パキスタン・イスラム共和国
パキスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Pakistan)
基礎データ


一般事情
1 面積
79.6万平方キロメートル(日本の約2倍)
2 人口
2億4,149万人(2023年、国勢調査)
3 首都
イスラマバード
4 民族
パンジャーブ人、パシュトゥーン人、シンド人、バローチ人等
5 言語
ウルドゥー語(国語)、英語(公用語)
6 識字率
58.0%(15歳以上を対象)(2019年、世界銀行)
7 宗教
イスラム教(国教)
8 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1947年 | 英領インドより独立、第1次印パ戦争 |
1948年 | 「建国の父」ジンナー死去 |
1952年 | 日パ国交樹立 |
1956年 | 「パキスタン・イスラム共和国憲法」(議院内閣制)公布・施行 |
1958年 | アユーブ・カーン陸軍大将によるクーデター アユーブ・カーン陸軍大将、大統領に就任 |
1962年 | 「パキスタン共和国憲法」(大統領制)公布・施行 |
1965年 | 第2次印パ戦争 |
1969年 | アユーブ大統領辞任 ヤヒヤー陸軍参謀長、大統領に就任 |
1970年 | 初の総選挙実施 |
1971年 | 第3次印パ戦争(東パキスタンがバングラデシュとして分離独立) Z・A・ブットー人民党(PPP)党首、大統領に就任 |
1973年 | 「パキスタン・イスラム共和国憲法」(議院内閣制)公布・施行 Z・A・ブットー大統領、首相に就任 |
1977年 | 総選挙実施 ハック陸軍参謀長によるクーデター |
1978年 | ハック陸軍参謀長、大統領に就任 |
1979年 | ハック大統領、「イスラム化政策」開始 |
1985年 | 総選挙実施、ジュネージョ首相就任 「憲法第8次修正」成立 |
1988年 | ハック大統領、ジュネージョ首相を解任 ハック大統領、軍用搭乗機の墜落事故によって死去 G・I・カーン上院議長、大統領に就任 総選挙実施、B・ブットー首相就任(第1次B・ブットー政権) |
1990年 | G・I・カーン大統領、B・ブットー首相を解任 総選挙実施、N・シャリフ首相就任(第1次N・シャリフ政権) |
1993年 | G・I・カーン大統領とN・シャリフ首相が同時に辞任 総選挙実施、B・ブットー首相就任(第2次B・ブットー政権) |
1996年 | レガーリ大統領、B・ブットー首相を解任 |
1997年 | 総選挙実施、N・シャリフ首相就任(第2次N・シャリフ政権) 「憲法第13次修正」成立 |
1998年 | パキスタン核実験 |
1999年 | カルギル紛争 ムシャラフ陸軍参謀総長によるクーデター ムシャラフ陸軍参謀長、行政長官に就任 |
2002年 | 総選挙実施 |
2007年 | 大統領選挙実施、ムシャラフ大統領再選 非常事態宣言発出 |
2008年 | 総選挙実施、ギラーニ首相就任 ムシャラフ大統領辞任、ザルダリ大統領就任 |
2012年 | ギラーニ首相辞任、アシュラフ首相就任 |
2013年 | 総選挙実施、N・シャリフ首相就任(第3次N・シャリフ政権) フセイン大統領就任 |
2017年 | N・シャリフ首相の議員資格停止、アバシ首相就任 |
2018年 | 総選挙実施、カーン首相就任 アルビ大統領就任 |
2022年 | カーン首相、下院にて不信任案が可決され、辞任 シャバーズ・シャリフ首相就任(第1次S・シャリフ政権) |
2023年 | 下院解散 選挙管理内閣が次期総選挙まで政権を運営 |
2024年 | 下院総選挙実施 シャバーズ・シャリフ内閣発足(第2次S・シャリフ政権) |
政治体制・内政
1 政体
連邦共和制
2 元首
アーシフ・アリ・ザルダリ大統領
3 議会
二院制
4 政府
- (1)首相 シャバーズ・シャリフ
- (2)外相 ムハンマド・イスハーク・ダール
5 内政
2022年4月10日、下院にて、カーン首相に対する不信任案が可決され、カーン首相は失職。4月11日、下院にて、指名選挙によりシャバーズ・シャリフ氏が次期首相に選出され、首相に就任。2023年8月9日、アルビ大統領は、シャバーズ・シャリフ首相の助言に基づき、下院を解散。同月14日、アンワールル・ハック・カーカル氏が選挙管理内閣首相に就任。2024年2月8日に下院総選挙及び州議会選挙を実施。選挙後の交渉により、PTIを除く主要政党が連立政権の形成に合意。3月11日、第2次シャバーズ・シャリフ内閣が発足。ムハンマド・イスハーク・ダール外相、オーラングゼーブ財相など19名の閣僚が就任(PPPは内閣に参加せず)。
外交・国防
1 外交基本方針
