報道発表
第70回国連総会本会議における北朝鮮人権状況決議の採択
平成27年12月18日
- 1 本18日(現地時間17日),ニューヨークで開催中の第70回国連総会本会議において,我が国及びEUが共同提出した北朝鮮人権状況決議が投票に付され,賛成119票で,本年11月に行われた第70回国連総会第3委員会に引き続き,採択されました(反対19票,棄権48票,採択は11年連続11回目)。
- 2 本年の決議は,「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」の報告書の内容を反映させた昨年の国連総会決議を基に,本年3月の人権理事会決議の内容も踏まえた,強い内容のものとなっています。具体的には,昨年同様,北朝鮮の組織的かつ広範で深刻な人権侵害を非難するとともに,国連安全保障理事会(安保理)に対し,北朝鮮の事態の国際刑事裁判所(ICC)への付託や制裁の範囲に関する検討等を通じ,適切な行動をとることを促しています。さらに,安保理がこの議論に継続的かつ積極的に関与することへの期待や,本年6月の国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)ソウル事務所の開設を歓迎する等の新たな内容を盛り込んでいます。
- 3 本決議の採択は,拉致問題を始めとする,北朝鮮の人権侵害についての国際社会の強い懸念の表れです。我が国は,拉致問題の早期解決を含めた北朝鮮の人権状況の改善を強く期待するとともに,国際社会とも協力して,北朝鮮に対し具体的な行動をとるよう引き続き強く求めていく考えです。
[参考]
- 1 投票結果
賛成119票,反対19票,棄権48票で採択。共同提案国は,我が国,EU諸国,米,加,豪,NZ,韓国,トルコなど59か国。 - 2 国連総会北朝鮮人権状況決議(Resolution on the situation of human rights in the DPRK)(於:ニューヨーク)
(1)我が国とEUは,国連総会(第3委員会)に,北朝鮮の人権状況の改善等を求める決議を共同で提出してきており,国連総会において11年連続11回採択。
(2)本年の決議は,11月20日(現地時間19日),国連総会第3委員会において,賛成112票,反対19票,棄権50票で採択された。 - 3 北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)
(1)概要
拉致問題を含む北朝鮮の人権状況全般に係る人権侵害を調査するため,2013年3月の人権理事会における決議で設置が決定。マイケル・カービー氏(委員長,元オーストラリア連邦最高裁判所判事),マルズキ・ダルスマン氏(北朝鮮人権状況特別報告者,元インドネシア検事総長)及びソーニャ・ビセルコ女史(セルビア・ヘルシンキ人権委員会(NGO)代表)の3名で構成。活動機関は1年。
(2)最終報告書
昨年2014年2月17日公表(3月17日,第25回国連人権理事会に提出)。北朝鮮における深刻な人権侵害を,拉致問題を含む複数の分野に亘り,包括的に詳述。人権侵害を,「人道に対する犯罪」に該当するとし,北朝鮮に具体的な取組を勧告すると共に,国際社会や国連にも更なる行動を求めている。拉致問題についても,その事実を記載すると共に,拉致及び拉致被害者の置かれた状況は,現在も進行している人道に対する犯罪とし,北朝鮮に対して,拉致被害者に関する情報提供と被害者本人及びその子を帰国させるよう勧告。 - 4 国連人権理事会における北朝鮮人権状況決議(於:ジュネーブ)
(1)我が国とEUは,毎年(2008年以来今年で8年連続)3月の国連人権理事会に北朝鮮人権状況特別報告者のマンデートを延長する決議を共同で提出してきている。
(2)本年3月の人権理事会においては,COIの勧告に基づき,ICCへの付託の検討等を通じ,安保理が適切な行動をとることを慫慂する昨年12月の国連総会決議を歓迎する内容等を含む決議案を提出し,賛成27票,反対6票,棄権14票で採択された。 - 5 国連安保理における「北朝鮮の状況」に関する会合
(1)「北朝鮮の状況」については,昨年12月22日(ニューヨーク時間),国連安保理において初めて正式議題として採択され,同日議論が行われた。
(2)本年12月10日(ニューヨーク時間)に開催された安保理会合においても,「北朝鮮の状況」につき議論が行われ,国連事務局によるブリーフィングの後,安保理メンバー15か国,韓国及び日本(吉川元偉国連代表部大使)が発言を行った。