広報文化外交
第33期外交官・第17期公務員日本語研修

5月9日,第33期外交官・第17期公務員日本語研修の参加者(28か国・1地域より外交官29名,9か国より公務員10名)の修了証書授与式が外務省にて行われました。同研修参加者は,昨年9月から約8ヶ月にわたり,国際交流基金・関西国際センターにおいて,集中的な日本語研修を受けたほか,日本の政治・経済に関する講義を受け,また日本各地の研修視察を行いました。
修了証書授与式では,冒頭,岸信夫外務副大臣が祝辞を述べ,吉尾啓介国際交流基金上級審議役,来賓代表のアハメド・カリール駐日モルディブ共和国特命全権大使の祝辞に続き,齋木尚子国際文化交流審議官が研修生一人一人に修了証書を授与しました。
最後に,研修生を代表して,外交官代表のモーリタニア・イスラム共和国外務省のエベルワット・ババ氏,公務員代表のホンジュラス共和国外務省のキンテロスメディナ・ルベンダネリア女史が,研修で培った日本語で挨拶を行いました。
1 岸信夫外務副大臣挨拶

皆さん,研修の修了,誠におめでとうございます。また,本日は各国の大使をはじめ,大勢の方々にお集まりいただき,心から御礼を申し上げます。昨年9月からの日本での生活や学習は,いかがでしたでしょうか。 新たな発見があったり,日本に対するイメージが変わったり,または,イメージ通りだったり,といろいろな発見があったのではないかと思います。
皆さんは,日本語の学習に加えて,最先端の技術を持つ日本企業の見学や,地方自治体との交流,伝統文化や美術に触れる体験など,さまざまな経験を積まれたとうかがっております。日本には,「百聞は一見にしかず」ということわざがあります。まさに目で見て学ぶことで,今の日本の姿を実感することができたのではないでしょうか。私自身,若い頃から様々な国の方々と交流をしてきました。やはり直接の体験,特に外国の方との交流を通じて学んだことは,その後の人生に大きく影響するものです。グローバル化が進み,インターネットさえあれば世界の様子はすぐに分かる世の中になりましたが,国と国の友好関係を築き,それを深めていくためには,人と人の交流が基本であることは変わりません。
日本語は,日本文化への理解を深める重要なツールの一つです。外務省は,日本語の普及促進に,国際交流基金を通じて,積極的に取り組んでいます。皆さんのような,日本社会に学び,日本語を理解する方々が,多くの国々の中央政府で働いていらっしゃることは,日本にとっても大きな財産であると考えます。
本日修了式を迎えた皆さんを含め,この研修に参加した各国の外交官,公務員は800名を超え,その多数の方が再び日本での勤務につかれ,その中には駐日大使もいらっしゃる,と聞き,大変嬉しく思います。今後とも,この研修プログラムがますます発展することを願っております。
ご存じのとおり,昨年9月,皆さんが来日された頃,2020年オリンピック・パラリンピック大会の日本開催が決定しました。この大会を6年後に成功させるために,環境整備や,スポーツの価値の普及など,日本が取り組むべきことは多くあります。東日本大震災からの復興も,依然として大きな課題の一つです。これらを乗り越えて,魅力と活力にあふれる日本の姿を世界に発信できるよう,また,より多くの人に日本と日本の言葉・文化を理解してもらえるよう,取り組んでまいりたいと考えています。
どうか皆さんには,帰国した後に,未来に向けて頑張る日本の様子を伝えていただければ幸いです。近い将来,皆さんが日本と関係のあるお仕事をされ,日本と各国の絆をより強化するために貢献してくださることを期待して,私の挨拶とさせていただきます。 ありがとうございました。
2 モーリタニア・イスラム共和国外務省エベルワット・ババ氏(外交官代表)挨拶

皆様本日は私たちの修了式のためにお集まりいただき,誠にありがとうございます。私はババと申します。モーリタニアの外交官です。外交官29名を代表して一言ご挨拶させていただきます。
皆様,私たちは,日本へ来る前は日本語が全然わかりませんでした。「こんにちは」も知りませんでした。日本へ来てから,8ヶ月だけで日本語でスピーチができるようになりました。信じられないことだと思います。
今,今年のプログラムが終わります。数日後に国へ帰りますが,日本で勉強したこと,見たことを持ち帰り,私たちの社会にこの経験を紹介します。プログラムでは,私たち外交官や公務員は,日本の文化や歴史について大切なことを習い,いろいろな場所を訪問しました。学校,大学,会社,空港,政府機関などです。ホストファミリーや,会話パートナーとの交流は私たちにとって大きいチャンスでした。おかげで,日本の生活や習慣に慣れたり,イベントに参加したり,たくさん友達を作ったりすることができました。着物の着方や日本料理のつくりかたも習いました。
でも,一番大切なイベントは,自主研修旅行だと思います。私たちは日本のいろいろな地方を訪問して,日本の様々な面を見ることができました。私は広島へ行きたかったので,この旅行は私にとってチャンスでした。広島でいろいろな場所へ行ったり食べ物を食べたり,広島の方と文化や歴史について話したりしました。広島で平和祈念公園や原爆ドームへ行きました。原爆ドームのミュージアムを訪問してから,悲しくなりました。どうして日本が核兵器のない世界を求めているのかすぐにわかりました。このプログラムの後で,私たちの国と日本国民の間の友情や文化交流は,きっと強くなると思います。この研修は日本の平和的で良いイメージを守るのに役に立つと思います。この研修がこれからも発展することを心から願っています。
最後にもう一度,日本国外務省,国際交流基金,関西国際センター,そして日本の皆様に心より感謝を申し上げます。また,先生たちの親切さと絶え間ない助けに特に感謝したいと思います。
簡単ですが,これを私のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
3 ホンジュラス共和国外務省キンテロスメディナ・ルベンダネリア女史(公務員代表)挨拶

皆さんこんにちは。本日は私たちの修了式にお集まりいただいて,本当にありがとうございます。私はホンジュラスの公務員で,ダネと申します。まず,このコースに参加した世界中の公務員と外交官を代表して,日本政府,外務省,国際交流基金にお礼を申し上げます。このコースで,日本語だけではなく,日本の文化・習慣・歴史も学びました。
この8ヶ月間で,日本の生活を経験して,日本人の友人ができて,この美しい国が自分たちの国と同じように大事だと思いはじめました。関西国際センターのおかげで,正しい日本語を習いながら,日本の代表的な都市へ行って,いろいろな経験ができました。例えば,神戸,京都,東京のすばらしさを自分たちの目で見ることができました。そして,文化イベントやホームビジットに参加して,日本の家族の一員になりました。この経験で,日本人の親切さ,温かさを感じて,人生でも忘れられない気持ちを味わいました。
人生の経験は,場所だけではなく,人々も大事です。この機会に,世界中の友達にお礼を申し上げたいと思います。みなさんの文化や習慣を習いながら,お互いに親しくなって,親友ができた気がします。これから,一人一人が自分の道を行きますが,関西センターの友達のことを思い出すと思います。
最後に一言,もうすぐ帰国しますが,思っていたより多くの経験や,勉強の成果を持ち帰ります。先生方,国際交流基金,外務省,日本の皆様のおかげで,日本の美しい文化・長い歴史・おいしい料理,すべてが私たちの心に残ります。これから,自分たちの国に日本のすばらしさを伝えます。私たちは,自分たちの国と日本をつなげます。本当にありがとうございました。