報道発表

核兵器用核分裂性物質生産禁止条約に関するハイレベル専門家準備グループへの我が国の参加

平成29年2月24日

1 今般,我が国は,アントニオ・グテーレス国連事務総長(H.E. Mr. António Guterres,Secretary-General of the United Nations)により,25か国から構成される核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)に関するハイレベル専門家準備グループのメンバーに選ばれ,同グループに我が国から専門家を指名するよう要請されました。

2 これを受け,我が国は,佐野利男外務省参与(前軍縮代表部大使)を専門家として派遣します。

3 我が国は,FMCTを,核軍縮を進める上での現実的かつ実践的な措置の一つとして重視しており,FMCTの交渉開始に向け,FMCTに関するハイレベル専門家準備グループでの議論においても積極的に貢献していく考えです。

(参考)核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)概要
(1)核兵器用核分裂性物質生産禁止条約は,通称カットオフ条約又はFMCT(Fissile Material Cut Off Treaty)と呼ばれる。 FMCTは核兵器用の核分裂性物質(高濃縮ウラン及びプルトニウム等)の生産そのものを禁止することで,新たな核兵器国の出現を防ぐとともに,核兵器国による核兵器の生産を制限するものである。1996年に包括的核実験禁止条約(CTBT)が採択された後,国際社会が次に取り組むべき現実的かつ実践的な多数国間の核軍縮・不拡散措置と位置付けられており,核軍縮・不拡散の双方の観点から大きな意義を有する。

(2)なお,核兵器不拡散条約(NPT)上の核兵器国のうち米国,ロシア,英国,フランスは核兵器用核分裂性物質生産モラトリアムを宣言しているが,中国はこの宣言を行っていない。

(3)FMCTは,1993年9月,クリントン米国大統領が国連総会演説で提案したものであり,同年11月には,その交渉を適当な国際的フォーラムで行うことを勧告する国連総会決議がコンセンサスで採択された。その後,交渉の場をジュネーブ軍縮会議(CD)とすることが合意されたものの,現在に至るまで実質的な交渉は開始されていない。

(4)CDにおいてFMCTの交渉が開始されない状況を受け,第71回国連総会決議(A/RES/71/259)において,国連事務総長の下にFMCTに関するハイレベル専門家準備グループを設置し,2017年及び2018年にそれぞれ2週間の会合をジュネーブで開催することが決定された。同準備グループは,地理的衡平性に基づいて選ばれる25か国で構成され,2年間かけて将来のFMCTの交渉に資するよう,条約の実質的な要素について勧告を作成し,同報告書を国連事務総長に提出する。


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