人の交流

平成27年5月20日

 5月11日,第34期外交官・第18期公務員日本語研修の参加者(29か国より外交官29名(うち2名早期帰国),6か国より公務員6名)の修了証書授与式が外務省にて行われました。同研修参加者は,昨年9月から約8ヶ月にわたり,国際交流基金・関西国際センターにおいて,集中的な日本語研修を受けたほか,日本の政治・経済に関する講義を受け,また日本各地の研修視察を行いました。

 修了証書授与式では,冒頭,中山泰秀外務副大臣が祝辞を述べ,安藤裕康国際交流基金理事長,来賓代表のサウル・アラナ・カステジョン駐日ニカラグア共和国特命全権大使の祝辞に続き,中山副大臣が研修生一人一人に修了証書を授与しました。
 最後に,研修生を代表して,外交官代表のガーナ共和国外務省のアクア・ベルナード・クワミ氏,公務員代表のコスタリカ共和国貿易促進機構のトリスタン・ヒメネズ・アリアナ女史が,研修で培った日本語で挨拶を行いました。

1 中山泰秀外務副大臣挨拶

 皆様,研修の修了,誠におめでとうございます。また,各国の大使をはじめ,本日お集まりいただきました皆様に心から御礼を申し上げます。昨年9月に皆様が来日されてから,早いもので8ヶ月がたちました。本研修を通じて,世界中から集まった友人たちとの親交が深まったものと思います。

 また,私の地元は大阪なので,皆様が関西に滞在されたと聞いて嬉しく思っています。一言に日本と言っても,それぞれの地方によって魅力は大きく異なります。今回の研修で,皆様は,日本語の学習だけでなく,地方自治体,民間企業,大学の見学や,様々な人との意見交換をされたと伺っています。また,伝統文化や芸術という観点からも,日本を体験してこられたと思います。私自身,若い頃に海外留学もしましたし,これまで世界中の国や地域を訪問させていただき,異なる文化や宗教と接する様々な経験をしてきました。こうして外国の言葉や文化を学び,様々な人と関わってきたことは,大きな財産となっています。

 皆様が日本語を学ばれたことは,日本語という言語だけでなく,日本人のものの見方や文化・社会など日本に対する理解を深める重要な意義があります。こうしたことを踏まえ,外務省は,国際交流基金を通じて,日本語の普及促進に積極的に取り組んで参る所存です。数ある言語の中から皆様が日本語を選び,学ばれ,日本の良き理解者となって下さることは私たちにとって,そして子供達の世代にとっても,有意義で,大変貴重なことです。本日,修了式を迎えた皆様を含め,これまでにこの研修に参加した各国の外交官や公務員は800名を超えました。皆様の先輩の多くが,研修を受けた後,日本との仕事に関わったり,再び日本で勤務したり,今,私の目の前にいらっしゃるように,本研修で駐日大使となられた方もいらっしゃると伺っています。今回研修を修了する皆様も日本との関係強化のために大いに活躍されることを期待します。

 昨年は,1964年東京オリンピックから50周年となる節目の年でした。また,今年は第二次大戦後70年の節目でもあります。皆様が利用された東海道新幹線も,50年前に完成したものです。この間,日本は経済成長を経験し,開発途上国に対して経済協力を行ってきました。一方,2011年の東日本大震災に際しては,今日お集まりのそれぞれの国の方から支援や励ましの言葉が届けられました。震災から4年が経った今,被災した東北地方は復興だけでなく,災害の経験や防災の技術を,世界各国と共有する取組を行っています。皆様には,帰国後,ぜひそのような日本の姿を伝えていただければ幸いです。

 同時に,戦後70年の節目でありますが,広島,長崎への原爆投下も含め,焦土と化した日本が70年経てばこれだけ復興を遂げ,公園ができ,憩いの場があり,ビジネスマンが活躍するビル街があるといった姿となります。毎年世界からの出席者を得て,追悼式典が開かれますし,夏になると思いを馳せますが,本当の日本のリソースは「再生」であると思います。このような姿も併せてお伝えいただければ幸いです。

