核軍縮・不拡散

核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約:FMCT)の概要

平成30年7月24日

1 核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の主目的

 核兵器用の核分裂性物質(高濃縮ウラン,プルトニウム等)の生産を禁止することにより,核兵器の数量増加を止めること。

2 FMCTをめぐる現状

 2010年NPT運用検討会議の最終文書をはじめ,これまで長年にわたって多くの国際的な文書においてジュネーブ軍縮会議(CD)におけるFMCTの早期交渉開始・妥結が要請されているものの,1995年,1998年及び2009年にいったん交渉開始が合意された以外は,交渉開始に向けたコンセンサスな未だ得られていない状況となっている。こうした状況を受け,2012年12月,第67回国連総会は,FMCTに関する政府専門家会合(GGE)を2014年及び2015年にジュネーブで計4回開催すること,そのために加盟国の見解を聴取した報告書を第68回国連総会に提出することを国連事務総長に要請する決議案(A/RES/67/53別ウィンドウで開く)を賛成多数で採択した。我が国は,2013年年5月,同決議の要請に基づいてFMCTに関する我が国の見解(PDF)別ウィンドウで開くを国連に提出した。GGEは2015年4月の第4回会合をもって終了し,報告書がまとめられ,国連事務総長に提出された(GGE報告書(PDF)別ウィンドウで開く)。我が国からは,須田明夫元軍縮代表部大使が政府専門家としてGGEに参加した。2016年12月,第71回国連総会において,FMCTに関するハイレベルFMCT専門家準備グループの設置を国連事務総長に要請する決議案が採択され,2017年及び2018年にそれぞれ同グループ会合をジュネーブで開催し,FMCTの実質的な要素についての勧告を検討・作成することになった(我が国からは,佐野利男外務省参与を専門家として派遣)。FMCTに関するハイレベル専門家準備グループは,2回の会合における議論を経て報告書を採択した。

3 FMCT交渉を巡る経緯

  • (1)FMCTは,1993年9月にクリントン米大統領(当時)が国連総会演説で提案したものであり,同年12月には,その交渉を適当な国際的フォーラムで行うことを勧告する国連総会決議(A/RES/48/75)がコンセンサスで採択された。その後,交渉の場をジュネーブ軍縮会議(CD)とすることが合意された。
  • (2)1995年のCD第1部末において,交渉マンデート案が採択されたことにより,FMCT特別委員会(アドホック委員会)の設置が決定された。その後,一部非同盟諸国が条約交渉開始とCDの作業計画とを結びつけた主張を行ったため,FMCT交渉は開始されないままとなった。
  • (3)1998年5月の印及びパキスタンによる核実験の強行といった新たな政治状況の下,同年8月,CDにおいてFMCT特別委員会(アドホック委員会)が設置された。しかし,1999年会期では,再びCDの作業計画を巡る議論が紛糾したため,再設置は実現しなかった。
  • (4)2000年NPT運用検討会議で,CDに対し,FMCTの即時交渉開始及び5年以内の妥結を含む作業計画への合意が奨励されたことを受けて,2000年会期内に新たな進展があることが期待されたが,「宇宙空間における軍備競争の防止(PAROS)」についての交渉を,FMCT交渉と同時に開始することを主張する中国と,PAROSに関して交渉を行うことは受け入れられないとする米国の対立により,結局条約交渉開始には至らなかった。
  • (5)2006年には,CD6議長国の主導によりCD主要事項について,5月にはFMCTについての集中討議が開催された。この集中討議では,約15か国から20名以上の専門家が出席し,米国提出の条約案及びマンデート案を含む数多くの作業文書が提出された。また,FMCT全般に加えて,定義,スコープ,ストックの各論についても活発な議論が行われた。さらに,FMCTに関する非公式協議が2007年(調整役:伊軍代大使(当時))及び2008年(調整役:樽井軍縮代大使)に行われた。2009年も引き続き非公式協議が行われた(調整役:伊軍代大使)。
  • (6)2009年5月19日,FMCT交渉を行う決定を含む作業計画案(CD/1863)が議長国アルジェリアから提案され,5月29日にコンセンサス採択された。続いて,作業計画の実施に必要な決定案(作業日程や作業部会議長等)の協議が行われたが,パキスタンの修正要求により合意に至らず,2009年中の条約交渉開始を含む作業計画実施は見送られることとなった。
  • (7)2010年もCDにおいて協議が行われたが交渉開始には至らず,停滞した軍縮会議に政治的な推進力を与えるため,9月にニューヨーク国連本部において,事務総長主催軍縮会議ハイレベル会合(閣僚レベル以上)が開催された。我が国からは前原大臣(当時)が出席し,(ア)CDは一定の期限を設けて議論し,(イ)それが困難な場合は代替案を検討すべき,(ウ)FMCT交渉の目処が立たなければ,日本が他の賛同国と共に,交渉の場の提供等のイニシアティブを取る用意がある旨表明。
  • (8)2011年2月,3月及び5月に,日豪両政府はCDのマージンでFMCTに関する専門家会合を開催。会合の結果がCD公式本会議に報告され,その後のFMCTの議論の土台としての役割を果たすことが期待される。他方,CDは作業計画を採択できずに閉会した。
  • (9)2012年には,CDが再び作業計画を採択できなかったことを受け,同年の第67回国連総会では,FMCTに関する政府専門家会合(GGE)の設置を事務総長に要請する決議案が採択された。この決議を受け,上記2のとおり,2014年から2015年にかけ,ジュネーブにおいて計4回のGGEの会合が開催され(GGEには我が国からも政府専門家として須田明夫外務省参与が参加),報告書(同GGE報告書(PDF)別ウィンドウで開く)を作成し,国連事務総長に提出した。
  • (10)その後もCDにおいて作業計画の採択ができず,2013年及び2014年は,非公式作業部会において作業計画について議論がなされた。また,2014年は非公式協議の形式でFMCTを含む諸議題について実質的な議論が行われた。
  • (11)2016年の第71回国連総会においては,FMCTに関するハイレベル専門家準備グループの設置を国連事務総長に要請する決議案が採択された。FMCTに関するハイレベル専門家準備グループは,同決議に基づき,第1回会合(2017年8月)及び第2回会合(2018年6月)における議論を経て,報告書を採択した。同報告書は,将来の条約の要素について考え得るオプションや,交渉において考慮すべき事項を提示している。

