報道発表
2015年(平成27年)海外邦人援護統計の公表
1 本5日,外務省は,2015年(平成27年)海外邦人援護統計を外務省ホームページ及び海外安全ホームページに掲載しました。この海外邦人援護統計は,2015年1月1日から12月31日までの間,我が国在外公館及び公益財団法人交流協会が海外において事故・災害,犯罪加害及び犯罪被害等で何らかのトラブルに遭遇した邦人に対し行った援護の件数及び人数を暦年ごとにとりまとめたものです。
2 平成27年の総援護件数は,1万8,013件(対前年比0.61%減)で過去10年において三番目に多く,総援護人数は,2万387人(対前年比1.63%減)で過去10年において二番目に多い人数でした。
(参考)平成27年における海外出国者数:1,621万3,789人
(法務省入国管理局発表,対前年比では4.08%減)。
3 平成27年の海外邦人援護の主な特徴は以下のとおりです。
(1)『事故・災害』は233件(421人)であった。そのうち約5割は「交通機関事故」(116件)であり,内訳は交通事故108件,航空事故4件,列車事故3件,その他1件となっている。次いで多いのは「レジャー・スポーツ事故」(38件)であり,内訳は水難事故23件,登山事故8件,スポーツ事故5件,その他2件となっている。
(2)『犯罪被害』は4,719件(5,056人)であり,全体の約3割を占めているが,そのうち最も多いのは「窃盗被害」(3,834件/4,100人)となっている。次いで「詐欺被害」(382件/406人),「強盗被害」(257件/280人)となっている。また,殺人等の犯罪により12人が死亡しており,内訳はアジア地域が6人,大洋州地域が1名,北米地域が1人,中南米地域が3人,欧州地域が1名となっている。
(3)『犯罪加害』は361件(452人)であった。主なものは,「出入国・査証関係犯罪」(73件/136人),「道路交通法違反」(38件/38人),「傷害・暴行」(53件/59人)となっている。また,国によって非常に重い量刑が科される「麻薬犯罪」は25件(28人)となっている。
(4)「死亡者数」は533人であり,過去10年間で4番目に少ないが,前年に比べ2.11%増加した。傷病による死亡が406人で全死亡者数の約8割を占めており,次いで自殺による死亡者数が46人と約1割を占めている。「負傷者数」は328人であり,過去10年間で最も少なく,前年比17.17%減となった。
(5)地域別の援護件数は,アジア地域(6,160件(前年比2.92%増)/6,540人)が前年に引き続き最も多く,次いで北米地域(5,815件(前年比2.74%増)/6,850人),欧州地域(4,198件(前年比3.00%減)/4,436人),中南米地域(848件(前年比17.51%減)/1,488人),大洋州地域(467件(前年比5.47%減)/491人),アフリカ地域(297件(前年比10.81%減)/332人),中東地域(228件(前年比22.71%減)/250人)となっている。
(6)傾向として,特にアジア地域では傷害・暴行等の犯罪加害,窃盗,詐欺等の犯罪被害が多く,また傷病による死亡件数も多かった。北米地域及び中南米地域においては前年に引き続き,主に相続や裁判手続きのほか,地方自治体による税の徴収などに利用するため「所在調査」が多く発生している。なお,前年に引き続き欧州地域は窃盗被害が他地域に比べ突出して多い。
(7)暴動・政変・テロ等にかかわる邦人援護としては,1月にシリアにおける邦人殺害テロ事件,3月にイエメンからの退避支援,同月のチュニジアにおける銃撃テロ事件,8月にバンコクでの爆発事件,10月にバングラデシュでダッカ襲撃テロ事件等が発生した。
(8)自然災害にかかわる邦人援護としては,4月にネパールにおいてマグニチュード7.8の地震が発生し,その後の余震も含めて日本人1名が死亡し,1名が負傷した。
(9)在外公館別の援護件数を見ると,前年に引き続き在タイ日本国大使館が全在外公館の中で最も多く,次いで在フィリピン日本国大使館
,在上海日本国総領事館
,在ロサンゼルス日本国総領事館
,在ニューヨーク日本国総領事館
となっている。