報道発表
東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の現状に関する太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局及び専門家との対話の開催
令和5年4月14日
4月14日、東京電力福島第一原子力発電所(東電福島第一原発)のALPS処理水の現状に関する太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局及び専門家との対話が、テレビ会議形式で実施されました。日本側から、外務省、経済産業省及び東京電力が、また、PIF側から、シオネ・テキテキPIF事務局ガバナンス・エンゲージメント部長及びPIFが指名した専門家4名(アントニー・フッカー氏、ロバート・リッチモンド氏、フェレンツ・ファルノキ・ベレス氏、アージュン・マキジャニ氏)が参加しました。
- 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の現状に関するPIF事務局及び専門家への説明会は、2022年以降、4回実施されてきました。
今回の対話は、2月7日の岸田総理大臣とPIF代表団との会談において、ALPS処理水の海洋放出に関する集中的な対話の重要性につき一致したこと、また、同月のPIF特別首脳会合で本件に関する日本との政治的・科学的対話を強化していくことへの支持が表明されたことを踏まえ、専門家間での議論を行ったものです。 - 今回の対話では、日本側から、これまでの説明会での議論におけるPIF側の関心事項を踏まえ、ALPS処理水の海洋放出計画について、特に次の事項に焦点を当て、科学的根拠に基づいた説明を行い、PIF側と議論を行いました。以下の説明は、東電の資料も用いて実施しました。
- (1)放出前の水の安全性
日本側から、ALPS処理水の海洋放出に係る放射線環境影響評価に関して、測定・評価対象核種を見直した上で実施した再評価でも、被ばく評価値が一般公衆の線量限度や線量拘束値、国際機関が提唱する生物種ごとに定められた値を大幅に下回る結果となっていることを具体的な数値を示しつつ説明しました。 - (2)有機結合型トリチウム(OBT)の安全性
動植物の体内ではトリチウムの一部がOBTに変換されます。放射線環境影響評価報告書では、摂取する海産物に含まれるトリチウムの10%がOBTであると仮定して評価されましたが、念のため100%がOBTだったと仮定した場合も評価しており、これまでの評価結果と全体の被ばく評価値がほぼ変わらないことを説明しました。 - (3)その他
PIF専門家から、ALPS処理水の処分に関する代替手段等について質問があり、日本側から、日本の専門家は、トリチウム水タスクフォース及びALPS処理水の取扱いに関する小委員会において、6年以上にわたって本件に関する包括的な議論(5つの処分方法(地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設)に対する評価を含む)を行っていること等説明しました。
- 日本とPIF事務局及び専門家は、今後も集中的な対話を継続していくことで一致しました。日本は、IAEAのレビューを受けつつ、太平洋島嶼国・地域に対し、高い透明性をもって科学的根拠に基づく説明を引き続き誠実に行っていきます。
[参考1]ALPS処理水
ALPS(多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System))等により、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水。さらにALPS処理水は、その後十分に希釈され、トリチウムを含む放射性物質の濃度について安全に関する規制基準値を大幅に下回るレベルにした上で、海洋放出されることが想定されている。
[参考2]岸田総理大臣と太平洋諸島フォーラム(PIF)代表団との会談
[参考3]東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の現状に関する太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局向け説明会の開催実績
[参考4]有機結合型トリチウム
トリチウムは水と同じように体外へ排出されるため、体内で蓄積・濃縮されないが、炭素や水素などでつくられた化合物「有機物」において、水素原子がトリチウムと置き換えられる(有機結合)場合がある。このような物質を「有機結合型トリチウム(OBT)」という。