報道発表

ウクライナへの金融専門家の派遣

平成27年12月4日

1 今般,日本政府は,ウクライナ政府による国家財政の再建及び金融制度改革を後押しするため,不良債権問題に知見を有する日本銀行及び国際通貨基金(IMF)出身の田中克(たなか・まさる)氏をウクライナ財務大臣アドバイザーとして派遣することを決定しました。

2 本件は,4月に薗浦外務大臣政務官(当時)がウクライナを訪問した際,先方財務大臣から,ウクライナの銀行セクターの抜本的な改革に知見を有する専門家派遣に関する要請があったこと,また,本年6月及び9月に行われた日・ウクライナ首脳会談において言及されたこと受けて,我が国政府にて検討の結果,JICA長期専門家として派遣するものです。

3 ウクライナの金融セクターでは,不適切な資金管理,分離派勢力との対立やエネルギー問題の長期化に伴う経済状況の悪化などにより債務不履行が生じ,銀行が大量の不良債権を抱えています。ウクライナ財務省の管轄する国営銀行においても,不良債権の正確な把握と適切な処理が喫緊の課題となっています。このような状況の下,ウクライナ政府は,日本銀行及びIMFで当該分野における知見を有する田中専門家からのアドバイスを通じて,金融制度の強化に取り組む意向を示しています。

4 我が国は,ウクライナ情勢の悪化を受け,ウクライナの安定と国内改革の後押しに向け,(1)経済状況の改善,(2)民主主義の回復,(3)国内の対話と統合の促進の3つを重点方針として,約18億4,000万ドルの支援を着実に実施しています。本件は,ウクライナ情勢の悪化を受けた我が国の対ウクライナ重点方針である「経済状況の改善」に該当するものであり,専門家派遣を通じ,ウクライナの改革に貢献することが期待されます。

(参考)ウクライナ基礎データ
 ウクライナは,面積約60.37万平方キロメートル(日本の約1.6倍),人口約4,474万人(2014年,世界銀行)であり,人口1人当たりの国民総所得(GNI)は3,560ドル (2015年,世界銀行)。


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