報道発表

パキスタンの主要国際空港保安設備の強化及び防災対策能力向上のための支援
(無償資金協力「第二次空港保安強化計画」及び「経済社会開発計画」)

平成30年3月27日

1 本27日(現地時間同日),パキスタン・イスラム共和国の首都イスラマバードにおいて,我が方原田貴在パキスタン臨時代理大使と先方サイード・ガザンファル・アバース・ジーラーニ財務・歳入・経済省経済担当次官(Mr. Syed Ghazanfar Abbas Jilani, Secretary, Economic Affairs Division, Ministry of Finance, Revenue and Economic Affairs)との間で,無償資金協力「第二次空港保安強化計画」(供与限度額23億9,200万円)及び「経済社会開発計画」(供与額5億円)に関する書簡の交換が行われました。

2 各案件の概要は,それぞれ以下の通りです。

(1)「第二次空港保安強化計画」
 パキスタン政府は,近年,新たなテロ対策国家行動計画を策定し,包括的なテロ対策を行っています。同国におけるテロ事件は年々減少傾向にあるものの,依然として同国の安全を脅かす深刻な問題となっています。特に,物流と人の移動の拠点である国際空港の保安設備強化は,同国の治安対策上,喫緊の課題となっています。
 この計画は,パキスタンの主要国際空港(ムルタン,ファイサラバード,新イスラマバード及びカラチ)において,保安機材を整備することにより,空港保安体制の強化を図るものです。この協力により,ムルタン空港,ファイサラバード空港およびカラチ空港において,2023年にはすべての航空機が,国際的要件を満たす安全性の確認後に出発することとなる見込みです。また,ムルタン空港,ファイサラバード空港,新イスラマバード空港においては,2023年には空港敷地内に入場するすべての車両が,国際的要件を満たす安全性を確認後に入場することになる見込みです。これにより,パキスタンにおけるテロ発生リスクが低減することが期待されます。

(2)「経済社会開発計画」
 自然災害多発国であるパキスタンは,頻繁に大規模な洪水に見舞われており,2010年の洪水では死者数が1,700人を超えるなど,自然災害による甚大な被害は,同国において人道上の深刻な問題であるとともに,経済発展の阻害要因ともなっています。パキスタンにおける防災対策は依然として脆弱性を抱えており,特に気候変動に起因する洪水等への対策が喫緊の課題とされています。しかし,現在防災対策で中心的な役割を果たす予警報システムの設置数は十分ではなく,一部の気象観測所では機材の老朽化が著しいことから,改善が必要な状況にあります。
 この計画は,パキスタン政府に対し,我が国で製造された自動気象観測システムをはじめとする防災関連機材等を供与するものです。これにより,同国の災害対策強化を図り,もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。
 また,今回の無償資金協力は,我が国の気候変動分野における途上国支援策として実施するものでもあります。我が国は,2015年11月に「美しい星への行動2.0(ACE2.0)(PDF)別ウィンドウで開く」を発表し,2020年に官民合わせて約1兆3,000億円の気候変動対策支援を実施することを表明しています。我が国としては,パキスタンと引き続き気候変動分野で連携していきます。

[参考]パキスタン・イスラム共和国基礎データ
 パキスタン・イスラム共和国は,面積約79.6万平方キロメートル(日本の約2倍),人口1億9,320万人(2016年度,世界銀行),1人当たりの国民総所得(GNI)1,510米ドル(2016年,世界銀行)。


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