演説

山口外務副大臣演説

「中央アジア+日本」対話第6回SOM会合
山口壯外務副大臣挨拶
(12月1日(木曜日),於:外務省)

  1. 冒頭

  2. 「中央アジア+日本」対話第6回SOM会合,各国代表の皆様。外務省を代表し,遠方から来日された皆様を心から歓迎します。

    最初に,3月11日に我が国を襲った大地震と津波に際し,中央アジアの各国からいただいた心温まるお見舞いと支援に対し,改めて感謝の意を表します。皆様から多大な支援をいただいた際,多くの方々から,「日本のこれまでの支援に対するお返し」であるとして,支援と連帯が示されたことに日本国民は大変感動しております。この感動を胸に,我が国は,一刻も早い復興に向けて最大限の努力をしており,また,諸外国へのODAについても,着実に実施していく考えです。

  3. 日本にとっての中央アジアの意義 ~3つのポイント~

  4. 私は,かつて外務省で,パキスタン,中国,英国の大使館に勤務した経験がありますが,これら3か国のいずれの国から見ましても,中央アジアは大変重要な位置を占めています。また,それぞれの国が,中央アジアに対する独自の関心を有していると言えます。例えば,中国は,西部国境が中央アジアと接しており,この地域を大きな市場と捉え,魅力に感じていることは容易に想像できます。

    では,日本にとって,中央アジアの意義はどのような点にあるのでしょうか。私は,次の3つの点に重要性があると考えます。

    第一に,地政学的観点からこの地域がもつ戦略的重要性です。ユーラシア大陸を東西南北に結ぶクロスロードに位置する中央アジアが開かれた地域として安定的に発展していくことは,ユーラシアの安定のために極めて重要です。

    第二に,中央アジアが,①アフガニスタンの安定化,②テロ・イスラム過激主義の拡大防止,③麻薬取引の取締,といった現在国際社会が直面している喫緊の課題に対処していく上での鍵を握る地域であることです。

    第三に,中央アジアに存在する石油,天然ガス,ウラン,レアアース等の豊富な天然資源は,我が国にとり大変重要です。

  5. 20年間の中央アジア諸国と日本との協力

  6. 今年,独立20周年を迎えられた中央アジア各国の皆様に祝意を表します。日本は,先に述べた中央アジアの重要性にもかんがみ,独立以来20年間,一貫して中央アジア各国の国造りに向けた努力を支援して参りました。我が国の5か国に対する支援額は,累計で30億ドルに達しています。こうした経緯から,この20年間,中央アジアの国々が多くの困難を乗り越えながら発展してきたこと,そして,日本と各国との関係が着実に発展してきたことを大変嬉しく思っています。

  7. 「中央アジア+日本」対話の意義

  8. 中央アジア諸国が共存共栄していくためには,地域共通の課題に共同で対処していくことが重要と考えます。現在のところ,中央アジアに,域内5か国で地域協力を推進していく独自の機構はありません。このような状況に対し,政治的に中立な立場を取る日本としては,「触媒」として,中央アジアの地域協力を支援していく方針を取っております。これをより具体的に実施していくため,2004年に,「中央アジア+日本」対話の枠組みを立ち上げました。

    地域を一体として捉え協力していくという取組は,日本外交にとっても新しいフロンティアです。「中央アジア+日本」対話は,すでに3回の外相会合を重ねておりますが,今後とも,参加国の協力を得ながら,この枠組における協力を一層推進し,地域の安定と発展に向けて貢献していくことができればと考えております。

  9. 外交関係樹立20周年と「中央アジア+日本」

  10. 来年,我が国と中央アジア各国とは,外交関係樹立20周年を迎えます。中央アジア各国の協力も得て,記念の年を盛り上げていきたいと考えています。

    こうした中,来年秋に東京での開催が予定される「中央アジア+日本」対話第4回外相会合は,同周年における最重要行事と位置付けられます。本日のSOM会合は,来年秋の外相会合を一層充実したものとするための準備作業を開始する上で,極めて重要な機会です。

  11. 結び

  12. 「中央アジア+日本」対話を推進させるため,日本側は,上月外務省欧州局審議官を「日本外務省中央アジア担当特別代表」として任命しており,今回のSOM会合の議長を務めます。

    本日のSOM会合において,各国参加者と活発な議論が行われることを期待しています。

    ご静聴ありがとうございました。

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