記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和8年9月18日(金曜日)13時51分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)外務大臣再任に際しての所感
【茂木外務大臣】引き続き、外務大臣を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
昨年の10月に外務大臣に就任してから11か月がたつところでありますが、この間14回の外国訪問、のべ28か国・地域を訪問し、各国外相との会談、約200回に上ったところであります。
世界は今、パワーバランスの変化や紛争・対立の激化、AIを始めとする急速な技術革新を受けて、戦後最も大きな構造的変化の中にあります。我が国を取り巻く安全保障環境も一層厳しさを増しています。日本の安全と繁栄を確保するため、国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施をしていきたいと考えています。
同時に、このような厳しい国際情勢の中、これまでの海外訪問や外相会談などの外交活動を通じて、こういう厳しい情勢だからこそ、日本への期待というものが高まっているということを改めて感じているところであります。
こうした期待に応えるためにも、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のための取組を一層推し進めるとともに、「和平調停」を始め、紛争の平和的解決に、より積極的な役割を日本として果たしてまいります。
引き続き、進化したFOIPを始めとする我が国の外交政策を力強く推し進め、日米同盟を強化し、そしてまた、日米の協力分野を拡大していきます。
また、サプライチェーンの強靱化など、同志国等の連携を強化するとともに、POWERR Asiaに基づくアジア諸国との協力や連携、ODAの戦略的活用などによって、グローバル・サウス諸国との関係強化にも努めていきたいと考えております。
このように申し上げた取組を通じて、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」を展開する、その先頭に立ってまいりたいと考えております。
(2)第81回国連総会出席
【茂木外務大臣】もう一点、私の海外出張についてであります。
明後日、9月20日(日曜日)から24日(木曜日)まで、国連総会出席のために、ニューヨークを訪問する予定であります。
今年は日本の国連加盟70周年にあたります。この節目の年に、日本の多国間主義に対するコミットメントを改めて世界に発信するとともに、国連という唯一無二の普遍性・多様性を持つ場で、日本がその役割をしっかり果たしていくという考えを、力強く訴えてまいります。
また、各国外相との会談であったり、様々なマルチ、多国間の会合に出席をしまして、地域・国際情勢や地球規模課題を始めとする国際社会が直面する諸課題について、我が国の立場であったり、取組をしっかりと説明し、国際社会との連携を一層強化する機会にしたい、このように考えています。
私からは以上です。
国連総会における日本の立場
【共同通信 恩田記者】国連について伺います。先ほどの関連で、グテーレス国連事務総長は今回の国連総会に当たって、記者会見で、「国連憲章や国際法や人権を守ってほしい。中東が重大な局面にある今、緊張緩和こそが最優先事項だ」と呼びかけております。緊迫する国際情勢の中で、日本としてどの議論を重視して、どのような立場を発信するか伺います。
【茂木外務大臣】冒頭の発言でもお話ししましたとおり、今年は日本の国連加盟70周年に当たるわけであります。この節目の年に、日本の多国間主義に対するコミットメント、これを改めて世界に発信するとともに、国連という唯一無二の普遍性・多様性を持つ場で、日本がその役割をしっかり果たしていくという考えを、力強く訴えたいと思っております。
また、各国外相との会談であったり、様々な多国間会合に出席し、中東情勢、そして、インド太平洋情勢を始め、地域・国際情勢や地球規模課題など、国際社会が直面する諸課題について、我が国の立場や取組をしっかりと説明し、国際社会との連携、これを一層強化する機会にしたいと考えています。
国連総会関連会合
【朝日新聞 宮脇記者】来週の国連総会で、茂木大臣はG4会合に参加されると思います。常任理事国の拒否権などによって、国連の機能不全も指摘される中で、日本が常任理事国を目指す意義や、今回の外相会合を通じて、どう各国に働きかけていくかお考えを伺います。関連して、また、海洋の安全に関する会合にも参加されるかと思います。ホルムズ海峡をめぐる情勢が緊迫化する中、日本としてどのように議論を主導していきたいお考えでしょうか。
【茂木外務大臣】国連総会の機会に、ドイツ、インド、そしてブラジルともに、G4の外相会合を開催する予定であります。
