報道発表
城内外務大臣政務官とモロ・イスラム解放戦線和平交渉団との昼食会
本19日正午から約1時間半、城内実外務大臣政務官は、外務省の招へいで来日中のフィリピンのモロ・イスラム解放戦線(MILF:Moro Islamic Liberation Front)のモハグハ・イクバル和平交渉団長(Mr. Mohagher IQBAL, Chairman, MILF Peace Negotiating Panel)ほか和平交渉団メンバーと昼食会を行い、ミンダナオ和平につき意見交換を行ったところ、概要は以下のとおりです。
- 冒頭、城内政務官は、MILF和平交渉団の来日を歓迎するとともに、昨年10月のミンダナオ和平に係る「枠組み合意」を踏まえ、最終和平合意に向けた一層の進展を期待する旨述べました。これに対し、イクバル和平交渉団長から、今次招へいに感謝する旨発言があるとともに、フィリピン政府との和平交渉の現状と今後の見通しについて説明がありました。
- また、イクバル団長から、国際監視団(IMT)への開発専門家の派遣、元紛争地域における集中的な経済協力(J-BIRD)の実施、国際コンタクト・グループ(ICG)としての和平交渉へのオブザーバー参加、また、2011年8月のアキノ・フィリピン大統領とムラドMILF議長との東京近郊における非公式会談の仲介など、日本政府が様々な面でミンダナオ和平プロセスを支援してきたことについて深甚なる謝意が表明されました。さらに、和平交渉団から、バンサモロ自治政府設立までの移行プロセスにおいても、人材育成などの分野で日本政府に協力してほしいとの強い期待が表明されました。
- これに対し、城内政務官から、ミンダナオ和平の実現は地域の平和と安定にとっても重要であり、日本とフィリピンの「戦略的パートナーシップ」を深化させるためにも、日本政府は、最終和平合意に向けて、今後も最大限の支援を行っていく決意である旨のメッセージを伝達しました。
【参考】ミンダナオ和平問題について
(1)フィリピン政府とミンダナオを拠点とするモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平プロセスは,約40年にわたる武力衝突を経て,2003年の停戦合意,2004年からの国際監視団(IMT:International Monitoring Team)の活動により進展。2008年8月,懸案の土地問題の解決をめぐる国内調整に失敗して武力衝突が再燃したが,2009年12月には和平交渉が再開された。その後、2011年8月には、アキノ大統領とムラドMILF議長とのトップ同士による会談が成田で行われたことを契機として和平交渉が進展し、2012年10月、フィリピン政府とMILFとはミンダナオ和平に関する「枠組み合意」に署名するに至り、2016年にバンサモロ自治政府を創設することで一致した。
(2)日本政府は,ミンダナオ和平がアジアの平和及び繁栄に不可欠であるとの認識の下,IMT社会経済開発部門への開発専門家派遣,元紛争地域における経済協力の集中的実施,和平交渉にオブザーバー参加して助言を行う国際コンタクト・グループ(International Contact Group:ICG)への参加等を通じ,ミンダナオ和平プロセスの進展及びミンダナオ地域の復興・開発に貢献してきている。特に,我が国支援案件の総称「J-BIRD(Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)」(※Bangsamoroはミンダナオのイスラム教徒を指す。)は,ミンダナオの住民の間でも広く知られている。