記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和8年2月19日(木曜日)12時08分 於:本省会見室)

(Video) Press Conference by Foreign Minister Motegi

冒頭発言

外務大臣再任に際しての所感

【茂木外務大臣】冒頭、私の方から発言させていただきます。
 引き続き、高市内閣において外務大臣を務めることになりました。記者クラブの皆さんには、また引き続きお世話になりますが、よろしくお願いいたします。
 これまで4か月、2度目の外務大臣を務めてきましたが、6年前から4年前に、初めて外務大臣を務めた当時と比べて、世界は今、パワーバランスの変化や紛争・対立の激化を受け、戦後最も大きな構造的変化の中にあり、安全保障環境も、一段と厳しさを増していると、このことは実感をいたしております。
 ロシアによるウクライナ侵略や不安定な中東情勢、我が国周辺における中国の外交姿勢や軍事動向、北朝鮮による核・ミサイル開発に加え、露朝の軍事協力といった懸念すべき動き、これが発生し、今も続いていると、こういう状況であります。
 このような厳しい国際情勢の中、一貫した外交姿勢を堅持する日本への期待、間違いなく高まっていると、このように感じております。国際社会から期待される日本の役割と責任を、主体的に果たしていくために、「多角的、重層的連携をリードする包容力と力強さを兼ね備えた外交」、これを展開してまいりたいと考えております。
 また、日本の安全と平和、繁栄を確保するため、国家安全保障会議の下、関係閣僚と協力して、戦略三文書の見直し等にも、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
 日米同盟は、我が国の外交・安全保障政策の基軸でありまして、インド太平洋の平和と繁栄の礎でもあります。日米同盟の抑止力・対処力を、多面的に一層強化してまいりたいと考えております。
 春に調整しております高市総理の訪米の機会を含めて、引き続き、首脳・外相間を始めとするハイレベルでの米国との緊密な連携、これに努めてまいりたいと考えております。
 「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を日本外交の柱として進めてまいりましたが、提唱してから10年。この間の変化であったりとか、新たな課題に対応して、FOIPを戦略的に進化させていきます。
 また、G7、ASEAN、豪州、インド、EU、NATOなどとの協力関係を更に強化して、日米韓、日米豪、日米フィリピン、日米豪印といった、実践的かつ多面的な協力、これを広げてまいります。
 近隣諸国とは難しい問題、課題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていきたいと思います。韓国とは未来志向で日韓関係を安定的に発展をさせていきます。北朝鮮とは拉致問題を始め諸課題の解決に全力で、これからも取り組んでまいりたいと考えております。
 中国との間には、東シナ海や南シナ海における力又は威圧による一方的な現状変更の試みや、我が国周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの懸案や課題が存在しています。台湾海峡の平和と安定も極めて重要であります。
 中国との間で、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築していくという方針に変わりはありません。日中間には、懸案と課題があるからこそ、意思疎通が重要であります。
 我が国としては、中国との対話についてオープンであります。その上で、中国側によります事実に反する不適切な主張に対しては、今後もしっかりと反論を行っていきたいと思っております。ミュンヘン会議でも、そうさせていただきました。中国との関係については、こういった姿勢の下、今後も冷静かつ適切に対応していきます。
 また、国際社会で発言力を強めるグローバル・サウスの国々との連携は、より重要性を増しています。ODAによる「日本らしい顔の見える開発協力」や、OSAを通じて、相手国のニーズも踏まえた、きめ細やかな協力を進め、また、相手国の様々な能力構築支援、こういったことも行っていきたいと考えております。
 経済外交については、日本の経済強化のため、日本が優位性を持つ技術力・課題解決力や、日本企業の海外展開を、外交面でしっかりと後押ししていきたいと考えております。
 また、ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持・強化も重要でありまして、CPTPPの戦略的な拡大、WTO改革の推進、「安全、安心で信頼できるAI」エコシステムの構築に取り組んでいきます。
 さらに、一層重要性を増す経済安全保障の課題に対応するため、エネルギー・食料の安定的な確保、重要鉱物を含みますサプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応、重要・新興技術の保全・開発促進などに、全力で取り組んでまいります。
 細かいことをお話しすると、まだまだそれぞれあるわけでありますが、概要で申し上げますと、こういう方針で、今後の外交に臨んでいきたいと、こんなふうに考えております。
 以上です、私から。