- (1)東西冷戦時代から、米国を始めとする西側諸国との友好関係を維持する一方、インドへの対抗上、1960年代から元々緊密だった中国との関係が、「中国・パキスタン経済回廊(CPEC)」事業等を通して更に強化されている。また、世界第2位のイスラム教徒人口を抱える国として、他のイスラム諸国との連帯を重視している。
- (2)2001年9月の米国同時多発テロ事件以降は、国際社会と協力してテロ対策に取り組んでいる。米国との関係においては、カーン元首相が自身に対する不信任に関して「米国による陰謀」を主張するなど、両国間の深刻な相互不信が露わになっていたが、2022年4月に発足した第1次S・シャリフ政権以降は米国との関係を重視し、安全保障分野に留まらない協力関係を築くことを目指して、その改善・強化に取り組んでいる。
- (3)インドとの関係については、現下のカシミール問題等を巡る緊張によって、改善の見通しは立っていない。アフガニスタンとの関係については、その安定がパキスタン及び地域の安定に直結することから、2021年8月のタリバーン復権以降も、タリバーンとの関係を含め積極的な外交活動を展開している。
2 軍事力
- (1)予算
- 1兆7,300億ルピー(ミリタリーバランス2022)
- (2)兵役
- 志願制
- (3)兵力
- 陸軍56万人、海軍21,800人、空軍7万人、合計65万1,800人(ミリタリーバランス2022)
パキスタンは、インドが1998年5月中旬に2度にわたり地下核実験を実施したことへの対抗措置として、同月下旬2度の地下核実験を行った。
経済
1 主要産業
農業、繊維業
2 GDP
3765.3億米ドル(2022年、世界銀行)
3 一人当たりGDP
1,596.7米ドル(2022年、世界銀行)
4 GDP成長率
6.2%(2022年、世界銀行)
5 物価上昇率
19.9%(2022年、世界銀行)
6 失業率
6.4%(2022年、世界銀行)
7 外貨準備高
81.861億ドル(2023年7月21日時点、パキスタン中央銀行)
8 総貿易額
- (1)輸出
- 317.82億ドル
- (2)輸入
- 801.36億ドル
(2021-2022年、パキスタン統計局)
9 主要貿易品目
- (1)輸出
- 繊維製品、植物性生産品、鉱物性生産品
- (2)輸入
- 鉱物性生産品、機械類、化学品
10 主要貿易相手国
- (1)輸出
- 米国、中国、英国
- (2)輸入
- 中国、UAE、サウジアラビア
(2021-2022年、パキスタン統計局)
11 通貨
パキスタン・ルピー
12 為替レート
1米ドル=約280ルピー(2023年7月時点、パキスタン中央銀行)
13 経済概況
- (1)経済改革の停滞、インフラ不足等により低成長が継続する一方、財政赤字の増加、外貨準備高の減少、インフレ等の課題が山積。新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的打撃からの回復途上に、ウクライナ情勢の影響を受けて食料品とエネルギー価格が高騰し、更には2022年6~9月にかけて国内各地で発生した甚大な洪水被害の影響が国民の生活を直撃している。
- (2)友好国からの借款・債務繰延べを追求。IMFとの関係では、2019年に開始した拡大信用供与ファシリティは、2023年6月に供与資金を残して終了したものの、同年7月、新たな短期金融支援プログラムが開始。
14 債務残高
対外累積債務残高 999.70億ドル(2022年、パキスタン中央銀行)
15 会計年度
7月1日~6月30日
経済協力
1 日本の援助実績累計
- (1)有償資金協力(2021年度まで、交換公文ベース) 8,174.75億円(2021年度実績0億円)
- (2)無償資金協力(2021年度まで、交換公文ベース) 2,994.10億円(2021年度実績48.17億円)
- (3)技術協力(2021年度まで、経費実績ベース) 654.34億円 (2021年度実績 22.33億円)
2 主要援助国
- (1)米国
- (2)日本
- (3)英国
- (4)ドイツ
(OECD/DAC、2019年までの累積額、支出総額ベース)
日パキスタン二国間関係
1 政治関係
経済協力関係を軸として国交樹立以来の友好関係を維持。
2 経済関係
(1)対日貿易(出典:IMF)(単位 億ドル)
- (ア)貿易額
-
年度 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 対日輸出 1.86 2.01 1.91 1.66 2.01 2.23 対日輸入 22.83 22.84 13.59 11.39 21.65 16.99 - (イ)主要品目
- 対日輸出 鉱物性燃料、綿糸、綿織物、魚介類、繊維製品、金属製品
- 対日輸入 輸送用機器、鉄鋼、一般機械、電気機器
(2)我が国からの直接投資 (パキスタン中央銀行)(単位 100万ドル)
年度 | 2015 /2016 |
2016 /2017 |
2017 /2018 |
