談話

平成26年11月28日

1 11月27日(現地時間同日)にジュネーブで開催された世界貿易機関(WTO)一般理事会特別会合において,貿易円滑化に関する協定をWTO協定の一部とするための議定書(WTO協定改正議定書)が採択されたことを歓迎します。

2 貿易円滑化に関する協定が実施されれば,1995年のWTO設立以来初めての,全加盟国参加による協定が実現することとなります。この協定の実施により,税関手続の透明化・迅速化等を通じて貿易の促進に向けた大きな効果が期待されます。我が国としては,同協定の発効・実施に向けて引き続き努力します。

3 WTO協定改正議定書は,当初の期限であった本年7月末までに採択できず,昨年のWTO閣僚会議での一連の合意(「バリ合意」)の実施は行き詰まり,WTOの交渉機能は危機的状況にありました。我が国としては,今回の同議定書の採択を含む一般理事会決定により,「バリ合意」の実施を含めたWTOの作業が軌道に戻ることを期待するとともに,引き続き多角的貿易体制の維持・強化に取り組んでいきます。

(参考)WTOドーハ・ラウンド交渉(DDA)の現状

(1)2013年12月の第9回WTO閣僚会議でいわゆる「バリ合意」が成立し,(ア)貿易円滑化,(イ)農業の一部,(ウ)開発の3分野の部分合意とDDAの今後の作業計画策定を決定。しかし,一部の国の反対により,貿易円滑化に関する協定について合意されていた2014年7月末のWTO協定改正議定書の採択期限が守られず,バリ合意全体の実施が宙に浮いた形となり,WTOの交渉機能の信頼性が危機に瀕した状態が続いていた。

(2)11月13日,貿易円滑化に関する協定の実施と食料安全保障を目的とする公的備蓄制度の扱いをめぐり,米印が合意に達したことが発表され,これを踏まえ,11月27日に開催されたWTO一般理事会特別会合において,貿易円滑化に関する協定をWTO協定の一部とするための議定書の採択,食料安全保障目的の公的備蓄,及びポスト・バリの作業に関する決定が採択された。


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