 今後,このプログラムがますます発展し,皆様がご活躍されますことを祈念いたしまして,簡単ではありますが,これで私の挨拶とさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

2 ガーナ共和国外務省アクア・ベルナード・クワミ氏(外交官代表)挨拶

 中山副大臣、ニカラグアのカステジョン大使、安藤理事長、本日は私たちの修了式のためにお集まりいただき、まことにありがとうございます。私はベルナードと申します。ガーナの外交官です。よろしくお願いいたします。外交官29名を代表して、一言ご挨拶させていただきます。

 私たちは日本語と日本の文化を勉強するために、去年の9月16日に日本へまいりました。私たちは日本へ来てから、日本の方がたの礼儀正しさや時間の正確さが印象に残りました。はじめは日本の生活に慣れるのが大変でしたが、だんだん大阪の生活や日本語の勉強になれました。

 私たちは関西国際センターで勉強して、日本語や日本の文化がかなりわかるようになったと思います。国へ帰っても、日本語の勉強を続けようと思っています。8か月日本にすんでいる間に、日本の文化について、たとえば生け花や書道を習ったり、ホストファミリーを訪問したり、研修旅行に行ったりしました。これらは、私たちに日本についてのよりよい理解を与えた、本当に重要なものでした。他にも、大阪大学や色々な会社、例えば伊藤忠商事(株)や三菱日立パワーシステムズ(株)などで レクチャーや訪問の機会もありました。とてもいい経験になりました。外交官を代表して、私は、日本を体験するこの特別な機会をいただいたことを、誰よりもまず日本政府に心から感謝を表したいと思います。私たちの国と日本との二国間関係 を促進するために、東京でそれぞれの大使館に赴任できることを期待しています。そして、皆さんがそれぞれの国で、日本での経験を伝えることを願っています。また、私たちと日本の関係がもっとよくなることを願っています。

 最後にもう一度、日本国外務省、国際交流基金に心より感謝を申し上げます。

 簡単ですが、これをご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

3 コスタリカ共和国貿易促進機構トリスタン・ヒメネズ・アリアナ女史(公務員代表)挨拶

 今日は、私たちのために修了式をしていただいて、本当にありがとうございます。私はコスタリカの公務員で、アリアナと申します。まず、このコースの公務員6名を代表して、日本政府、外務省、国際交流基金にお礼を申し上げます。

 皆さんのお陰で、8ヶ月間、とても有意義な時間を過ごすことができました。教室の中、色々な文化体験、ホームビジット、日本での旅行、忘れることができない経験ばかりです。

 スペインの歌手、Serratは、こう言いました。

 「同じであることは私を慰め、異なることは私を刺激する」

 この言葉のように、様々な国から来た研修生から、私は刺激をもらいました。33か国、34名の仲間といっしょに生活することをとおし、日本の文化だけでなく、互いに理解し、学び、刺激し合い、新しい経験を得ることができました。強い絆と友情を育むことができました。そして、日本の皆さんがいつも親切にしてくださったお陰で、皆さんと家族になれたような気がします。

 研修期間中、苦労がなかったわけではありません。日本語のオーラルテスト、スピーチ発表での予測できない質問。手に汗握る時間でした。しかし、そのお陰で、私たちは言葉と異文化理解にとって大切なことを、身をもって経験しました。コミュニケーションは、互いの違いを知って、受け入れることにより成し遂げられます。私たち外交官、公務員にとって、仕事を行う上で、このようなコミュニケーション能力や姿勢は不可欠です。

 日本の皆さん、皆さんから、そして、皆さんと一緒に、多くのことを学ぶ機会をくださったご恩、決して忘れません。 

 最後に、もう一度、皆さんに心より感謝したいと思います。どうも、ありがとうございました。


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