我が国は、従来から、国連が国際社会の諸課題により効果的に対処できるように、安保理の代表性、そして正統性を向上させることが必要だと考えております。国連創設から80年以上がたって、加盟国も大きく拡大をしているところでありますし、対処すべき課題も拡大していると、このように考えております。そのために、常任及び非常任理事国の双方の拡大が必要であり、我が国を含むG4やアフリカ諸国、一部の常任理事国を含む過半数の加盟国も、こうした考えを共有しているところです。今後、様々な立場のグループが提出している案を基に、いわゆる統合モデル、これを作成することが大きな課題になると考えております。今回のG4外相会合では、多くの国々と連携しながら、G4として、この国連改革の議論をリードし、具体的な成果を目指すことを改めて確認したい、こんなふうに考えております。
一方、海洋の関係でありますが、23日に、日本は「海洋の安全と安定の確保に向けた協力強化に関する外相会合」をオランダ等と共催する予定です。現下の国際情勢において、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・強化の重要性、これは一層増している、このように考えております。今回の、今、申し上げた会合では、特に、ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡の安全の確保に向けて、日本として国際的な議論を、これまでもそうでありますが、しっかりとリードしていきたいと考えております。そして、ホルムズ海峡につきましては、2月28日以前の状態、いかなる追加的費用もない形で、自由で安全な航行が回復されることが重要であると考えておりまして、このことについても強調したいと思っております。
日露関係(今後の対露外交)
【北海道新聞 村上記者】対ロシア外交について改めて伺います。プーチン大統領の北方領土の択捉島訪問やハバロフスクにおける対日戦勝記念碑の設置など、日露関係は依然として厳しい状況にあります。大臣、今回改めて外務大臣を再任されるということですけれども、どのように対露外交を進めていくお考えか、また重点的な課題は何かについて改めて教えてください。お願いします。
【茂木外務大臣】まず、個別の問題に入ります前に、ロシアによりますウクライナ侵略、これは国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、国際社会全体の平和と安定を損ねている。こういう基本的な考え方を持っております。このような観点から、我が国はG7を始めとする国際社会と連携をしながら、これまでウクライナ支援と対露制裁を行ってきております。この方針に変更はありません。
日露関係、御指摘のとおり厳しい状況にありますが、ロシアは我が国の隣国でありまして、二国間関係を適切にマネージしていくことは重要であると考えております。引き続き、我が国の外交全体として、何が我が国の国益に資するかと、こういう観点から、適時適切に対応していきたいと思います。特に、人道的な問題であります北方墓参の再開については、今、これが止まっている状態でありまして、今後も粘り強くロシア側に働きかけていきたいと、こう考えています。
米国によるICC赤根所長への制裁
【日経新聞 中岡記者】高市首相は内閣改造に伴って閣僚に指示書を出しました。茂木大臣への指示書には、「ICCなど国際裁判所に判事を輩出してきたことに鑑み、法の支配に基づく国際秩序維持・強化する」と示されております。日本や欧州各国などが支持を表明するICCには、米国が日本人所長も含めて制裁措置をとるなど、「法の支配」と逆行したような動きも見せておりますが、首相からの指示を受けて、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化に向けて、どのように対応していくか改めてお伺いします。
【茂木外務大臣】我が国は、国際社会における「法の支配」、これを一貫して重視をしてきました。この観点から、これを進める上で重要な役割を担いますICJ、ICC、ITLOSを始めとする国際裁判所の機能強化や改革、これを後押しをしてきたところであります。この方針に変更はありません。
今後も関係国と連携しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた取組、日本としてしっかりと進めていきたい、そう考えています。
日米地位協定
【琉球新報 照屋記者】日米地位協定について伺います。沖縄では米軍人・軍属による事件・事故が続いており、政治的立場を超えて地位協定の改定を求める声があります。外務大臣として、地位協定改定に取り組む考えはありますでしょうか。もしくは、改定せずに現行の地位協定で十分とお考えでしょうか。大臣の見解をお願いします。
