報道発表

南スーダン情勢(キール大統領とマシャール前副大統領による合意署名に関する岸田大臣メッセージ)

平成26年5月13日

 岸田文雄外務大臣は,キール南スーダン大統領と反政府側のマシャール前副大統領による合意が10日署名されたことを受け,4日に岸田大臣が主催した南スーダン情勢関係国会合に出席した南スーダン,ウガンダ,エチオピア,ケニア,スーダンの各国外相に対し,要旨以下の岸田大臣からのメッセージを伝達しましたのでお知らせします。

1 我が国は,5月10日(現地時間9日),エチオピアの首都アジスアベバにおいて,政府間開発機構(IGAD)による調停の下で,キール南スーダン大統領と,反政府側のマシャール前副大統領により,南スーダンにおける敵対行為の停止,人道回廊の設置,暫定政府設置に向けた交渉などに関する合意が署名されたことを歓迎します。

2 我が国は,本件合意の当事者が,当該合意に違反する行為を慎み,合意内容を確実に履行することを強く求めるとともに,全ての当事者が,同国の人道状況の改善,平和の定着,国民和解や安定的な国造りに向けて努力することを期待します。

3 我が国は,自衛隊による国連PKOでの活動を含め,関係国や国連,アフリカ連合(AU)を含む国際機関とも連携しながら南スーダンの安定のために必要な支援を引き続き行っていく考えです。

(参考1)
合意内容の概要
(1)キール大統領(政府側)とマシャール前副大統領(反政府側)両当事者は,9日,アジスアベバ(エチオピア)で,敵対行為停止等の合意に署名した。

(2)合意の概要は,(ア)署名より24時間以内の敵対行為の停止と,敵対行為停止合意へ立ち返ること,IGAD監視メカニズムの展開に合意,(イ)恒久的停戦合意署名までの間,双方部隊を引き離し,戦闘および挑発的行為を停止することにコミットすること,(ウ)全面的な敵対行為停止命令の発出,署名より1週間以内の各司令部レベルにおけるIGAD監視メカニズムによる確認に合意,(エ)人道回廊の確保と人道機関への協力に合意,(オ)総選挙までの間,暫定的な国民統一政府(transitional government of national unity)を設置することが南スーダン国民にとり最良の機会であることに同意。交渉団に暫定国民統一政府設置につき交渉権限を授権,(カ)元被拘束者等を含めた広いステークホルダーを暫定国民統一政府設置交渉と和平交渉に参加させることに合意,(キ)AU調査委員会への全面的協力に同意,(ク)今後1ヶ月以内に,IGADの下で,上記の実施のために再度会談することに合意。

(参考2)
(1)2013年12月15日,南スーダン首都ジュバにて,大統領警護隊同士で戦闘が発生。 同事案は,政府与党内の派閥抗争の激化に発展(サルヴァ・キール大統領派対リアク・マシャール前副大統領派)。12月17日,政府側は,前副大統領邸を攻撃し,10名以上の閣僚等を拘束。

(2)12月17日以降,地方(ジョングレイ州やユニティ州など)において,国軍(SPLA。スーダン人民解放戦線)の師団長以下多くの兵士が離反し,国軍との間の敵対行為が激化。特に主要油田地帯(ユニティ州及び上ナイル州)とジュバ侵攻が可能な拠点・経路(ボル及びボル・ジュバ間の道路)を巡り,攻防が継続。

(3)2014年1月4日より,アジスアベバで当事者による和平協議開始。 同10日以降,IGADの調停者は,両当事者に対し,敵対行為の停止を含む合意案を提示。

(4)1月23日,両当事者は「敵対行為停止」と「被拘束者の地位」の2つについての合意に署名。しかしながら,署名後も,主要油田地帯を中心に両当事者の間の衝突は継続。

(5)国連人道問題調整事務所(UNOCHA)によると,4月25日現在,国内避難民推定92万3000人及び難民29万3200人が発生している。

(参考3)
(1)2014年5月4日,カメルーンにおける第5回アフリカ開発会議(TICADV)閣僚級会合に際し,岸田外務大臣の呼びかけで,南スーダン,ウガンダ,エチオピア,ケニア,スーダンの出席者を集めて関係国会合(閣僚級)を開催。

(2)岸田外務大臣より,敵対行為停止合意違反の発生等の事態に対する懸念を表明するとともに,同国情勢の安定化に向けた南スーダン及び近隣国の努力を期待する旨述べ,我が国としての自衛隊派遣等の貢献を説明した。ベンジャミン南スーダン外相からは,同国の情勢安定化への決意と方針の説明がなされるとともに,近隣国出席者からは,対話による解決が重要であり,南スーダンの当事者の努力を後押しするとの一致した見解が示され,事態解決への連携が確認された。


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