2018 /2019 |
2019 /2020 |
2020 /2021 |
2021 /2022 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
投資額 | 35.4 | 57.7 | 59.8 | 117.3 | 52.4 | 38.69 | 17.10 |
3 文化関係
文化無償協力、モヘンジョダロ遺跡修復事業協力、南西アジア青年招聘、講演、展示等を実施。日本において1984年ガンダーラ美術展、1986年インダス文明展、1998年ブッダ展、2000年インダス文明展。
4 在留邦人数
964人(2024年10月、外務省海外在留邦人数調査統計)
5 在日当該国人数
25,334人(2023年12月、法務省在留外国人統計)
6 日系企業数
74社(2024年8月、ジェトロ・カラチ事務所調べ)
7 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1990年 | 海部総理大臣 |
1992年 | 秋篠宮同妃両殿下 |
1995年 | 橋本通産大臣 |
1997年 | 池田外務大臣 |
1999年 | 山本外務政務次官 |
2000年 | 森総理大臣 |
2001年 | 田中外務大臣 |
2001年 | 杉浦外務副大臣 |
2002年 | 緒方総理特別代表 堀内総理特使 |
2004年 | 川口外務大臣 |
2005年 | 中川経産大臣 町村外務大臣 小泉総理大臣 |
2006年 | 麻生外務大臣 |
2007年 | 小池防衛大臣(総理特使) |
2008年 | 高村外務大臣 |
2009年 | 岡田外務大臣 |
2010年 | 菊田外務大臣政務官 |
2013年 | 木村総理補佐官 |
2013年 | 城内外務大臣政務官 |
2015年 | 中根外務大臣政務官 |
2017年 | 岸外務副大臣 |
2018年 | 河野外務大臣 堀井巌外務大臣政務官 中根外務副大臣 薗浦総理補佐官 |
2022年 | 本田外務大臣政務官 里見経済産業大臣政務官 |
2024年 | 阿部俊子文部科学副大臣 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1990年 | カーン大統領(即位の礼) |
1992年 | シャリフ首相(公式実務訪問賓客) |
1993年 | バーバル・アリ蔵相 |
1996年 | ベナジール・ブットー首相(公賓) |
1997年 | アビダ・フセイン人口福祉・科学技術相 ゴース・アリ・シャー教育相 |
1998年 | シェイク・ラシード・アフマド文化・労働(等)相 ゴーハル・アユーブ・カーン外相 サルタージ・アジーズ外相 |
2001年 | サッタール外相(外務省賓客) ショーカット・アジーズ蔵相(大統領特使) |
2002年 | ショーカット・アジーズ蔵相 ムシャラフ大統領(公式実務訪問賓客) ハイダル内相 |
2003年 | カーン商務相 シェルパオ水利電力相 |
2005年 | カスーリ外相(外務省賓客) アジーズ首相 |
2009年 | ザルダリ大統領(実務訪問賓客、パキスタン・フレンズ/支援国会合出席) クレーシー外相 カイラ情報放送相 シャハブッディーン計画・開発相 マリク内務担当首相顧問 タリーン財務担当首相顧問 スワーティ科学技術相 |
2011年 | ザルダリ大統領(実務訪問賓客) |
2012年 | ファヒーム商務相 カル外相(外務省賓客) カル外相(アフガニスタンに関する東京会合) シェイク財務相(IMF・世銀総会) |
2013年 | イクバール計画開発改革相 |
2015年 | ダール財務相 ファテミ外務担当首相特別補佐官 |
2016年 | アバシ石油天然資源相 ジャンジュア国家安全保障担当首相顧問 |
2017年 | サーディク下院議長 |
2018年 | ダウード商務・繊維・産業・生産・投資担当首相顧問 |
2019年 | クレーシー外相 オマル・アユーブ・カーン・エネルギー・石油相 アルビ大統領(即位の礼) |
2020年 | アズハル経済相 |
2022年 | ダスタギール電力相 |
2023年 | ビラーワル・ブットー・ザルダリ外相 フセイン投資庁・特別イニシアティブ担当相 |
8 両陛下・皇族の御訪問等
- 上皇上皇后両陛下が皇太子同妃両殿下として御訪問(1962年1月)
- 三笠宮殿下が御訪問(1973年2月)
- 秋篠宮同妃両殿下が御訪問(1992年11月)
9 二国間条約・取極
文化協定(1958年)、租税条約(1959年(2008年に全面改訂))、友好通商条約(1961年)、航空協定(1962年)、投資保護協定(2002年)(PDF)(345KB)
10 二国間政治宣言
- 日パキスタン共同声明(2005年、小泉総理パキスタン訪問の際)
- 日パキスタン共同声明(2011年、ザルダリ大統領訪日の際)