平成23年7月18日
(英語版)
[導入(主催者及び議長等への謝意等)]
日本政府のAid for Trade(AfT)への取組について説明する機会を頂き感謝します。
[AfTのこれまでの進展と我が国の政策]
我が国は,途上国が貿易の拡大を通じて経済成長を実現していくとの信念の下,AfTに関する施策を積極的に推進しています。このような立場から,我が国は「開発イニシアティブ」の名の下,これまで2期にわたってAfTに関するイニシアティブを実施しています。2005年のWTO香港閣僚宣言に先立って,第1フェーズとして2006~2008年の3年間に貿易関連施策の推進を公表し,総額100億ドルの貿易関連ODAの供与等を含む最初のイニシアティブを完全に実施しました。2009年の第2回グローバル・レビュー会合において,第2フェーズとして2009~2011年の3年間に総額120億ドルの貿易関連ODAの供与から成る現在のイニシアティブを発表し,これまでのところ着実に実施しています。
[アジア太平洋地域専門家会合(RTG)の活動]
このセッションのテーマである,「モニタリングと評価」に関しては,実施した案件がどの程度パートナー国の発展に貢献してきたか評価することは,評価に関係する変数が多いことから難しい問題といえます。この課題への取組として,我が国を含むアジア太平洋地域の幾つかの国は,自発的な検討プロセスとして地域専門家会合(RTG)を組織しており,アジアの経験を基に,いかにして効果的にAfTを実施していくかということについて継続して議論をしています。今般,このユニークな組織におけるこれまで議論の結果を報告書にまとめました。これは明日の分科会において詳しく説明されますが,この報告書が指摘しているように,FDIが途上国の発展の鍵と言えます。
[我が国のアフリカにおける活動]
我が国は,アジアにおける長年の経験によって培った援助の知見を他の地域とも共有していくことが重要と考えています。特に,アフリカ諸国への支援は重要であり,我が国の今後の重点地域となっており,様々なAfT関連のODAを実施しております。例えば,日本の資金・技術協力は,アフリカ大陸の中で重要な役割を果たすことが期待される「国際回廊」を重視してきており,道路案件を始めとして,港湾,橋梁,都市交通等に対する支援を行っています。これらのインフラ整備は,「アフリカ開発のための新パートナーシップ行動計画及びアフリカ・インフラ開発プログラム」においてアフリカ諸国と共に計画し,アジアでの経験を踏まえつつ実施したものであります。インフラ整備による物流改善をより効果的なものにするために,OSBP(One Stop Border Posts)の整備も同時に推進し,越境手続きの円滑化を図っています。
このような物流網の改善は地域統合の推進に資するものであり,結果として,民間の活動の活発化による経済の発展が期待されます。アフリカへの海外直接投資は急速に伸びており,2006年にはODAを追い抜きました。
日本の民間セクターからアフリカへの投資を2012年までに34億ドルに倍増させるとの2008年の公約については,2009年までの5ヶ年平均値が42億ドルとなっており,現時点で目標値を上回っています。
[結語]
最後となりますが,途上国の貿易の伸長にはFDIが重要であることを改めて強調したいと思います。アジアやアフリカにおける我が国の経験を考えると,貿易インフラ支援とそれに伴う直接投資の増加は重要な役割を果たしているといえます。それゆえに,本会合で各加盟国が提出したケース・スタディーをベースに議論を交わしていくことによって,「より効果的なAfTとは何か」に関して,具体的なイメージを共有することは有益であります。我が国は,今後もRTG等の活動を通じて,引き続きAfTイニシアティブを支援していく用意があり,そのことによって,途上国の貿易能力の強化の更なる可能性を探求することが可能になり得ると思います。
御静聴感謝します。