記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和8年8月28日(金曜日)13時51分 於:本省会見室)
冒頭発言
(1)ネパール・中国における洪水被害
【茂木外務大臣】冒頭、私の方から2点申し上げたいと思います。
まず、ネパールと中国における洪水被害についてであります。
8月26日(水曜日)、ネパール中部ラスワ郡及び中国チベット自治区シガツェ市で、大規模の洪水及び土石流が発生いたしました。犠牲になられた方々に、改めて哀悼の誠を捧げるとともに、被害に遭われた皆様に対して、心からお見舞いを申し上げます。
ネパール側では、ツアーに参加していたとみられる邦人5名といまだ連絡が取れておりません。現在、外務省を挙げて、全力でこれらの方々の安否確認にあたっているところであります。なお、中国側では、現時点において邦人の被害は確認されておりません。
今般の災害発生後、直ちに外務省として、現地においては前田駐ネパール大使をヘッドとした現地対策本部を、また、東京の本省におきましては、實生領事局長をヘッドした外務省対策室を立ち上げ、対応を開始いたしました。また、邦人保護に全力を挙げるべく、私から、海外緊急展開チーム(ERT)要員の派遣を指示し、要員2名が今日から順次現地に入ります。
また、今般の甚大な被害を受けまして、我が国としても、できる限りの支援を行うべく、ネパール側の要請を受けまして、緊急援助物資の供与を決定いたしました。現地で引き続き甚大な被害が伝えられておりますが、我が国としては、ネパール側のニーズを踏まえ、できる限りの支援を実施していく考えであります。
(2)茂木大臣のトルクメニスタン、スロバキア、オーストリア及びモンゴル訪問
【茂木外務大臣】もう一点、私の海外出張についてであります。
明日、8月29日(土曜日)から9月4日(金曜日)まで、トルクメニスタン、スロバキア、オーストリア、モンゴルの4か国を訪問いたします。
訪問中、各国の外相や政府要人との会談を行うほか、スロバキアにいては、チェコ、ハンガリー、ポーランドを加えた4か国からなる「ヴィシェグラード・グループ」、通称「V4」諸国の外相とともに、5年ぶりに「V4+日本」外相会合を開催いたします。国際情勢が一段と厳しさを増す中、これらの国々との間で、進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の考え方も踏まえて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた戦略的な連携を確認したいと思います。
また、各国との間で、エネルギー、インフラ、科学技術といった分野において、日本の強みや各国のニーズも踏まえ、それぞれとの協力強化に向けて議論を深めてまいりたいと思います。
私からは以上です。
ネパール・中国における洪水被害
【共同通信 恩田記者】冒頭も御発言があったネパールの洪水について伺います。今回、被害が広範囲に広がっており、被害も甚大ですが、現在の海外緊急展開チーム派遣に加えて、今後、国際緊急援助医療チームの派遣など、救助や支援についてどのように取り組むか伺います。
【茂木外務大臣】今とっております対応については、冒頭申し上げたとおりでありますが、まず、連絡が取れていない邦人5名の方々の安否確認に全力で当たって、邦人保護にしっかりと取り組んでいくと、こういう考えであります。
その上で、我が国としても、できる限りの支援を行うべく、今般ネパール側の要請を受けて、緊急援助物資の供与を決定したところでありますが、更なる支援・対応等につきましては、今後の状況であったり、ネパール側のニーズも踏まえて検討してまいりたいと考えております。
イラン情勢
【産経新聞 永原記者】米国によるイラン攻撃から、本日で半年を迎えます。大臣はこれまで、先日、サウジアラビア、オマーンを訪問されたり、イラン情勢に関して80回近くの電話会談を重ねるなど、外交努力を続けてこられました。中東は今なお、米・イランの戦闘終結に向けた最終合意には至っていませんが、現状への受け止めと、今後、日本としてどのような外交努力を続けていかれるのか、お考えをお伺いします。
【茂木外務大臣】半年がたったという状況でありますが、イラン情勢に関して、我が国としても、当初から事態の早期沈静化に向けて様々な外交努力を重ねてきたわけであります。私自身は、本年2月末の情勢悪化以降、これまで各国との間で電話会談を含めまして80回以上のやり取りを行ってきております。
中東地域の平和と安定は、日本のみならず、世界全体のエネルギー安全保障の観点からも、極めて重要であります。我が国としては、ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡における自由で安全な航行が、一刻も早く回復され、米・イラン間の協議が再開し、核問題も含みます最終的な合意が早期に実現することが重要である、このように考えております。
こうした観点から、私も先週、サウジアラビアとオマーンを訪問したほか、一昨日には来日しましたクウェートの外相とも会談し、現在の膠着状態の打開に向けて、突っ込んだ議論を行ったところであります。
我が国としては、各国との信頼関係であったり、対話のパイプを十分生かしながら、引き続き国際社会とは緊密に連携して、必要な外交努力を粘り強く行っていきたいと考えております。
