外務大臣談話
対イラン安保理制裁決議の再適用(外務大臣談話)
令和7年9月28日
- 日本時間9月28日、2015年の国連安保理決議第2231号に基づき解除されていた対イラン制裁措置が再適用されました。
- これまで我が国は、イランによる核兵器開発は決して許されないとの立場から、関係国と緊密に連携し、対話を通じた問題解決の重要性を強調してきました。9月23日の日イラン外相会談を始めとするイランに対するハイレベルでの働きかけを含め、我が国としても外交努力を継続してきた中、関係者が合意に至ることができなかったことは残念です。
- イランの核問題は重大な岐路に立っています。対話を通じたイラン核問題の解決が重要であるとの我が国の立場は不変であり、このまま対話の機運が失われることがあってはなりません。
- 我が国としては、米国とイランの間の協議の早期再開を含む外交の重要性を強調するとともに、イランに対しては、今般再適用されることとなった安保理決議を適切に履行するとともに、関連の保障措置協定上の義務に従い、国際原子力機関(IAEA)との完全な協力を直ちに再開するよう引き続き求めます。
- 中東地域の平和及び安定並びに国際不拡散体制の維持は極めて重要です。我が国は、安保理の決定を然るべく履行するとともに、国際社会と連携しながら、必要なあらゆる外交努力を引き続き行っていきます。
(参考)包括的共同作業計画(JCPOA)に基づく安保理決議第2231号と対イラン制裁の関係
- JCPOAは、イランの核兵器開発を防止するために、イランの核関連活動に制約をかけ、その見返りに米国や欧州が対イラン制裁を解除することを規定。2025年10月18日の安保理決議第2231号の「終了の日」には、安保理決議に基づく全ての対イラン制裁が終了し、以後、安保理はイラン核問題を取り上げない。
- 一方、安保理決議第2231号においては、JCPOA参加国が核合意上のコミットメントの「重大な不履行」(significant non-performance)を安保理に通知し、その後30日以内に過去の安保理決議に基づく対イラン制裁の終了を継続するための決議案が採択されない場合、過去の安保理決議(第1696号、第1737号、第1747号、第1803号、第1835号及び第1929号)に基づく対イラン制裁を復活させることができると規定されている(いわゆる「スナップバック」。ただし、安保理が別の決定をする場合にはその限りではない。)。今回の対イラン制裁措置の再適用は、この規定に基づくもの。