対ウクライナ支援の振り返りと今後の取組

【共同通信 恩田記者】大臣は就任以降、国際社会でより存在感を高める日本ならではの外交を展開するとされてきました。国際社会に衝撃を与えたロシアによるウクライナ侵攻は、来週24日で開始から4年となります。冒頭、御言及ありましたが、日本のこれまでの支援額と、どのような貢献してきたかの振り返りを伺います。また加えて、今回再任されましたが、改めてどのような姿勢で停戦や復興支援に取り組むか、特に、NATOの枠組みであるウクライナ優先要求リストに参加する意向があるかどうかも含めて、確認させてください。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】ロシアによりますウクライナ侵略、これまず、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありまして、このような力による一方的な現状変更の試みを決して許すことはできない。一日も早くウクライナに、公正かつ永続的な平和を実現することが重要でありまして、先般のミュンヘンでのG7外相会合でも、こうした議論を行ったところであります。この方針に変わりありません。
 ウクライナ支援については、我が国として、どういったことをやってきたかということでありますが、これまで、G7を始めとした各国と連携して、人道、そして、財政、復旧・復興の分野で、総額約200億ドルの支援を表明して、着実に実施してきております。また、防弾チョッキや自衛隊車両といった装備品の提供等を含む支援も行ってきているところであります。
 今後も、国際社会と緊密に連携し、ウクライナの社会、経済を強靭なものにしていくという観点からも、官民一体の復旧・復興支援、これを含む取組を推進していきたいと思っております。
 御指摘のありましたウクライナの優先必要リスト(パール)についてでありますが、2月14日に、私とルッテNATO事務総長との会談の際にも確認をしたとおり、引き続き、NATO側と調整していきたいと、こんなふうに思っているところであります。
 アジアにある日本が、ウクライナに対して、これだけの支援を行っている。こういうことに対しては、各国から、日本の取組、非常に高く評価をされていると考えておりまして、私の方から、「今日のウクライナは、明日の東アジアかもしれない」、こういう、危機感を持って、この問題に対応していると。同時に、欧州、大西洋と、インド太平洋の安全保障と、これはまさに一体のものであると。更には、力や威圧による、一方的現状変更の試み、これは世界中どこであっても、しっかり、同盟国・同志国が連携して、反対していかなければいけない。こういう思いで取り組んできているところでありますし、今後もそうしたいと思っております。

進化後のFOIPのあるべき姿

【朝日新聞 宮脇記者】冒頭、御言及いただきましたFOIPについてお伺いいたします。これから戦略的に進化していく、いわば新FOIPのあるべき姿について茂木大臣、どうお考えでしょうか。またロシアやイスラエルによる武力行使の他、米国がベネズエラに対して軍事作戦を行うなど、既存の秩序が揺らいでおりますが、現下の国際情勢において、「法の支配」には、どのような意義、どのような力があるとお考えでしょうかお願いいたします。

【茂木外務大臣】FOIPの提唱から先ほど申し上げたように10年がたちますが、この間、日本を取り巻く国際情勢、そして、安全保障環境は一段と厳しさを増しております。更には、経済安全保障、そしてまた、新興技術をめぐる国際競争と新たな課題も生じております。加えてグローバル・サウスの台頭等、大きな構造的変化が起きているわけでありまして、10年の節目、これだけ大きな変化が起きているわけでありますから、こうした変化に対応して、最もふさわしい形でのFOIPを、戦略的に進化させていく必要があると、このように考えております。
 10年前、安倍総理が、ケニアでFOIPを提唱した際には、どちらかといいますと、インド太平洋地域、これはこれからの、まさに、世界の発展の中心的な地域になっていくと。そういう中で、通商であったりとか、連結性を含め、この地域を、自由で開放された地域にしていくことが、世界全体の発展にもつながるんだと、こういう思いで、FOIPの構想を打ち出された。これ自体、当時の状況からすれば、非常に大きな構想であり、また注目も集め、賛同も得たところでありますが、その後、一つは、やはり先ほど申し上げたように、経済安全保障、例えば重要鉱物もそうでありますが、こういった問題というのは、インド太平洋地域の多くの国にとって、極めて重要な問題になっておりまして、強靭なサプライチェーンを作っていくと、こういう課題は、当時はまだ、あまり注目をされていなかった課題なのだと思っておりますけど、今や最も重要な課題の一つになってきている。また、例えば、海上交通の安全等々については当時も考えたわけでありますが、いわゆる、海洋安全保障といいますか、海洋安保というか、港湾であったりもそうですし、それから海洋安保に関する、各国の、いわゆるそれを守るための能力構築、これを支援していく。こういったことも重要になってきている、こんなふうに考えておりまして、OSAを始め、各国の安全保障能力、これを強化していくための支援というのも、多国間で進めるということは、極めて重要になってきている。こういう要素も含めて、戦略的な進化、これを進めていきたいと、こんなふうに考えております。
 同時に、FOIPの基本的な理念、これは自由、法の支配の擁護であったりとか、多様性、包摂性、包括性の尊重であったり、これは時代の変化があるにしても、全く変わらない基本的な原則である、不変である。これをきっちりと、これからも維持していきたいと考えております。
 FOIPの進化にあたっては、まず、戦略的進化を進めていくに当たっては、今申し上げたような原則を堅持しつつ、時代の変化に適した幅広い取組を通じて、国際社会から期待される、日本の役割と責任を主体的に果たすことを目指すことが重要であると思っておりますし、FOIPをいかに進化をさせ、そして具体化させていくかという、まさに、これは日本外交の柱であると、このように考えています。

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