している。

    [参考3]本件の経緯と概要
    (1)2011年3月の東京電力(株式会社)福島第一原子力発電所における事故後,韓国は日本産水産物等への輸入規制を順次導入。更に2013年9月に輸入規制を強化した((ア)8県産水産物(注)全面輸入禁止及び(イ)追加的な放射性核種検査要求の対象を水産物を含む全ての日本産食品に拡大)。
      (注)8県:青森,岩手,宮城,福島,茨城,栃木,群馬,千葉
    (2)こうした措置がWTO協定上の義務に違反していると考え,2015年5月,我が国は韓国に対してWTO紛争解決手続に基づく協議を要請し,同年6月に協議を実施した。同年8月,我が国は,WTOにパネル設置要請を行い,翌9月パネルが設置された。
    (3)2018年2月,パネルは,韓国による日本産水産物等の輸入規制措置は「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)に非整合的であると判断し,韓国に対して措置を同協定に適合させるよう勧告する報告書を公表した。
    (4)WTO紛争解決制度においては,紛争当事国はパネル報告書について上級委員会に申立てをすることができる(いわゆる二審制)。2018年4月,韓国はパネルの判断を不服として上級委員会へ申立てを行った。
    (5)2019年4月11日に発出された上級委員会報告書は,パネルの判断の一部を取り消した。
    (6)4月26日に開催されたWTO紛争解決機関(DSB)の会合において上級委員会報告書及び上級委員会によって一部訂正されたパネル報告書が採択された。

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