米国による国際刑事裁判所(ICC)赤根所長への制裁
【読売新聞 福田記者】ICCについて伺います。法の支配を擁護する日本の立場から、赤根所長に対する米国の制裁について、撤回を明確に求めるべきだとの声が出ています。こうした指摘にどのように応えていくのか教えてください。
【茂木外務大臣】この件は、先日もお答えした部分もあるのですが、我が国は、国際社会における最も重大な犯罪の処罰と撲滅、法の支配の徹底のため、常設の国際刑事法廷でありますICCを一貫して指示してきております。そして、今般の措置は、こうした我が国の立場と相いれるものではないとこのように考えております。
米国に対しては、以前から、赤根所長等を制裁対象にしないよう累次にわたって様々なレベルで働きかけをしてまいりました。働きかけの内容等につきましては、今後のこともありますので、控えさせていただきたいと思いますが、相当、累次に当たってやってきたのは間違いない事実であります。
米国のICCに対する姿勢、これを見てみますと、非常に厳しいと認識をしておりまして、更なる措置も示唆されているところであります。こういった厳しい状況にあるわけですが、米国に対する様々な働きかけ、これを継続するとともに、引き続き、関係国と意思疎通を行いながら、国際社会における法の支配の強化に取り組んでいく考えであります。
どういう言い方をするかと、それはいろいろあると思いますが、きちんと、米国に対しては、言うべきことはしっかり言いながら働きかけを行っている、これは間違いない事実です。
包括的核実験禁止条約(CTBT)
【中国新聞 下高記者】包括的核実験禁止条約(CTBT)について伺います。CTBTは、来月、国連で採択されて30年を迎えますが、いまだ発効には至っていません。日本政府はCTBTを重視する姿勢をこれまで示してきましたが、近年では、ロシアが批准を撤回したり、詳細よく分かりませんが、米国のトランプ大統領が核実験を行うよう指示したりする動きもあります。まず、政府として、CTBTの発効に向けた情勢を、どのように認識しているか教えてください。また、政府は2022年にCTBTのフレンズ会合を首脳級に引き上げましたが、こうした取組を今後継続するのかも含めて、CTBTの発効に向けてどのように取り組むか、基本的に考えを教えてください。
【茂木外務大臣】国際的な安全保障環境が複雑さを増す中で、核軍縮を取り巻く環境も一層厳しくなっていると、このように認識をいたしております。
こうした中でも、CTBTはNPT体制の下での、現実的かつ実践的な核軍縮の取組を進める上で、非常に重要な条約でありまして、我が国は、これまでもCTBTフレンズ国、中心国として、未締結国に対して、粘り強く批准を働きかけてきております。
また、CTBTの早期発効促進に向けた政治的機運を高めるべく、CTBTフレンズ閣僚級会合をこれまで11回開催をしてきております。本年9月下旬の国連総会の際には、第12回会合の開催に向けて、調整を進めているところでありまして、CTBTの署名開放30周年の節目も捉えて、CTBTの早期発効促進に向けて取組を継続していきたいと考えています。
サウジアラビア・オマーンに対する危険情報
【パン・オリエント・ニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)
大臣のサウジアラビアとオマーン訪問時の動画は、とりわけアラブ諸国で大きな注目を集めました。動画には、美しい背景やごく普通の生活や人々の行き来が映し出されています。しかし、日本はこれらの国々に対してレベル2の危険情報を発出しており、「不要不急の渡航中止」を勧告しています。このレベル2という指定は妥当であり、現地で目にした平穏な雰囲気を正しく反映しているとお考えでしょうか。
【茂木外務大臣】危険情報については、ただ映像で見たりと、それだけではなかなか判断できない部分もあるわけでありまして、邦人の安全確保の観点から、治安情勢を始めとした現地の政治・社会情勢等を総合的に勘案して、判断をしてきているところであります。
サウジアラビアとオマーンについても、引き続き、地域情勢等を見極めつつ、適切に判断をしていきたいと考えています。
中国における邦人の拘束事案
【読売新聞 福田記者】中国での日本人拘束について伺います。5月に大連で、日本人2人がレアアース関連製品の持ち出しをめぐって、中国当局に拘束された事案がありました。一部報道では、これとは別件で、同様のケースで複数の邦人が拘束されていると報じられています。政府として、こうした事案を把握しているのか、また、事実関係について教えてください。
【茂木外務大臣】大連の件につきましては、福田さんからお話があったとおりであります。
その上で、一般論として申し上げますと、外国現地当局による邦人拘束の有無については、対外的に、どのように言及、もしくは発表するかについては、当該本人に不利益が及ぶ可能性等を踏まえつつ、慎重に判断してきておりまして、御質問がありましたが、そのことについて、詳細にお答えすることは控えたいと思っております。
なお、中国側に対しては、これまでも累次、領事面会の実施、事実関係の説明及び拘束された邦人の健康面への配慮など申入れを行ってきておりまして、引き続き、中国側に適切な対応を求めていきたいと、こんなふうに考えております。