4 我が国のFMCTに対する基本的立場

 我が国は,FMCT早期交渉開始を実現すること,また,交渉妥結までの間,核兵器保有国が核兵器用核分裂性物質の生産モラトリアムを宣言することは,核兵器廃絶の実現に向けた次の論理的なステップであり,核軍縮分野での最優先事項の一つと考えている。

 なお,FMCTに関するより詳細かつ具体的な立場は,上記2のとおり,第67回国連総会で採択された,国連加盟国に対し,FMCTに関する各国の見解を求める決議(A/RES/67/53別ウィンドウで開く)に基づき,我が国が提出した見解(PDF)別ウィンドウで開く参照。

5 FMCTの交渉開始の実現に向けた我が国の取組

(1)非公式協議等を通じた取組

(ア)二国間協議

 交渉開始に向けてのモメンタムを維持するため,関係主要国(米・英・加・豪)と順次二国間協議を通じて意見交換を実施。

(イ)専門家会合の開催

 条約交渉開始へのモメンタムの維持や交渉開始後の議論の参考にすることを念頭におき,2011年,上記3(8)のとおり,CDの枠外で,オーストラリア政府と共に,FMCTの技術的な側面に焦点を当てたCD加盟国を対象とした専門家会合を開催。

(2)作業文書の提出

 我が国は,2003年8月及び2006年5月に作業文書を提出している。2003年の作業文書(PDF)別ウィンドウで開くは,CDにFMCTの対象範囲,検証を含む技術的検討,及び組織的・法的事項に関する内容。2006年の作業文書(PDF)別ウィンドウで開くは,2003年の作業文書を発展させ,FMCTのスコープ,あり得べき検証の考え方,規制対象となる核分裂性物質の定義について論点整理を行ったもの。
 また,2013年には,上記4のとおり,これらの作業文書をさらに発展させた見解を国連に提出。
 上記の作業文書に加えて,2012年4月末に行われた2015年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会において,FMCTの根本的な考え方をまとめた軍縮不拡散イニシアティブ(NPDI)共同作業文書(PDF)別ウィンドウで開くを提出。さらに,2017年5月に開催された2020年NPT運用検討会議第1回準備委員会に対しても,同様にFMCTに関するNPDI共同作業文書(PDF)別ウィンドウで開くを提出した。


Get Adobe Reader(別ウィンドウで開く) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAdobe Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
核軍縮・不拡散へ戻る