【茂木外務大臣】日米地位協定に関して、政府としては、これまで手当てすべき事項や事案の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組というものを通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきたところであります。例えば、2015年の環境、2017年の軍属に関する二つの補足協定締結をしたところであります。政府としては、このような取組を積み上げることによって、日米地位協定の在り方を不断に検討していきたいと考えています。
官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(SNS上での批判)
【時事通信 木下記者】今月10日に行われた官民合同テロ・誘拐対策訓練について伺います。外務省が「X」に投稿した同訓練において、犯人役の衣装が中東やイスラム圏を想起させ、特定の民族や宗教とテロを結びつけているとの批判がSNS上で相次ぎました。その後、外務省は「特定の民族や宗教等を念頭に置いたものではない」と説明し、投稿した写真を削除いたしましたが、批判への受け止めと写真を消去した理由、外交を担う外務省として、今回の対応が適切だったか大臣のお考えをお伺いします。
【茂木外務大臣】テロ対策、このための様々な訓練を進めていく、このことは、邦人保護の観点から極めて重要だと考えております。
その上で、今回の「官民合同テロ・誘拐対策実施訓練」における犯人役につきましては、日本人及び外国人で構成される等、その衣装も含めて、特定の民族や地域、宗教等を念頭に置いたものではありませんでしたが、様々な御意見を真摯に受け止めて、今回、関連の写真を削除するとともに、外務省のホームページにおきまして当省としての考え方を、説明する等の対応を行ってきたところです。今後とも、外務省として、邦人保護、これは最も重要な仕事であると思っております。そのための様々な対策は進めていきたいと思っておりまして、また、それに関連して、適時適切な発信、丁寧な説明に努めていきたいと、こう考えています。
今後の外交政策
【パン・オリエント・ニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
外務大臣再任に際し、主要な方針についてはすでに非常に明確に示されましたが、日本が対処すべき外交上の課題の中で、もしあるとすれば、最も緊急かつ喫緊のものは何だとお考えでしょうか。また、そうした課題に対し、どのように政策を舵取りし、その解決へと導いていかれるおつもりでしょうか。
【茂木外務大臣】冒頭申し上げたところでありますが、世界は、パワーバランスの変化や紛争対立の激化、AIを始めとする急速な技術革新を始め、戦後最も大きな構造的変化の中にあります。そして、我が国を取り巻く安全保障環境も一層厳しさを増しているところであります。
その中で一つだけというのはなかなか難しいところがあるところでありますが、まず、日本の安全と繁栄を確保するために、国家安全保障戦略を一層、戦略的、体系的なものにするものとして実施していく、これが重要だと考えておりますし、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のための取組、しっかりと進めていきたいと考えております。
また、進化したFOIP、これを推進し、日米同盟の強化、更には同志国との連携強化、グローバル・サウス諸国との関係強化に努めていきたいと考えております。
こうした、多岐にわたります外交政策、これを力強く展開をする、私はその先頭に立っていきたいと、こう考えています。
日印関係
【ANI 板垣記者】内閣改造を経まして、更なる外交関係の発展及び大臣のリーダーシップに期待する声は多く届いているかと思いますが、インドにおきましても、来年、国交75周年という一つの大きなマイルストーンであります。そこに向けての様々な展開、あるいは御意見についてお聞かせいただければと思います。
【茂木外務大臣】インドは「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」に基づき、日本と戦略的方向性を共有する信頼のパートナーであり、活発な要人往来が行われてきております。私も、今年だけでも、1月と5月にインドを訪問したところであります。
来年の日印国交樹立75周年に向けては、2027年を「日本・インドの共有の展望の年」と位置づけて、7月の高市総理の訪印時に確認したとおり、両国で企画されている様々な行事、これを通じて、文化・芸術、スポーツ、科学、地方間交流等の人的なつながり、これを一層深化をさせていきたいと考えております。
また日印間では、経済安全保障を含みます安全保障、そして経済・投資・イノベーション、人的交流といった分野を中心に、互いの強みとこれを生かし合う相互補完的な関係、この構築を進めていきたいと考えています。
